地熱発電と水素エネルギー

 これは一国二経済制度でも取り上げた地熱発電の補足です。

 世界で第3位の規模の地熱発電が、ほとんど利用されていません。様々な課題があると言われていますが、産業での課題としては、探査技術と採掘技術がまずあります。地下の地熱を見つける技術が弱いと言うことです。当然、ほとんど採掘されていませんから、採掘技術も効率が良いとは言えないでしょう。ですが、これらの課題は鶏が先か卵が先かという問題でもあります。産業としてうごきだせば、関連する技術もよりよいものが開発されて、寄り効率も上がります。

 石炭火力発電で、世界最高水準の技術力を持つ日本なのですから、地熱発電においても、技術力は時間と金だけの問題に思えます。地下であれ、海底であれ、日本は全体として資源の採掘技術がいまいちです。これは、資源を海外に頼ることになれすぎた結果でもあります。ここは、国が支援してでも技術力を高めるべきです。アメリカのシェールガスなど、当初は技術的に不可能、採算が合わないと散々否定されていました。ですが、いまでは石油の輸出国にまでなったのです。これもたゆまぬ技術力を求めていったからに他なりません。今の日本の多くの人間とりわけ経営者達は、現状維持を求める余り、新しいことに何も挑戦しないで、世界から取り残されています。

 そんな中で、うれしいニュースがありました。大成建設が、二酸化炭素(CO2)と地熱を活用した国内初の発電事業に乗り出すというのです。発生したCO2を地下深くに注入して地熱で高温にします。それが地上に吹き出してくるので、それでタービンを回して発電するという仕組みです。
 このように地熱を利用した様々な事業が考えられるわけです。


 またこれからは水素エネルギーの時代だと言いながら、結局、日本はまたも中国や欧州に遅れてしまいました。口先ばかりで何もやらないのですから、当たり前ですが。

 そこで、全国200から300ヶ所くらいの地熱発電の場所を探査するのに、国が費用を補助します。同時に探査技術の研究にも補助金を出して、効率的な探査技術の開発を急ぎます。有望な地熱が見つかれば、そこで地熱発電を行います。こうして出来た電気の使用方法が問題なのです。
 今のような買い取り制度では、電気代は安くなりません。そこで、近くの工場などに直接電気を使用してもらいます。むろん、現在の電気代よりも3割くらい安くです。さらに地熱は24時間稼働ですから、夜間は電気が余ります。そこで夜間には、その電気を使って水素を作るのです。そうすれば水素エネルギーも安定的に得ることが出来ます。水素を生み出す代わりに、電気を直接蓄電して、昼間それを利用する方法もあるでしょう。


 このように、国内資源である地熱をもっと活用すべきです。なぜか国外ばかりに投資をするのが今の日本企業ですが、国内にもっと目を向けるべきなのです。国内投資の邪魔をするものを、取り除くのは政治の役割です。

 中国が大規模な水素エネルギーへの国を挙げての投資を始めました。安価なエネルギーを調達できなければ、製造業においても世界から取り残されます。自然エネルギーの活用で、CO2対策とエネルギー対策の両方を快活出来る方法は、かなりあるのです。あとは、やる気と決断だけが必要なのです。

令和3年8月25日(水)

 

2021年08月25日|烈風飛檄のカテゴリー:idea