派遣教師

 教育改革の制度や学校施設でも触れた『派遣教師』についてである。公立と私立の違い、都道府県別の違いなど、現行の教師採用方法には問題も多い。そもそも本当に教師としての必要な知識のほかに、いじめなど教育問題への最低限の対処法の習得、教えるための技術、何より教師としての資質や心構えがあるのかが肝心である。

 教師だけやけに厳しいといわれるかもしれないが、場合によってその生徒(人間)の一生を左右しかねないのである。いや、実際、左右するのだ。それだけの覚悟がない教師が、労働者だの、サービス業だのとわけのわからないことを言い出したところに、教育崩壊の大きな原因のひとつがある。いっけん、教育もビジネスととらえているいるかに見える欧米ですら、それだけではないという自己規制が働いている。何事も極端に言ってしまう日本の悪しき癖がここでは、最悪の結果をもたらしている。

 したがって、教師の育成と採用こそ、もっとも慎重に考えられねばならない。ここにも中央集権とか地方分権とか、およそ教育になじまない論が多く持ち込まれている。必要最低限の教師の質の確保や、教育の機会均等は地方ごとに勝手にやればすむようなことではない。一方、環境がまったく異なる地域において画一的な管理・運利・指導方法など、無意味である。本来、国であれ、地方自治体であれ、地域であれ、社会全体が子供の教育を支える体制こそ、もとめられている姿のはずである。

 例によって、前置きが長くなった。このように教師の質を保ちながら、労働の場としての学校を成り立たせ、かつ、教育の閉鎖社会を打破するひとつの方法こそ、この派遣教師の制度である。


  ■派遣教師の資格

 では、どのようにして派遣教師の資格を取るのかであるが、基本的には通常の教師とおなじである。つまり何らかの方法で教える教科の知識や技術を取得していること。いわゆる今の教職課程などである。他にも、スポーツの特定科目だけの専任教師であれば、体育大学出身ばかりでなくても良いであろう。この前提のうえで、やはり教育大学での指導教育を資格にしたい。教育大学は、1年制であるが、実際には、つめれば半年で取れる内容である。したがって、他の仕事をしながらでも、教育大学に通って教師免除を取得することは可能であろうし、またそういう体制でなくてはならない。

 体育教科など学校での事故がよく問題になるが、普通の教科だけではなく、スポーツ指導の方法論、安全授業の方法など、教える側の知識は全員が最低レベルをクリアしていなくてはならない。ノーベル賞を取ろうが、金メダルを取ろうが、教師になるのであれば、その知識は学ばねばならないのだ。

 違う言い方をすれば、派遣教師は、いつでも正規教員になれる資格があるのだ。したがって、学校は急な教師の欠員にも、これで対応が可能になる。

■派遣教師と教師の違いとは

 では、派遣教師と普通の教師との違いとは何であろうか。大きな違いは、その所属である。教師は、学校に属するが、派遣教師は教師派遣会社に属する。また、いわゆる担任を持たないことになる。柔道のように危険を伴う教科においては、専門の派遣教師と学校の体育教師とがペアを組んで受け持つような光景も当たり前になるかも。

 派遣教師は、教科を教える以外の学校の事務等には関わらないのが、特徴となる。そのため、派遣教師は、アルバイトのような働き方が可能になる。主婦が、昼間のあいた数時間だけ教えるような形は、これまで教育ではほとんどなかったものであろう。

 この派遣教師側の銃差をどこまで許すかは、派遣会社の規模などで決まってくるのかもしれない。1年の長期に渡り、あらかじめ勤めると決める派遣教師もいれば、せいぜい1ヶ月から数ヶ月だけの教師、空いてる時間だけ教えたい教師など、その要求は様々であろう。授業に欠員を出さないで、マネジメントしていくことは大変難しいい作業となる。だからこそ、責任を持つ会社の体制が必要になる。

■派遣教師の担当

 派遣教師が担当するのは、補習授業、先行授業、専門授業である。このなかで唯一、補習授業だけはあらかじめあるかどうかわからない不安定な教室になる。普通の授業で生徒全員が理解してしまえば、補習に残らないからである。だが、補習が当たり前にある学校こそ、望ましい姿のように思われる。なぜなら、恥ずかしがって補習に出なかったり、補習受講がいじめの対象になったりすることは、十分に考えられるからである。仲のいい同士が、付き合って補習に参加し、自分は応用や進んだことを学ぶ。そんな姿が見られるようになれば成功である。だから、派遣教師は、個別指導の柔軟性が要求される。

■派遣教師の管理と責任

 問題の多い学校現場である。すぐに管理や責任問題が取りざたされる。この派遣教師の制度を取りいれるにも、反対者は必ずこの問題を持ち出すであろう。
 派遣教師の人間管理は企業、授業の管理は学校である。したがって、教頭(なのだろうか?)の、教師管理が非常に広範囲なる。学校は、専門授業といえど、施設を提供している限りにおいて、その授業は、学校が正しく管理しなくてはならない。

 所属によらず、一緒になって子供のことを考える、そんな教育現場になってほしいものである。


 この派遣教師制度というのは、かなり複雑でいわば欲張った制度でもある。学校の閉鎖性を破り、教師間の適切な競争を取り入れ、派遣教師という新しい形の就業の場を提供する、そしてなにより、生徒が自由でのびのびとした授業をプロから受けられる。そんな欲張り制度なのだ。様々な授業を選択する結果、だめ教師の授業を生徒が指摘できる、そんな時代が来るかもしれない。   派遣教師に関しての項目は、たくさんあるが、とりあえずここまでにしておこう。

 

平成24年1月

 

2012年04月02日|烈風飛檄のカテゴリー:edu