海洋民族と山岳民族に基づく経済政策を
日本人は、明らかに海の民(海洋民族)であり、同時に山の民(山岳民族)です。それはこの日本列島の姿を見ただけで十分に納得できるでしょう。ところが、不思議なことに、戦後の日本は、その民族の魂を忘れたかのように、ひたすら欧米などの大陸的な産業構造をものまねしてきました。
海の利用と言えば、せいぜい漁業程度であり、それも衰退の一途です。後は単に輸出入の通り道としてしか使われていないというのは、言い過ぎでしょうか。山も同様です。国土の7割が山地であるにもかかわらず、山は荒れ放題で材木を海外から輸入する始末です。これでは新しい産業もおきなければ、内需振興など出来ようはずがありません。ここにも、戦後アメリカ流経済の無条件信奉によって、目先の利益だけを求めて、結果として国力を下げ、国内産業を衰退させるだけに陥った日本の姿があります。
ここで、もう一度日本人の原点に戻って、海と山の有効利用、はやりで言えば、足下の自然との共生をするべきだということになります。
世界第6位の海洋大国である日本が、一体どのような海の利用や海の科学を世界に向かって発信しているでしょうか。
欧米特にヨーロッパは、自分たちが不利になると平気でルールそのものを変更してきます。従順というか覇気の無い日本は、それに唯唯 (いい) 諾諾と従ってきました。カーボンニュートラルとか、SDGs(Sustainable
Development Goals)(持続可能な開発目標)も、単なる理想ではなくそこには醜い覇権争いが隠れています。ですが、せっかく今回も賛同したのですから、こんどこそ、それを自国の産業や経済発展につなげていくべきです。
具体的な策は他に譲るとして、ここで指摘しておきたいのは、こうに全体の利益を考えて、内需振興に注力することが必要でしょう。その目的のためにも、豊富な自然資源の有効な活用が重要なのです。
海は新しい産業として、鉱物等資源活用、観光、バイオ技術開発等の分野が有力でしょう。山は、材木による様々な産業の他にも、セルロースなどの新技術開発にくわえて、災害防止としての山の活用など幅広い分野が考えられます。カーボンニュートラルにおいても、これだけの森林資源があることは、実は世界においても優位な立場にあるのです。それが全く生かされていないのですから、おかしな話です。
もう一度日本人の原点に戻り、海と山の自然の恵みを感謝して、有効に使わせてもらいましょう。
令和3年1月22日(金)