On草子:秋山鷹志

平成27年8月30日(日)

国民性を軽視する日本の経営者

　スズキが、独自動車大手フォルクスワーゲン（ＶＷ）との資本・業務提携の解消見通しを発表した。スズキが 国際仲裁裁判所に仲裁を申し立てていたが、裁判所がＶＷのスズキ株売却の判断を下したことによる。

　本来技術開発や生産協力を進めるはずだったのだが、ＶＷがスズキ経営への関与を強めようとしたために、スズキが反発して、関係が悪化したという。とするならば、やはりスズキの経営者の判断の甘さ、国民性の軽視と言わざるを得ないだろう。2009年からなんと無駄な時間を費やしたことか。もったいない話である。

　この話はこれまでにも何度か書いてきたのだが、日本の経営者達のこの事への意識の遅れは、いまだあらたまっていない。それどころか、グローバル化の言葉をはき違えて、いずれ失敗を招くような事ばかりが行われている。高度成長からバブル時代まで、どれだけ多くの企業が海外に進出したり提携してきたことか。その結果、成功はほんのわずかで、屍累々の有様である。だが企業寄りの日本のメディアは、およそこの事実を正しく伝えようとはしない。いったいどれだけ多くの国富が、無駄に使われたことか。そして企業がしこたま儲けているいま、またもや同じ過ちが繰り返され始めている。そう危惧するしか無い状況である。


　日本企業はフランスやイギリスなどの企業とはまだしも、ドイツ企業とはうまくいかないことは、海外事情に詳しい人なら昔からよくわかっていることである。ドイツは日本と同じように、勤勉ではあるが、完全主義的で、すべて自分たちで、あるいは自分たちのやり方でやらないと気が済まない国民性をもつ。そんな同じ国民性の企業どうしが、提携してうまくいくはずあるまい。お互いに自分のやり方を通そうとするのだから。同様に、現地法人を作っても、完全支配と日本式やり方を強制するから、摩擦が起きてしまうことになる。

　それに対して、植民地経営の長かった国々は、経験から、出来るだけ現地に任せて利益だけを吸い上げることを考える。そして自分たちのやり方を押しつけないと気が済まないほど、気真面目な性格では無いのだ。そのことが、提携や現地の運営がうまくいく理由ともなっている。


　相手の国民性を無視してしまう日本人は多いのだが、それが日本企業の海外でのいらざる摩擦の原因ともなっている。インドの労働争議、中国の法律違反、中韓より昔から投資をしているタイが同じような発展をしてこない、ギリシャとＥＵとの関係など、実例はいくらでも転がっている。それを国民性によるものと真面目に受け取る事が出来ているかどうかが、成功の分かれ道になる。食品に関わる日本メーカで海外でうまくやっている企業は、必ず味や嗜好の現地化を行っている。味覚は国によって大きく異なることを充分に勉強したからであろう。他の業種も例外では無いのだが、それを理解できていない経営者が未だに多すぎる。 　

平成27年8月29日(土)

橋下徹は小さいな〜　　残念だ！

　個人的には、橋下徹という人物を嫌いでは無い。だが安倍総理同様に、あまりにもその政策が小粒で偏っている。グローバル化のための政策をと言いながら、「東京と大阪の2代拠点化を進める」ために、大阪の名を冠した国政政党を立ち上げるって？

　小さいな〜。サムライじゃ無いな〜。思慮思考が浅いな〜。　　残念だ！　

　彼の書いた「体制維新」なども読ませてもらったが、イマイチである。道州制にしても大阪都構想にしても、何か肝心の事が置き去りにされている感が強いのだ。

　道州制でいくつにまとめようが、大阪を都にまとめようが、そんな事はすべて外形的な話である。これまでの政治が道を誤ってきた箱物行政のばらまきと、本質は全く同じである。残念なのは、彼がそのことに気がついていないことである。

　空港や建物ばかり作るだけで、それをどう生かすのか、利用して何をやりたいのかが抜け落ちていた、過去の地方のあり方と全く同じに見えるのだ。大阪都は別に良いでしょう。どうぞ作ってください。二重行政の無駄も少しは減るかもしれないですね。でも、肝心なのはその先であろう。


　橋下徹に聞きたい、言いたい！　

　私のブログなど読みもしないだろうが、答えてほしいな。大阪都で具体的に何をするの？東京都と2代拠点を作ると言うけど、何を分けて機能分散するの？それとも完全に二重化なの？それなら日本海側に作るべきだよね。いったい何で飯を食べていくの？まさか、カジノだけで将来の日本が食べていけるなどとは言わないよね？
　作られた仕組みで具体的に何をやるのか。その青写真がないようでは、いまの時代にはついて行けないだろう。昔なら、破壊する人間と想像する人間とが別でもかまわない時間的な余裕があった。だが、いまの日本は違うだろう。

　日本中で特区やらなにやら花盛り。○○の拠点として展開、という言葉が空しい。だって、それでその地域全体が活性化して、自立的に食べていける例を見たことが無いのだから。無駄を省くだけでは食べていけないよ！外需だけでも日本は食べられないよ。どうやって、内需を起こして食べていくか。その答えを書けない政治家なんて、いらない！



　大阪という名を冠した政党など、日本では全く相手にされないだろう。その気質を理解できていないところが、不勉強なのだよね。地域名などつけたら比例はがた減りだよ。とくに、我々東京人は、大阪というか関西がそれほど好きで無いから。

　国政には是非出てほしい。そしてもっと大きな視野を持って、日本全体をどうしていくのか、その基本的な考え方と個々の具体的な案を示してほしい。具体案がうまく見つからなければ、私の烈風飛檄（日本改革私案）を参考にしてほしい（な〜）。抽象論では無く、ひたすら具体的な話にこだわって書いているのだから。


　本当は表舞台から完全に姿を消す時期を数ヶ月でも作るべきだよな。私なら、そういう戦術を使うけどな。

平成27年8月26日(水)

抗日戦勝利記念行事への参加国の分析を怠るな

　中国が９月３日に北京で実施する抗日戦争勝利記念行事への参加国が、30ヶ国にのぼると発表された。欧米と日本は不参加、中国との経済的関係が深い国や同じ共産主義系国家からの参加が主である。

　日本も当初は参加とみられたが、結局アメリカに足並みをそろえる形で不参加となった。欧米不参加と言うことで、日本のマスコミはあまり分析的な報道を行っていないようだ。かっての東西対立や中国との経済的な結びつきの強さだけの話ばかりで、それ以上の突っ込んだ詳細なものが見受けられない。それで本当に良いのだろうか？

2015.08.26

平成27年8月26日(水)

犯罪認否の新しい手段を考える時では

　最近の犯罪者を見ていると、逮捕された後、悪いやつほど堂々と否認したり、黙秘を続けたりすることが多いように感じられる。証拠隠滅や捜査の攪乱まではじめから意図した行動なども、当たり前になってきた。凶悪犯や犯罪を繰り返すような犯人が、証拠不十分で釈放されたり、短い刑期で社会復帰をすることは、決して望ましいことではあるまい。

　むろん、証拠も無い人間を罰するようでは、冤罪と変わらなくなってしまう。だが、最近の犯罪者のあくどさを考えるとき、何らかの対抗手段を考えるときに来ているのでは無いだろうか。　端的に言えば、嘘発見器のような新しい手段である。その精度の低さから、全く顧みられなくなった嘘発見器である。しかし、科学技術の進歩はとどまること無く進んでいる。現在あるいはもう少し先の科学技術力により、犯罪者の犯罪認否をもう少し確実なものにする手段を考えても良いときなのでは無いだろうか。

　それだけで証拠とすることには無理があっても、それが犯罪者の心理に影響を与えて自白などがなされれば、それを元にした証拠も集められるであろう。ネットの普及などにより、犯罪者が犯罪を隠蔽したり、捕まってもごまかしたり、黙秘によって証拠を集めさせないという手段が、多くの犯罪者の知るところとなってしまった。嘘発見器はさておき、何らかの対抗手段を講じないと、結局悪賢い犯人だけが得をすることになる。

　さらに人権派を気取るゆがんだ弁護士たちの、何かと言えば責任能力争いに持ち込む異常な法廷闘争も、広く知れ渡ってしまった。そのために、自分がいかにも正常では無いかのように振る舞うものまで出てきてしまった。　むかし人権がいまほど尊重されていない時代には、仮に凶悪犯罪で責任能力を逃れた犯人には、一生精神病院暮らしという結果が待っていた。だが、いまでは、全く逆で、精神病院に送られるどころか、刑期が短縮されて社会にいち早く戻る。そこで再び犯罪を起こすものも多い。人権は最大限に尊重されながらも、悪いやつほど得をするような社会であってはならない。そのためには、最新の科学技術力を総動員して、対策を考えるべき時である。

　脳科学の進歩は脳の反応を外から検知できるまでに進んできた。ならば、その反応パターンを組み合わせることによって、何を犯人に問いただせば追い詰められるのかがわかる事ぐらいは、いまでも実用化できそうな気がするのだが。科学捜査の幅は今後拡大していく、いやさせねばならない。安全な社会のためにも。

平成27年8月25日(火)

大舞台で勝てない日本のスポーツ選手

　世界水泳、世界陸上、柔道世界選手権...

　共通するのは何か。言うまでも無い。事前の予想に反して、結果が悪いという事である。　日本のスポーツ界では、大きな本番で勝てないという事実（ジンクス？）は、もはや誰もが認識している事であろう。水泳なども10個のメダルは取れると言いながら、わずかに4つ（だったかな？）。世界大会の前には、世界トップクラスの記録を持ちながら、本番ではその記録すらも出せない選手が多い。

　日本では、負けた人間にむち打つことをしない気質なので、勝てなかった選手を責めることはまず無い。わたしも、個々の選手を責めようなどとは思わないのだが、なぜ毎回毎回、こういう結果になるのかについて、スポーツ関係者は、もっと真剣に考えるべき時なのでは無いだろうか？

　選手個人それぞれの原因も、もちろんあるだろうが、これだけ多くの競技種目で多くの選手が同じような事になるのは、明らかに日本スポーツ界特有の問題点があると考えるべきである。


　選手選考の問題、指導者の力不足など、すでに指摘されている事はさておき、ここでは二つの事を指摘しておきたい。

　ひとつは、選手のメンタル（精神力）の問題、もう一つは、大きな大会前の状態が選手のピークになっている事である。


　戦前の精神重視の反動から、戦後はスポーツ界まで精神力を強くすることが悪であるかのような風潮が蔓延した。精神力という言葉が、メンタルトレーニングというカタカナに置き換わることで、ようやく呪縛から解き放たれたはずなのだが、それがうまく機能していない。

　日本のメディアは、芸能人同様にスポーツ選手を追いかけ回してプレッシャーをかけまくる。時には、練習の妨げにすらなっているのだろう。それは確かに悪いのだが、それでも尚、そのプレッシャ−や妨害から自分を守り、自己制御を維持し続ける強い精神力こそ、1流のスポーツ選手に求められるものである。だが、そのような訓練は、全く成されていないのではないだろうか。本番や大舞台に弱い選手は、むろん運もあろうがやはり精神力が弱いと言わざるを得ない。

　もう一度、「精神力」という言葉の中に含まれるさまざまな精神に関わる機能を分析し、各選手においてはそのどれがたりないのか、弱いのか、総合的な分析が必要であろう。スポーツ生理学だけでなく、心理学の専門家も入れた専門家の対応が必要なのだ。


　もう一つが、選手のピークの問題である。言い換えれば、伸びしろの問題である。大きな大会の前にいくらいい記録を出しても、本番でその記録すら出せない、実力を発揮できないのは、実は、その選手のピークが、本番前にあったからなのでは無いだろうか？失礼ではあるが、本番前が最高潮で、それからは下降気味、大きな大会の時にはピーク時の力は無い、という例が多いのでは？

　舞の海が、相撲で期待された日本人力士がなかなか勝てない理由のひとつとして、似たような事を言っていた。学生相撲などで有力視されて角界に入るのだが、その時にはすでに太りすぎていてそこがピークの状態にあり、プロになってからの伸びしろが無いと言うのだ。私もこの意見に賛成である。相撲取りだけで無く、多くのスポーツ選手がそうなのでは無いだろうか？

　大きな大会前のピークの状態を、本番まで維持し続けるという技術的なものもあるだろうが、そもそも、本番前が選手としてのピークなのであれば、伸びしろなど無く、最高でもピークと同じ記録と言うことになる。それに先の精神力の問題が重なれば、もはや勝てないのは当然とも言えよう。

　選手のピークや伸びしろを見極めることは、非常に難しいことである。だが、本当にプロの指導者やスポーツ関係者だというのならば、それを見極める眼の無い人間たちが、選手の上にいることがそもそも大きな間違いである。この事柄は、もっと真剣に考えられなくてはならないはずである。メディアやスポーツ評論家や専門家というのなら、こういうことをもっと指摘すべきだと思うのだが、あまり聞いた記憶がないのは、寂しい限りである。

　人間そのものを育てない限り、今度の東京オリンピックでも、同じ事が繰り返されてしまう恐れがあると思うのだが。

平成27年8月21日(金)

防衛省の人事管理方法の改善を急げ

　安全保障法案の質疑において、共産党が、自衛隊の統合幕僚監部が作成した文書をもとに政府を追及した。法案成立前に成立後の部隊編成などを検討しているのはけしからんというもの。相変わらずのばかげた、ためにする論議である。成立するかもしれない法律の影響を調査研究することがけしからんなどという、ためにする論議にはついて行けない。


　より深刻なのが、自衛隊の幹部からこのような内部文書が漏洩し、敵である共産党（自衛隊を違憲として認めないのだから当然敵であろう）に易々と渡してしまう、情報管理の甘さである。自衛隊は、軍隊でありながら、機密保持の体制について首をかしげたくなる事例がこれまでにも発生している。とりわけ、上級幹部などの扱う情報での漏洩が多いのは、いったい何を意味しているのだろうか？


　自衛隊幹部候補生や防衛省の文官官僚には、ときどき反自衛隊的な発言をする人間が見うけられる。これはいったいどう言うことなのだろうか？主義・思想についての調査が甘すぎるのでは無いか？どんなに優秀な組織でも、内部から攻撃されては防ぎようがない。

　退官した元統幕本部の人間のおかしな発言、アメリカに日本の政治の秘密事項を漏洩していた自衛隊幹部、今回のように時々見られる野党などへの情報漏洩。いったい、彼らはどこの国の安全を守っているのだ？

　政府は、自衛隊の人間に対する教育や身上調査などを、もう少し厳密におこなって足下を固めるべきであろう。これでは、ＮＳＣも情報保護法も意味があるまい。すべては「人」なのである。

　国家機密を平気で売り渡すような卑怯な人間たちは、所詮、自分がかわいいだけの身勝手な人間たちである。危機において最初に逃げ出す輩であろう。このような日本人の劣化が、自衛隊・防衛省に及んでいないという証拠など、どこにもない。今回はなんとしても漏洩のルートを突き止めるべきである。それが出来ないときこそ、防衛大臣と幕僚幹部は辞任すべきであろう。

平成27年8月20日(木)

五輪騒動に共通する外来崇拝

　新国立競技場、五輪エンブレムと次々出てくる騒動。前回の東京オリンピックと比べてみると、これは偶然ではあるまい。一言で言えば日本人の劣化であり、裏側には官僚とそのお仲間の外来崇拝思考が見えてくる。


　前回の東京オリンピックでは、日本中が心を一つにして成功させようという気概にあふれていた。学校で無理矢理五輪音頭を踊らせたのは、少々行き過ぎだと思うが。新国立競技場建設では、能力・経験がない文科省にやらせたのが間違いだという話がある。それは必ずしも正しくないだろう。前回の国立競技場も文部省の役人が担当し、わずか1年半でオリンピックに間に合わせたのである。おまけにその後長い間、スポーツの中心としての役割も立派に果たしてきた。ある省がだめなのではなく関係者全体の問題なのだ。
　ＪＯＣや文科省の役人たちに共通の無責任。群がる企業や関係組織の自己中。前回の東京オリンピックとの違いはまさにこの日本人の質の違いにある。


　ここではそのさまざまな問題の中から、外来崇拝を取り上げてみよう。

　新国立競技場でも、五輪エンブレムでもその発端はデザインである。しかも、どちらも日本人の感性に合うとは思えないデザイン。新国立では、建築界では問題ありというデザイナーのデザインをわざわざ選び、さらに問題を大きくしてしまった。建築デザインに関わる業界内の派閥や人間関係が、デザイン選定の人選やデザインの選出そのものにも大きく影響を与えていたことは、もはや明白になった。
　それにしても、日本人デザイナーによる周囲と調和したデザインを無視して、はじめから場所にも収まらないほど巨大なものを、いかにデザインだけで選んだからと言って選ぶものであろうか？常識から大きくずれている。ここに、選者たちの外来崇拝が透けて見える。西洋至上主義的な感覚、これこそ外来崇拝であるが、日本的でないもの、外人によるものというゆがんだ選択を後押ししている。むろん本人たちは、その意識すら希薄だったのかもしれないが。

　五輪エンブレムでも全く同じ事が見て取れる。大手広告代理店との癒着やデザイナー間での争いという土俵のうえで、新国立デザイン同様に、日本的でないもの、西洋的なものがかっこよく進んでいるという外来崇拝が、あのように「出来損ないのピカソ」にしか見えないものを選ばせることになる。また、だからこそ海外デザインの盗作問題まで引き起こしているのである。あれが招致ロゴのような純和風のデザインであれば、盗作問題も起きなかったであろう。


　この外来崇拝というのは、言葉を換えると他文明の過剰受容ということである。それが明治維新以降未だに、欧米という他文明こそ進歩の証であり、それを取り入れられる自分たちこそ進んだ人間なのだと思い込む性格が日本人の一部にある。とくに官僚、役人や大きな組織、国家権力に連なると考えている組織似属する人ほど、この外来崇拝思考が強い。ある程度の地位や名誉を持ち、実権を握っていると勘違いした傲慢な人間たちが、とりわけ陥りやすい罠なのである。詳しくは「日本人の気質 　第6章文明の受容」を参照されたい。


　外来崇拝思考は、無責任とも絡んでよりいっそう問題を複雑化させて、そこに外来崇拝が潜んでいることを覆い隠す。

　エンブレムって何だ？次々氾濫するカタカナ言葉。その発信源の多くが官僚とマスメディアである。日本文化を大事にと空々しいことを言う（最近はこれすら言わないが）ＮＨＫが、日本語を使えと裁判を起こされるような現状にある。このことも、実は外来崇拝の意識が裏側にくっついている五輪騒動と同じ体質なのである。

　エンブレムの説明でも、やたらと横文字が氾濫し、わかったようなわからない説明が成されていた。くどくどと説明しなくてはわからないデザインなど、すでにはじめから失敗であろうに。一目見てわからせるのが、デザイン力である。にもかかわらず、くどくどぐたぐたと説明する姿。まさに役人が責任逃れで行う弁解と全く同じ姿である。下々や遅れたものにはわからないだろうから、よく聞け。そんな傲慢な態度がにじみ出ているのだが、本人たちは一向に気づいていない。


　新国立のデザインでも、訳のわからない条件が付いている。それは、特定の受賞実績である。本当にデザインだけの審査なのならば、なぜ受賞実績がいるのだ？それでは、真に斬新なデザインでも、新人は応募できない。もし、設計から施工までの条件も含めるためだったというのなら、なおさらデザイン受賞歴など無関係であろう？なぜこの事にこだわるのかと言えば、官僚や大手企業の担当者が何かやるときに、まず自分の責任を回避するための防御を考えると言うことがある。それがここに現れている。


　実績ある人(もの）を選んだと上司に言うのは、官僚的担当者の常套手段である。サラリーマン生活においてもいやと言うほど経験してきた。はっきりいえば、担当者は成功しようがしまいが一向にかまわないのだ。自分に責任が来なければ。むろん、うまくいけば手柄は当然自分のものにするが。この無責任さと外来崇拝が相まって、ＮＨＫや役人のカタカナ語の氾濫や五輪の無責任デザイン選定へとつながったのである。

　建築・設計会社などの関係者たちも同じである。前回は、みんなで協力しようという意識が強く感じられたが、今回は、いかに国の金をふんだくるか、いかにぼろもうけをするか、そんな事ばかりが見えてしまう。純粋であるはずのスポーツ界も残念ながら同じ穴の狢である。ひたすら自分たちの競技の条件ばかり強引に押しつけ、次々と要求を出して、ついには新国立競技場に出された要望が１２０を越えている。こんなばけものみたいな競技場、どうやって作るというのだろうか。

　ひどすぎる日本人の劣化。思いとどまらせる国民の意思が存在していたことが、まだせめてもの救いである。エンブレムも早く追加の決断を！　8月19日ブログ「感性が拒否する五輪エンブレム　早く追加を」参照。

平成27年8月19日(水)

感性が拒否する五輪エンブレム　早く追加を

　ごたごたの絶えない東京オリンピック。無関心から一転、国民の関心が集まったのは良いが、理由がこれではあまりにも情けない。五輪エンブレムは、アンケートでも、作り直すべきが８５％に達している。私もそう思う一人である。だが、大人の事情もあろうし（あるのかな？）、ＩＯＣはじめ関係者のメンツもあるだろう。しかし、もう十分恥をかいたのだから、現実解を求めよう。

　初めて五輪エンブレムを見たとき、何だこの「ピカソの出来損ない」みたいなのはと思った。どうみても、日本人の感性ではない、少なくとも私の感性には全く合わない。そんなものがなぜ選ばれるのかについては、別に書くとして、ここでは今すぐとるべき方策についてである。

　すでに提訴までされているので、現在のエンブレムを取り下げることは出来まい。だが、ここまでけちが付き、実際賠償のリスクがあるエンブレムを企業などが使いたがるはずもない。だから、現実解として新たなエンブレムの「追加」を行うのである。新たな応募はかえって問題が多いだろうから、東京招致に使ったロゴを利用しよう。この招致ロゴは日本をよく表しているし、日本人の感性にも合っている。すでに公開されて何年も経つのだから、盗作等の問題もクリアされている。


　いますぐ、総理の決断で追加をすべきであろう。追加なら、ＩＯＣのメンツもつぶれないし、企業も好きな方を選べる。外人には、いまのピカソもどきがよければ、使ってもらえば良いのだ。

正式な招致ロゴ



　この騒ぎで、さまざまなところから新デザイン案が出てきている。私も悪のり。

招致ロゴに手を入れたもの

北京でも漢字「北」をデザインに入れた。日本なら「かな」であろう。ということで。

早く追加して！

平成27年8月19日(水)

馬鹿まじめＣＭと日本人の劣化

　テレビでは、犬のお父さんや桃太郎とかぐや姫など、奇想天外と言うよりもアニメチックなＣＭが頑張っている。そんな中、唯一異色とも言えるのが馬鹿まじめな配達員のＣＭであろうか。酒も飲まずひたすら馬鹿まじめな態度で、自分の仕事（ゆうパックの配達）をこなすＣＭである。ＣＭ的には女優の演技力で持ってるようにもおもえるのだが、それはさておき、テレビＣＭは時代を映す鏡でもある。とすれば、これは何かの象徴となり得るのだろうか？
　これまでテレビＣＭ（テレビ自体もだが）は時代を映す役割さえも果たせないほど、猥雑でくだらないものばかりが氾濫していた。いまもあまり変わらないのだが、ぱらぱら動画がはやった頃から、少し風向きが変わってきたのかもしれない。


　社会に眼を転じると、次々と出てくる五輪のごたごた。残虐な事件に未成年の犯人。止まらない鉄道での数々のトラブル。企業の不祥事の連鎖的とも言える発覚。なくならないいいじめ自殺と教育者の隠蔽。警官、医者、裁判官、教師あらゆる職業において倫理観なき職業人の出現。一向に減らない特殊詐欺。これが、日本人の劣化で無くして何であろうか？

　平成という時代は、まさに日本人劣化の時代であった。バブルから急降下で成長が止まり、借金でばらまきを続けたことがさらなるデフレを呼ぶ結果となり、さまざまな社会的格差が拡大した。そのような状況下において、これまで成長や反映を謳歌してきた世代は、ひたすら過去と同じものを要求し、支配階級や政治に携わるものたちは自己保身と自己満足のために、借金をしながら大衆迎合政策を採り続けてきた。その結果、社会の荒廃や日本人の劣化はさらに進むことになった。

　それにしても、この日本人の劣化、どうして止まらないのであろうか？いまも唯々、坂道を転げるように落ち続けているのであろうか？そんな事は無い。そう信じたいし、それを示す兆候もみられている。ただ自分たちは現状に満足し既存の安定にあぐらをかく、政治家、経営者、官僚、マスメディアや知識人など、現在の社会を直接牛耳る人々には見えていないだけである。

　大きな自然災害や社会的な事変などを契機として、それまでの傲慢で保守的な人々の意識が変わるところから、日本の変革は常に始まってきた。戦後70年談話の評価に対する20代の評価など、種々のアンケートにおいても、この頃20代あるいは30代が他の世代と異なる傾向を示すようになってきたのは、時代の変化に対応した人々の意識の変化なのかもしれない。

　バブル期もその後も、まじめにコツコツ働く人間は能力が無く、うまく立ち回りながら楽して儲ける、たとえ悪事を働いてもかまわないという社会に蔓延していた空気が、変わり始めたと思う。その象徴が、あの馬鹿まじめＣＭのような気がしてならない。「まじめさ」を失ったことが、日本人劣化の大きな原因の一つである。それを真正面からとらえたＣＭ。本当は、真面目を馬鹿にする風潮だからこそ作っただけなのかもしれないが、私には逆に見える。時代を映す鏡は、制作者の意図を越えて、時代の中にその根をはるものだから。この馬鹿まじめがいつの日か、大きな花を咲かせると信じたい。

平成27年8月15日(土)

反戦と安保を混同する無知が道を誤らせる

　戦争反対、誰も反対や異議など唱えるものがいようか。戦争をしないためにも、自国の安全保障をどうするのか真剣に考えなくてはならない。だが、いまマスコミを始めとした反阿倍の大合唱は、安保を考える事が反戦に反対なのだというとんでもない嘘をまき散らして人々を扇動している。ＮＨＫもテレビ局の多くも、それに沿った番組をたれ流し続けている。なぜなのか？

　戦争をしない、戦争にならないようにするために、自国の安全をどのようにして維持していくのか、その具体的な政策や心構えを国民自身が論じ、考えなくてはならないはずである。いまの安保法制に反対でも、米国追随に反対でも、それはそれで良い。良いだが、安保問題を論じることが、戦争参加などというばかげた、あまりにもばかげた話を簡単に信じてしまう、その無知こそが、戦前の軍部暴走を後押ししたのである。

　皇国不滅などとおもいあがり、世界から孤立した中で、米英などと戦うことがいかに無謀なことか、戦前の日本人は理解できていなかった。いまは、方向性が全く逆なだけで、国民の無知さには全く同じものがある。何も考えない、現実からひたすら眼をそらす。口に平和を唱えて、戦争の悲惨さだけを伝えることが平和を生み出す。その洗脳に毒されて、本気でそう考えていることが恐ろしいのだ。

　その無知が、結局は特定勢力に利用されることにつながってしまうのである。わたしには、マスコミ特にテレビ番組の狂気にも近い反戦洗脳は、一部の国民の間にすでに集団ヒステリーを引き起こしているように見える。それは、勝手の中国人が毛沢東の運動に狂喜乱舞した姿に重なる。60年代の学生が、火炎瓶を投げてひたすら暴力を是認し続けた姿と重なる。もちろん戦前の大日本帝国軍の姿にも。

　わたしは、この無知の生み出す狂気こそ、この国を滅ぼす大元だと信じている。この集団農耕型気質のもつ弱点が怖いからこそ、「日本人の気質」を書いたのである。その警鐘を一人でも多くの人に受け止めてほしいと心から願うのだが。


　右とか左の方向性が問題なのでは無く、無知から集団パニックを起こし極端に走る国民性（気質）が怖いという図。

平成27年8月14日(金)

戦後70年談話の感想

　安倍総理の戦後70年談話を聞いた。かなりの長文であった。基本的には、現在の日本が置かれている国際的な立場や状況からすれば、かなり良いできであったと思う。本人の思いは知らないけど。特に出だしの歴史を語る部分の冒頭で植民地支配が世界中で行われており、日本はその最後の国として行動したというくだりは、あたかも日本だけが植民地政策を行ったかのような、戦勝国の傲慢な物言いへの精一杯の抵抗が含まれていたのであろうかとも思えた。

　実際私の知る限りでも、中国は昔は6ヶ国の侵略国という事を言っていた。それらの6ヶ国を忘れるなと言う施設も作られていた。それがいつのまにか、日本だけが侵略国であるかのようにすり替えられたのは紛れもない事実であろう。6ヶ国は記憶にたよっているので、もしかしたら正確では無いかもしれないが。

　それはさておき、内容に戻ろう。さっそく、反阿倍の新聞や専門家は、いちゃもんをつけていたし、民主党もおなじ。この国では、国益という言葉はまさに死語なのだろう。予想外に踏み込んだ「悔悟」という強い反省の弁まで言われてしまい、文句を言いづらかったというのが本当であろう。反対のための反対しか言えない無知な人間の言葉にこだわっても致し方が無い。ここでは別のはなし。

　せっかく、それなりの良い演説なのに、どこか物足りなさを感じるのは、20分以上に及ぶ長い演説に、抑揚やメリハリが感じられなかったからであろう。正確に、そして理論だてて説明するのは良いのだが、長い演説においては、聞き手の注意を引くための強烈な言葉や特徴ある言い方を、所々に交える必要がある。また長すぎて、前の話を忘れていくので、いくつかに分けてはなし、その間には休み時間をいれる。そのうえで、次の段落では、前の内容をコンパクトにまとめた言葉でつないでいく。こんなテクニックも必要だったのではないだろうか。


　さて自慢話である。学生のとき、話し下手なわたしは社会人になるための準備として、話し方教室に通うことにした。そこは非常に実践的で、その場でテーマが告げられ、5分考えた後、一人ずつ3分で話をするというものだった。時間内に起承転結を折り込み、かつ聞く人の興味を引く話をするのはかなり難しい。それでも必死で挑戦していた。
　1ヶ月ほどして、講師に呼ばれ、こう言われた。「あなたはなぜここに来たのですか？あなたがこの教室で学ぶものは何もありませんよ」と。で、首に、いや教室をやめることにした。

　その後の就職活動においても、ＳＥしかやりたくないという私が、面接をすると必ずと言って良いほど営業向きだと言われた。そう話術とは、いかに切り替えて別の自分を作り出し、それに自らのめり込むかなのだろう。演技派女優と言われる人の多くが、普段は口べたなのと同じである。

　せっかくの演説なのだから、もっとオーバーアクションや誇張した言い回し、抑揚や間の取り方までやってもらえたらもっとすばらしかったのだが。少しばかり残念である。

---

　後は、独立派であるはずの安倍総理が、今のところアメリカのポチ化した政策ばかり実行しているように見える。それが一般国民の反発を招いていることにも留意してほしいし、経済政策などアメリカ流一辺倒では失敗することも理解してほしい。そのためにいま「文化と文明」を書いてる。あ、彼の目にとまるはず無いか！

平成27年8月14日(金)

売春も合法化　それが個人の自由！？

　『国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは１１日にアイルランドのダブリンで開いた方針決定会合で、性産業を犯罪としての取り締まり対象から除外する措置を支持することを決議した。』（CNN.co.jpニュースより）

　ネット検索してもこのニュースを報じている日本の大手マスコミは産経だけである。「アムネスティ」で検索をすると、なぜかアムネスティが日本批判をしている記事はＮＨＫをはじめ数多く出てくるのだが。もうこの手の話はやめておくとして、ここでは売春防止法との関係をみてみたい。

　上述の記事内容ではわかりずらいので、もう少し説明を加えておこう。「刑法の適用除外を支持するのは合意に基づく成人の性的労働や、成人同士の間での合意に基づく性の売買に限る」つまり、合意の上でのおとな同志の売春は、法律で罰しないようにするということである。


　個人的には、この声明に賛成するわけでも、評価するわけでもない。むしろ今頃どうにもならなくなって悪あがきしているとしか思えない。人権の名の下にすべてを白黒分けて糾弾するだけの欧米の硬直的な原理主義にはうんざりしていたのだが、はしなくもその限界を自ら認めたことになる。その点を強調したいのである。

　日本の売春防止法。生ぬるいという人権派勢力の批判にさらされていたが、結局、まだましであったことが証明されたようなものである。というのは、売春防止法には、売春を行った側も買春をした側も、お小言くらいは食らうのかもしれないが、法的には罰されないのである。違法なのに罰則規定が無いのだ。この法律が制定された戦後間もない頃は国も貧しくて、仕方なく売春をしている人たちの存在を弱者と見なし、それを罰することはおかしいという考え方があったからなのだ。代わりに、売春を商売として斡旋したりする周囲の業者などは罰せられる事になっている。これによって、社会の風紀が乱れることを最小限にとどめながら、弱者の売春には眼をつぶったのだろう。日本的な大岡裁きのような法律だと思う。むろん未成年者については全く話が別である。法的にも厳罰が待っている。

　現在の売春防止法がすべてそのまま正しいとは思わないのだが、評価したいのは、日本の法律も杓子定規で柔軟性に欠けるものが多いなかで、どちらかと言えばまだ柔軟な対応を可能にする余地がある法律ではないかと思う点にある。


　アムネスティの硬直性は、売春当事者だけで無く、業者まで許している点にある。おとなの売春ならそれを商売にする売春宿なども合法にしろというのだ。まさに、白か黒かに峻別しないと気が済まない欧米の価値観がもろに見て取れる。これでは他の人権団体から批判されても仕方が無いだろう。

　「性労働者は世界で最も疎外されている集団の一つであり、ほとんどの場合、常に差別や暴力、虐待の危険にさらされている」だから、合法化するのだという。本当だろうか？そもそも、このアムネスティの決定なるものが、売春防止法の弱者保護のような視点からではなく、大麻を自由化した欧米の一部の流れと同じで、個人の自由最優先の流れから出てきたもののようにみえる。とするならば、これほどばかげた決定はあるまい。この点について突っ込んだ報道はどこにも見られないのだが。


　いかなる理由であれ、売春を正当化することは人間としての道徳心からは出来ない。だが、やむを得ない事情の弱者については、眼をつぶる。しかし、なんとかして、そのような状況を抜け出させるように支援することこそ、真の人権であり人間尊重であろう。合法化にさしたる意味は無い。いっぽうで、遊ぶ金のために身体を売り、自力では手に入れられない美的な肉体を金の力で手に入れる、そんな人間が多くなっているのも事実であろう。ただ、闇のものをわざわざ明るいところに引き出して、それを積極的に認めることが、人間の進歩だというのならば、わたしは時代遅れのままで良い。

平成27年8月10日(月)

反米は左から吹く民族主義の風

　メディアとりわけテレビの報道番組は、あまりに愚かで見る気はとうに失せているのだが、たまたま眼に入ったいくつかの番組などから感じることがある。それは、安倍憎し、自民・右より・保守等、みんな嫌いのテレビやジャーナリスト（と称している人たち）が作る反米番組についてである。

　ＮＨＫは相変わらず、ひたすら言霊平和主義（平和を口にするだけで現実を無視する原理主義）を信奉しているとしか思えないのだが、その彼らが反米一色とも言える番組をやっていた。それは、先の大戦における日米のプロパガンダについてのドキュメントである。戦前の軍部の大本営発表に代表されるように、国の権力者たちは国民を洗脳して自由に動かそうとするものである。だが、それは全体主義的な体制の戦前の日本だけの話ではない。言論の自由、民主主義を口にしながら、裏では国民を対日戦に積極的に参加させるために、さまざまな思想統制と洗脳をやっていたのがアメリカである。

　有名な硫黄島のすり鉢山に星条旗を掲げたアメリカ軍兵士の勇姿。だが、すべて「やらせ」だった証拠を次々と提示し、戦後もその嘘を続けてきたと断定した。

　東日本大震災においてはまるで死者ゼロであるかのように、被害者などを映さない報道を続けていたＮＨＫが、このドキュメントにおいては、テロップで断りを入れながらも、多くの戦死者の壮絶な姿、負傷者の悲惨な姿、気が触れた米兵の姿などを放送していた。もちろん彼らは、安保法制反対の立場から戦争の悲惨さを訴えることで国民の誘導をはかっているのであろうが、私にはそのもくろみは、はずれてしまったような気がするのだ。


　民放でも、原爆投下は明らかに実験であり、それを投下するためにアメリカは日本の降伏を故意に伸ばさせたこと、原爆の威力測定のために通常の爆撃をこれらの都市では控えていたこと、日本割譲のソ連との密約など、これまではテレビではタブーに近い内容の番組がいくつも作られている。

　リベラルを自任する彼らからすれば、人道主義・平和主義に基づくものだというであろう。だがアメリカ従属への安倍政権への反対姿勢が、これまで民族主義的な勢力が口にしていた愛国心をあおる言動と同じ事になっている、という事実にはたして気が付いているのであろうか？

　安倍総理の保守的な政策に賛成している国民層も、心のどこかでは、あまりにもアメリカ従属いや隷属では無いかと感じているのではないだろうか。私がそうであるように。そういう人たちにとっては、反米的な内容は、反阿倍につながるのでは無く、むしろこれまで虐げられていた愛国心や民族主義の心を呼び起こす事につながっている。


　戦後のアメリカの思想教育や洗脳の占領政策からぬけだして、ようやく対等に日本人の視線でものを見、考えて発言できるようになったことは、日本の自由がようやく一人前になり出したことでもある。したがって、その事を否定する気はさらさら無い。しかし現実世界を無視してひたすら感情に訴えるだけの報道は、結局権力者のプロパガンダと同じ役割をしてしまうだろう。

　アメリカや世界の汚さを白日の下にさらすことは、正しい認識のために必要である。だが、同時にそれらの力が未だに世界を支配していること、それに対していまの日本の力で何が出来るのか、なにが足りないのか、そこまで伝えてこそ、真の報道ではないのだろうか。

　いずれにせよ、戦後70年。いま日本人は、自らの民族意識に間違いなく目覚め始めている。右であれ左であれ、その言動の中にその風を強く感じるのは私だけなのであろうか？　このまっすぐな気持ちを大切に育てながら、道を再び誤らせないような、具体的な政治がいまこそ求められている。出でよ、サムライ！