気質が生み出す自縄自縛

 自縄自縛(じじょうじばく)とはいうまでもなく、自分の言動が自分を束縛して、自由に振る舞えなくなることである。日本社会や日本人を見ていると、どうもこのような傾向が強いのではないかと思うことが多い。自分で自分の首を絞めるような愚かなことがなぜ起きるのか、そこにも日本人の気質が見え隠れする。

馬鹿正直、横並びが生み出す自縄自縛

 争いごとを好まないのは良いのだが、商業上や外交上の交渉においても、相手に強く出られるとすぐに引いてしまうのが集団農耕型の弱点である。目の前の問題を逃れるため、保身のため、くくりへの撞着のため、もめてることを隠すために、より大きなことや将来を考えなくなる。そして非常に不利な自縄自縛の宣言や約束事・契約をしてしまう。しかも、愚かにも一度決めるとそこから抜け出せなくなる馬鹿正直さがあり、さらに横並びで現状を変えようとしない性格がそれを強化する。結果、海外との様々な不平等を放置する外交、政治的、経済的な諸問題を引き起こしている。


 ブログでもかなり以前に中国のカントリーリスクを考えるべきだと繰り返し述べてきたが、日本企業は全く何も考えずに、目先の欲と横並び意識で進出を進めてきた。結果、技術どころか財産まで奪われる事態が起きてしまった。松下電器(パナソニック)が裏切られたのは有名な話である。この状況はその後も続いた。
 そしてリーマンショック後に、中国では長期採用の義務化や経済保証金という強制的退職金の制度を作った。これら一連の動きにカントリーリスクが高まったと判断した欧米は、中国からの撤退、投資の引き上げなどを開始したにもかかわらず、日本だけが異常に進出を加速、投資を増加させた。横並び気質でも、なぜか海外勢を見ずに日本の仲間だけを見る奇妙な横並びなのだが。その挙句が、反日デモ、暴動、不買、経済制裁という憂き目にあっている。こういう気質が見透かされるから、反日にも利用されてしまうのである。


 問題点を直視するより他のまねをしていれば、同じなんだから大丈夫だろうとの楽観主義的横並びが、現状に眼をつぶる考え方を加速する。さらに状況の変化に迅速な対応が取れない、一度はじめるとなかなかやめない執着性が、傷口を広げてしまう。農業のようなものであれば、どんなに進んでも1年の失敗で、自然がそこで押しとどめてくれる役割をはたしてくれる。同じ意識のまま経済活動を継続すればどうなるか。出遅れて環境がかわっても、もうとまらないという悪循環に陥ってしまう。ここ20年ほどの日本の大手企業、とりわけ製造業はこのわなから抜けきれないでいる。

 自縄自縛の例はいくらでもあげることが出来る。外国との各種契約、領土問題での曖昧な約束や言い回し、日米安保に代表される不平等条約などきりがない。日米半導体摩擦時、アメリカとの約束で韓国に技術を譲渡することになり、それをいつまでも馬鹿正直に守って悲惨な結果を招いている。スポーツでも、日本人選手が活躍すると欧米がルールを勝手に変えてしまうが、なぜか反発すらしない。様々な気質が悪い方向に寄せ集まってしまうのが、集団農耕型の最大の問題なのかもしれない。

 自虐的な自縄自縛とは、自分さえよければそれで良いという、自己中のもつある一面なのだろう。

平成30年7月17日(火)



 本編「日本人の気質と歪んだ社会」では省略した項目にひとつにこれがある。ネット公開時(平成27年)のままであるが、再掲する。

2018年07月17日|気質のカテゴリー:補章