少数意見に引きずられてしまう理由

 日本社会を見ていると、なぜこんな少数であるはずの意見が大手を振って我が物顔でまかり通るのか、という思いをすることがよくあります。特定のイデオロギー的な主張に全体が引きずられてしまう各種の組織、声の大きな発言者の意見ばかりが通る会社の会議など、多くの人が経験しているのではないでしょうか。

 日本人の大半を占める集団農耕型社会や集団組織においては、最初に強く発言した人物の意見がそのまま通ることが多いのではないでしょうか。理由として、同調する気質がよく言われます。それは確かですが、同調するからというのは、ある意味では結果論でもあります。

 大勢の人の前で、すでに声高に叫ばれた意見に反対を唱えることは、非常に勇気と力が要ることです。そのために、賛成ではなくても、仕方が無いかと同調してしまうことも多いわけです。容認は必ずしも賛成ではないと知るべきでしょう。

 このことが、戦後日本社会が左傾化したまま元に戻らないことの理由のひとつで有り、改革が叫ばれながら旧態依然とした企業や役所が減らない理由なのです。

 現状を変えさせるには、その場の同調者の空気も含めて破壊するだけの、強い力が必要になります。破壊をする事が出来ない集団農耕型の気質では、なかなか難しい事です。ですから、破壊を恐れない孤高武士型気質の人物に強硬な発言をさせて、その場の空気を変えてしまう必要があります。一度場を壊せば、さしもの集団農耕型気質の人達も、少しは自らの考え方に従うようになります。そうなれば、偏ったイデオロギー主張には反発も生まれますし、改革の必要性も強く感じるようになります。そして、新しいやり方が自然と選択されるようになります。

 大きな声には、大きな声で対抗する、時にはそういうやり方が有効なのです。

令和2年(2020)6月22日(月)

2020年06月22日|気質のカテゴリー:補章