配送ロボットと宅配ボックスの標準化

 内需振興策の具体案を書いた「泥棒が縄を綯う」のなかで、A2住宅のガイドラインがありますが、その中でも配送ロボットと宅配ボックスの標準化については触れました。現状もこの分野でのロボット化は進んできています。規制であった道路交通法も改正されて、2023年4月1日から自動配送ロボットの公道走行が解禁されました。多くのメーカーから配送ロボットが発表されて、苑大きさなどの規準も出来ているようです。

 しかし、配送ロボットがいくらできても、受け取るのが人間のままでは、効果は半減してしまいます。なぜか、無人で受け取ることが可能なシステムをつくろうという動きは見受けられません。劣化した日本の産業界では、やtら単品や部品ばかりで、全体のサービスやシステムを構築することが苦手なようです。これは常に欧米に標準化で負け続ける事とも関係していますが、この事は何度も触れてきましたので、ここではもう触れません。

 人間が介さずに自動でにを受け取れる宅配ボックスは、一見難しそうですが、既存の技術で充分に製造可能です。問題はまさに標準化なのです。配送ロボットと宅配ボックスの両方の標準化が必要になるのですから、それこそ国が音頭でもとらない限り、囲い込みしか考えない日本企業では、実現は難しいでしょう。しかしここも必ず世界的に標準化の波は押し寄せてきます。そうなる前に、宅配ボックスの標準化を実施してしまうべきでしょう。

 無人で荷物を受け取れる宅配ボックスのイメージが、わかないかもしれません。以下にひとつのアイデアを示してみます。

 無人の配送システムは、問題が出始めている「置き配」のように、安全性を無視した物では困ります。盗難防止や荷物の種類にも柔軟でなくてはなりません。それらの様々な機能を持ちながら、簡単に使えるのが基本です。具体的な形をみましょう。


 

①ボックスは大きく3段から成ります。一番上はこれまでの郵便受けと同じです。
②真ん中が出前受け。そば、寿司、ラーメン、ピザなど、いわゆる出前で届けられる物なら何でもOKです。ここでも、容器の回収が不要な形にしておくのは当然です。
③下段が、通常の宅配荷物を入れるところです。これらの大きさや高さを標準化しておくことが最重要になります。なぜなら配送ロボットが、ボックスの大きさなどを考えないで済むからです。
④基本、すべてロボットなどが前から入れて、家の住民が後ろから取り出します。そのため、荷が入ると前からは開けられないように、自動的にロックされます。ただし、出前段は、いくつも入れる事があるかもしれませんので、オプションにできます。朝、牛乳とヨーグルトや乳酸飲料などを提起購入してる家庭もあるでしょうから。このように何気ない所に気を遣って使いやすくすることが大切です。
⑤配送ロボットが、ボックスの扉をどうやって開けるかはいくつか考えられます。それは、同時に配達確認と連動した物が好ましいでしょう。例えば、無線で開けて中にあるIDと照合するなどです。また、扉の開閉は、一度停止したロボットが再度動かなくてすむように、シャッター扉などが好ましいかもしれません。
⑥配達ロボットの中にある荷は、押し出してボックスに入れることになります。ですから、各段の底の位置はボックス毎に違ってはまずいのです。
⑦ロボットもボックス側も、カメラで記録していますので、配送の確認などは不要です。万一盗まれても、犯人が記録されています。
⑧荷物がボックスに入れられると、宅内への連絡が行き、すぐにわかります。今後玄関の訪問ブザー、固定電話等、宅内ネットワークは標準化され、一ヶ所の表示・操作盤でコントロールされるようになるでしょう。ここも重要な標準化部分です。

 このように、配送ロボットと宅配ボックスの両方が標準化されれば、完全に無人で宅配便をやりとりすることが、簡単にできるようになります。その為にも、システムはできる限り低コストが望ましいのです。変に余計な機能を付加して互換性を無くしたり、高額になるのは馬鹿げた選択です。
 A2住宅で、これらがすべて標準化されて設備として備わっていれば、本当の意味でのIT化された住宅になるでしょう。荷物は24時間いつでも届けられ、朝起きたら荷が来てる生活になります。過剰サービスである時間指定の配達なども不要になるわけです。

 このシステムでは、宅配ボックスの物理的な場所の検知方法、設置される玄関などの前に階段や坂はないかなど、いくつか課題もあります。しかし逆にそれが新しい技術やサービスの展開につながるのです。
 さらにこのシステムは、家庭用の他に、企業向けの物も考えられるかもしれません。それを広げれば、製造現場における部品や原材料の配送も変わることでしょう。このように社会が大きく変わっていく可能性のある事に挑戦すべきなのです。


令和5年4月13日(木)

2023年04月13日|烈風飛檄のカテゴリー:idea