パチンコ両替や消費税に見る気質①
パチンコはギャンブルをやらない私が唯一遊ぶギャンブルである。 公的には、パチンコやパチスロはギャンブルとされていないのかも知れないが、間違いなくギャンブルである。遊戯と言うには金がかかりすぎるし、偶然の確率に頼る部分が大きすぎる。不景気でも庶民のささやかな娯楽は健在といわれていたのだが、それもいまや昔の話。倒産が続く不況業種になってしまった。あまりにもギャンブル性が高くなり、さらに長引くデフレ下での所得低下には勝てなかった。
店舗数 平成7年 18,244 平成23年 12,323 (警察庁)
売り上げ(貸玉料) 平成7年 309,020億円 平成23年 188,960億円
パチンコは、玉が出れば、景品と交換することが出来る。ギャンブルでは無いから、現金には出来ない建前である。そこで、有る特定の品物に交換する。それを持って近くの交換所にいくと、現金に換えてくれる仕組みになっている。これを両替という。形式だけ繕うまさに役人的、日本的発想でばかばかしいのだが、これも気質のなせる技だろう。
この両替において、最近さらにおもしろい現象が見られた。出る玉の数を出来るだけ減らしていた店側だが、それも限界を感じたのか、ついに勝った人から手数料を取ることにしたのだ。交換所の前に大きな看板が立てられた。両替で3%の手数料をいただきますと。少しでも痛みを和らげようと50円未満は切り捨てに。だが、せっかく久々で少しばかり勝って、いそいそと交換所にいったら、そこで税金ではあるまいに手数料を引かれる。頭にきたのは私だけではなかったようだ。 よほどダメージがあったのだろう、2-3ヶ月後には、看板が変わった。いままで通り手数料は取りませんと。
お金に細かいというか、貧しい私はしばらくしておかしな事に気が付いた。今度はパチンコ店での景品への交換で、もらえる両替用の景品が少ないことに気づいたのだ。交換所でもらう金額から計算したら、なんと3%引かれていたのだった。何のことはない、ふんだくる場所とやり方を変えただけなのである。だが、これは日本人の気質からして、まさに正しいやり方である。
賢明な読者はもうおわかりであろう。これは、会社員の給料から天引きする税金と、毎回、目の前で直接払わせる消費税の関係と同じである。経済は感情によって動かされると言うが、気質によってそれにも違いが出てくる。
「もったいない」という他国には無い言葉が生まれるほど、節約家で浪費しないのが日本人気質である。それがマクロ経済で見たときには、消費の縮小やデフレを加速させてしまうことになる。だがいまの日本人は、江戸っ子のように「宵越しの金を持たない」と言って稼いだ金をすべて使うより、わずかな額からさらに節約して貯蓄をしてしまう。将来への不安感などがなくても、基本的に日本人は浪費家では無いのだろう。ここにアメリカや中国との大きな差が見られる。それが経済の規模や成長率にも関係している。アメリカは資源を始めあらゆるモノが豊かな国である。だから浪費いや旺盛に消費するのか、消費癖が強いから市場が拡大して好循環になるのかよくわからないが、日本人気質と違う事だけは確かであろう。
さて、もう少し消費税の話をしたいのだが、長くなるので次回に譲ることにしよう。
平成27年12月9日(水)