2015年2月27日(金)
2015年2月27日(金)
2015年2月08日(日)
2015年2月05日(木)
2015年2月04日(水)
報道や言論の自由のありがたみは十分に理解しているのだが、あまりにも馬鹿げた的外れな論議や話があふれていて、かえって何が問題なのか、何を考えるべきなのかがわからなくなっていないだろうか。ネットの普及は、細切れ、感情的、扇動的な断片の話ばかりをあふれさせることにもつながっている。そろそろテレビやネットのメディアも、断片的な情報、偏っただけの断定的な物言い、深刻な事件をタレントのゴシップと同様に扱うことなどをやめるべき時であろう。
ISIL(イスラム国)による日本人人質殺害事件(要は対日テロ)の犠牲者である後藤さんについての報道でも、何かピントがずれている気がしてならない。彼のジャーナリストとしての使命感やその功績をたたえることは構わないのだが、それがこの殺害そのものとどうかかわるのか、「英雄」扱いだけを垂れ流す報道(報道ではなく単なる番組としか思えないが)には、首をかしげてしまう。一方で「自己責任論」を振りかざして、単純な政府・与党擁護論を口にすることにも、疑問を感じる。特に、政治に関わるもののなすべき発言ではあるまい。
彼の『今回の行動』に対する賞賛も非難も、もうやめるべきであろう。なぜなら、3回の説得をはねのけて、自ら行動を起こしたのである。ビデオにもあったように、自らの責任において覚悟をもって判断を下したのである。それを何人も非難は出来まい。むろん、もうひとりの犠牲者、湯川さんの父親が言うように、「(多方面に)多大な迷惑をかけた」事があったとしても、いつまでもそれを責めないのが、日本人だったはずでもある。あるいは徒に彼を美化して、特定の思想や主義主張と結びつけることは、彼を冒涜することにもなるだろう。サムライがなした行動は、そのままあるがままのこととしてだけ受け止めたい。
それよりも検証されなくてはならない事柄のひとつは、彼がなぜあのような最悪の事態に陥ってしまったのかという理由である。初めから死ぬことを想定して突っ込んだ戦国時代の武士や玉砕の突撃ならいざ知らず、彼に相当の覚悟があったとはいえ、決して死にに行ったわけではあるまい。少なくとも無事生還が出来る可能性を信じて、乗り込んだはずである。それがなぜ最悪の結果となったのか。一部に言われているように、ISILの周到な策略に乗せられて敵のガイドに騙されたのか、何かの手違いで偶然ISILにつかまったのか、ほかの理由があるのか。この点こそ、今後同様のことが起きないように防衛をする上でも、最も重要な点である。ここがわからなければ、有効な対策も打ちようがない。政府の調査で、この点がどこまで解明されるのか、あまり期待できないところが歯がゆい。それでも、今後の検証を待ちたいと思う。
2015年2月02日(月)
「イスラム過激派」とイスラム教徒は、別のものだという事がよく言われる。言わんとすることは当然であり、よくわかる。それでもなお消えない疑問がある。たしかにイスラム教は、世界宗教の中でも強大な宗教であり、信徒数も多い。跳ね返りの過激分子が多いのも不思議ではないのかもしれない。しかし世界中には、数多くの宗教があり土着信仰もある。そんな中でイスラム教徒からイスラム教を名乗りながらの過激な集団が誕生する確率の高さは、他の宗教のそれよりも高いのではないかと思える。乱暴にいえば、過激派はなぜイスラム教なのかということである。違うというのであれば、その数値化されたものを知りたいのだが。
貧困や抑圧などの弱者に寄り添うイスラム教だから、イスラム発祥の地域の歴史的な背景があるから、中東という地政学的な影響が大きい地域だから、イスラム教の教えの中に排他的に解釈できる教えがあるから、西欧文明がユダヤ・キリスト教世界だから等々、一応の理屈らしきものは理解できる。それでもなお、十分に納得のいく説明を私は知らない。むろん、たったひとつの理由を挙げろというのではない、複雑に絡み合った様々の理由があるのだろう。それならそれで、複合的な理由を納得できる形で知りたいのだ。
実際、今回の日本人人質殺害において、反ISIL(イスラム国)の欧米からは、非難声明が出されても、イスラム教を信奉する国々からは、批難はおろか日本に同情する声明すらも聞こえてこない。唯一ヨルダンは、国王が日本への同情を発したようだが。この事実もまた、実は先ほどの疑問と関係しているのではないだろうか。日本はアジアの一員でありながら、反日国は別としても、親日であるはずのアジアのイスラム教の国々からも、何も聞こえて来ないのは、単にテレビなどが報道しないだけなのか、それとも、何かわだかまるものがそれぞれの国にはあるのだろうか。
さらに言えば、アジア諸国の声が聞こえないのは、イスラム教を離れても、アジアの国々の日本に対する真のスタンスが表明されているのかもしれない。
こういう素朴な疑問に答えてくれる専門家がいないのは寂しい限りであるし、あるいは、日本の現状や出来事への理解力不足を示しているのだと考えると恐ろしくなる。こういう深い洞察なくして、複雑な今の世界政治や外交に対処することは困難であろう。私の眼にとまっていないだけかもしれないが。