内需産業の盛んな社会
「日本は輸出に頼らないと生きていけない国」という常識の毒は、もういい加減で身体から排出してしまおう。
烈風飛檄では、多くの新しい産業の可能性について語っている。ここでは、少し内需ということに的を絞って考えてみたい。
輸出ということを踏まえて産業を見ると、いくつかに分類できる。
1.完全輸出型産業:国内で生産し輸出する現状型
2.請負型産業:輸出型(海外需要に頼る)ではあるが国内ですべて請け負う産業。
外国人観光客に頼る観光などもここに含まれる
3.国内型産業:国内で生産(サービスも含む)し、国内で消費
4.輸入型産業;国内で消費するものを輸入する産業。一部海外での生産が含まれる
5.三国間産業;海外で生産、海外に販売、利益のみ日本に
6.グローバル型産業:国内に限定しない、いわゆる投資や金融関連など非製造業
これからの日本の成長分野として、たとえば自然エネルギーとか医療・福祉とか言われるのだが、あまりにもくくりが大きすぎてぴんとこない。また、上記のような視点での検討がかけているために、いったいどういう方向に進むのかも良くわからない。
日本のGDP寄与率における、輸出の貢献度は15%程度で、それほど高くはない。やはり個人消費すなわち内需が、大きな部分を占めているのだ。したがって1にだけ頼るのではなく、国内需要の2や3を伸ばすための、具体的な産業、業種が重要になってくるのだ。
そういう観点から、いくつかの具体的な例を挙げてみたい。
・インフラの管理・維持・保守(将来も決してなくならない業種である)
・各種規制に基づく査察を行う会社(国などの監査・監督を実施する民間会社)
・国民生活のための各種ITシステム開発・運用維持・保守(国レベルのシステム)
・国内資源探査船、探査機器、探査機(宇宙から海底まで)
・国内エネルギー探査船、探査機器、探査機
・防災機器、防災通信機器、救助機器
・バイオマス発電、廃熱発電機器
・太陽熱発電機器、海洋発電機器、宇宙発電機器
・各種蓄電器(発想を変えた大型機とか様々な種類)
・再生医療機器、システム(iPSのDB等)
・無人飛行機、無人船(防災、軍事等)
・防衛兵器
あげていくときりがない。ほかにも、内需を喚起する項目も数多くある。
・発送電分離と東西周波数の統一
・背広に変わる新しい服
・新しい標準住宅(複数世代用)
・除染と廃炉
・新交通、無人貨物列車
・諸島管理(気象、安保等)用船舶、センサー等機器
・各種海洋観光船(日本の排他的水域内をめぐる各種観光、海中、海底、諸島上陸等)
・各種海洋観光用飛行機
・宇宙産業(国内で雇用が発生する輸出産業)
-人工衛星打ち上げ
-宇宙での各種研究支援
-人工衛星運用・保守
・ネットワーク結合型都市開発
要は、既存の既得権益につながる多くの人間の反対を押してでも、実施に移す強い覚悟と、新しいことへの挑戦を嫌わない進取性を持つリーダーや国民が、どれだけいるかにかかっている。
だまされるな。内需で成長は可能なのだ。輸出はその上に上乗せできる儲けだと思え。 具体的なものを考えつくことができない日本人が、のさばりすぎているだけなのだ。
たとえば、観光といえば、外国人という短絡的な発想しかできないから、成長もないのだ。それよりは、日本人が、好きなときに国内を旅できる、そんな柔軟性のある社会をつくことこそがより重要なのである。休み以外の平日でも、常にお客さんがいれば、過当競争も、混雑も緩和されて、経済の成長も起こる。それには、柔軟な社会を作らなくてはならない。社会全体の変革こそ、成長への近道なのである。
平成24年(2012)7月