すぐやる自衛隊装備

 一国二経済制度の本文では、海上保安庁の巡視母船は書いたが、自衛隊に関する装備はあえて書かなかった。しかし、もはや多くの軍事大国が回圧を競う装備は、似たようなもので、特に隠す必要すらないようである。むしろ、どれだけ早く開発して実戦配備できるかが、抑止力になる時代となった。それでもいくつかは、独自に考えた装備がある。

 極超音速巡航ミサイル、新型弾道ミサイルなど今まさに実戦配備されようとしている多くの装備は、もちろん自衛隊としても独自に技術開発を進める必要がある。サイバー、宇宙、電磁波、名丼簿領域の兵器も同様であろう。そのうえで、内需拡大にも寄与するいくつかのものを見ていきたい。

・複合型原子力潜水艦

  核搭載ICBMの原潜は日本が保持することは難しいであろうが、もう一つの役割を持つ原潜は、日本においても保持をすべきである。それがこれまでの呼び方でいえば、攻撃型原潜である。名前は攻撃型であるが、これはアメリカ的な呼び方であり、実際は核攻撃からの抑止力として実戦で機能する潜水艦である。

  報復用核ICBMの原潜と異なり、精密誘導の巡航ミサイルと各種攻撃兵器を備えている。さらに、特殊任務用の兵を乗せており、衛星や無人機との総合システムを搭載した多機能な原潜である。

  これは、これからの弾道ミサイルは、不規則な軌道で飛行するので、迎撃をするのは非常に困難であるから、発射の兆候を捉えたときに、この原潜が抑止的な攻撃を行うのである。必要であれば、ミサイルや無人兵器だけでなく、特殊部隊も派遣して敵のミサイル基地をたたくことになる。これによって、日本のように核を持たない国でも、核に対抗する抑止力を持つことが出来る。

  また原潜単独での行動を主とするICBM原潜とは異なり、探知システムとの協調はもちろん、攻撃においても、サイバー攻撃、電磁波攻撃、無人機攻撃などと複合的に作戦が実行される、いわゆるハイブリッド型の兵器になる。


  この潜水艦の性格上、遠距離を行き、静かな隠密行動を長期間にわたって実行しなくてはならない。それには通常動力ではなく、原子力が向いていることは言うまでもない。しかしまずは、動力部分を切り離して、その他のすべての機能を持つ潜水艦を早期に開発することが重要である。


・原子力潜水艦用小型原子炉パック

  前述の複合型原潜の為に、原潜用動力の小型原子炉パック(サイト)を開発する必要がある。原潜というと必ず核と結びつけられるのだが、そうではないことを国民にきちんと理解させる必要がある。


・海峡封鎖用の待機型潜水艦

  周辺各国が、空母を保持するようになっているが、これまでのような航空母艦は、もはや時代遅れである。艦隊を組んで進む艦艇は、待ち構える潜水艦の餌食となる。待機型潜水艦は、たとえば海峡の真ん中当たりの海底に着床して待機しており、無人偵察艇と連携して敵艦隊を捕捉する。そのうえで、かなりの深度から高速魚雷や、不規則魚雷等の兵器でこれを攻撃する。

  長期間海底に潜んでいることができ、必要に応じて各種の無人艇(偵察用・攻撃用)を積んでいる。攻撃用無人艇は、対艦ミサイルを積んだ無人艇や、魚雷を積んだ無人潜水艇など、いくつかの種類が考えられる。


・無人機航空母艦

  これまでのような空母は時代遅れだといったが、全く新しい無人機専用の空母は、これからの空母として考えられる。形からしてこれまでのような平面甲板を持つようなものではなく、アニメに出てくるようなものになるだろう。自らも対空、対潜水艦能力を備えたものになり、行動の自由が拡大する。


・ミサイル戦艦

  弾道ミサイルであれ、巡航ミサイルであれ、地上の固定ミサイル基地からの発射は、攻撃に弱く時代遅れとなってきた。潜水艦だけでなく、各種ミサイルを装備したミサイル戦艦が必要になる。地上よりも攻撃されにくい上に、遙か彼方の敵のミサイル圏外からの攻撃も可能となる。戦艦というと時代遅れに聞こえるが、機能と役割が異なるのだから、呼び名は古くても良いだろう。


・無人探査潜水艇

  これもすでに一部の国では実戦に使用されている。無人の潜水艇であるが、何日も海中にいて、継続的な探査活動を行える。日本のような広い海域を持つ海洋大国が、空と海の無人機、無人艇を大量に保持していないことがおかしいのである。これらの専用基地は、地域の経済活性化にもつながる。


 ここでは主に海上自衛隊に関わるものをとりあげたが、もはや軍備において、かってのような陸海空の区分も何も存在していない。すべてがハイブリッド型で統合されたものになる。逆にいえば、その一部を壊すことが攻撃になり、壊されないようにするのが防御となる。そういうシステム維持の装備、例えば電磁波攻撃への対処など、個別の装備品とは異なるシステム装備も開発を急ぐ必要があろう。こういうところでは、隊員もこれまでのような頑強な身体を必ずしも必要なく、むしろ偏っていても天才的なプログラミング能力を持つ人材などがもとめられる。そのような意識改革も自衛隊には不可欠であろう。


 研究・開発の人材、製造企業、運用部隊のすべてが、内需振興とつながっていることを認識すべきである。また、もはや軍需と民需の明確な区分すらないのが世界の潮流である。それに取り残されていると言わざるを得ない。ここから改革を進めなくてはならないのは、苦痛であるが仕方があるまい。


令和3年10月5日(火)

2021年10月05日|烈風飛檄のカテゴリー:idea