参議院改革

 政治改革が行われ無い限り、この国が良くなることはない。政治を変えるには、とにもかくにも政治家を変えない限りどうにもならない。したがって、今の政治家の下で、政治形態の変革を述べるのも空しいところはあるのだが、少しでも良くなればとの期待を込めて書きたい。

 ここでは、参議院の改革案である。議員数だけが多くて、ほとんど意味を持たない2院制そのものの廃止案も、言われている。が、極端に走りやすい傾向がまだある国民気質においては、2院政もそれなりに意味があろう。ただし、それが正しく機能しなくては、意味がないのは言うまでもない。

 基本的な考え方として、参議院は『良識の府』と呼ばれるのだから、それを実現させる。そのためには、参議院の主要な役割を、行政監視と衆議院の監視役とすることで、衆議院のカーボンコピーなどという弊害も薄れるだろう。むろん、本業の立法もやってもらいたいが。

 以下にその具体案を述べよう。


政党禁止

 まず第一には、参議院での政党や会派を法律で禁止すべきである。参議院議員各個人が、真に国民の良識や常識を代表するものにするためだ。全て個人による議会を成立させる。特定の集団への依存を許さないことで、議員個人に自覚と責任を促す。また、衆議院のおまけにならないようにする。

議員特権廃止

 当然のことながら、いわゆる議員特権も全て廃止し、国や社会の為に働く事を良しとする人に議員を務めてもらおう。 真に国民の代表として監視役をするのであれば、特権など不用のはず。そのかわり、兼務を許す。ただし、それが議員としてふさわしくない場合などのために、参議院内に議員の兼業内容を審査できる委員会の設置を可能にしておく。こんなものは、一度も使われないような人物が議員に立候補する事が望ましい。
 また、内閣総理大臣を務めた後、いつまでも衆議院にしがみついていないで、参議院で経験者としての常識を示す道もできてこよう。

定員と選挙制度

 定員242名は多すぎる。100名で充分。  各都道府県から1名選出。残り53名は、全国をブロックに分けて選出。ブロックごとの議員数は、毎年自動的に人口比で決定する。これで、1票の格差是正も地域の意見反映も可能になるだろう。

任期縮小

 現在6年の任期は長すぎる。おまけに途中解散もない。結果、収入の良い就職先と化している。任期は3年に。 なお現在任期中解散が無いが、議員特権を持ちながら解散が無くて保証されるなどは、明らかに憲法違反であろう。

衆議院解散権

 9/10以上の賛成による衆議院解散権を持たせる。2院政の意味は、相互監視である。9/10ならば、まず実現することは無いだろうが、伝家の宝刀を用意しておくことは、政治に良い意味での緊張を生む。

 
総理大臣の可否判断

 総理大臣の任命権は無いが、選出された総理を認めるか否かの勧告を出せるようにする。つまり、国民の意思の反映である。ただし、総理の否認は出来ない。(この項目は、首相公選制とも絡むので一概にはいえないが) 内閣不信任案提出の権限は、今と同じように保持していても良いであろう。

下部組織として常設委員会の設置

 いまでも委員会中心の運営であるが、参議院全体の下に専門の委員会を設けて、常に当該事項の研究、検証を行うことを主とする。これによって、個人毎に異なる不得意分野をカバーする最低限の情報を、全議員が得られるようにする。これは、政党廃止の裏付けでもある。

報酬決定権

 議員報酬の額は、衆議院によって決定される。逆に、衆議院の報酬は参議院によって決定される。これにより、今の自分たちで勝手に決めるお手盛りをなくす。衆参で結託するようであれば、それは国民が判断するであろう。そのため、議員報酬の国民審査制度をつくる。

国民による解散

 国民による直接請求に基づいて、解散を行うことができるようにする。いわば最後の歯止めである。

各議員の報告の義務

 月1度レポート(A4程度)提出義務を持つ。また、各法案への賛否をすべて公表する。


新大臣の喚問

 任命された各大臣は、参議院において、一人3分で、優先課題、問題点、抱負を述べてもらう。それで、大臣としての資質を見極めるようにする。大臣の問責はこれまで同様に保持してよいであろう。ただし、政党がないから、党利党略には使えない。



 このぐらい改革された参議院であれば、存在意義もあるのではないだろうか。そして、この程度の内容であれば、今すぐにでも実行可能なはずである。それを、今の政治家に期待できないのが、情けないが。憲法改正は、この政治改革からなら、国民も納得しよう。議員は当然反対するから、それこそデモでも起こせば良い。

平成27年(2015)7月 改
平成24年(2012)6月 改

2015年07月01日|烈風飛檄のカテゴリー:idea