操られ易い気質
集団農耕型気質のもつ欠点の特徴的なものを取り上げてきました。集団への無批判な同調やくくりへの病的な撞着など、国や社会の存続を危うくしかねないものがありますが、この項目を直接取り上げることはしませんでした。というのも、さまざまな問題の裏にはこの気質が見え隠れするからです。それは、マインドコントールにかかりやすいというものです。
洗脳とかマインドコントロールという言葉は、オーム事件だけで無く芸能人の新興宗教参加などで、すでに市民権を得ているようです。洗脳というのは、中国共産党がアメリカ兵の捕虜を共産党シンパに仕立て上げたところから有名になったそうですが、肉体や精神的な苦痛を与えて強制的に思想・心情を特定のものに仕立て上げることです。それに対して、肉体的な苦痛を与えず、あたかも自らの意志で行動したり考えついたかのように、心を縛り誘導するのがマインドコントロールです。本人に自覚が無いだけ、タチが悪く深刻だとも言えます。
本来的にはマインドコントロールは悪い意味で使われるものですが、拡大解釈することで、自分の心を制御する(セルフコントロール)などの良い方向に使用されるものも含めて話されることがあります。そういう意味では、あらゆるコマーシャルも、教育ですらも、すべてある方向に誘導するという意味で、マインドコントロールになるわけです。ですが、ここでは当然悪い意味での誘導をマインドコントロールと呼ぶことにします。
テレビコマーシャルもマインドコントロールのようなものだと言いましたが、このように人をある方向に誘導操作するものは、日常の社会に溢れています。特定の組織への服従のためのマインドコントロールではなく、もう少し幅広い世論操作なども現代社会では当たり前のように行われています。いわば思考操作(発達心理などでの良い意味の用語とは別物です)とでも言うべきものが、メディアによって盛んに行われるようになりました。ネットから広まった「メディアの印象操作」という言葉は、テレビでも使われるようになりました。
この思考操作が、もはや容認出来ないレベルにまで達してしまったと言う認識をもったので、敢えてこの項目を追加しました。
限度を超えた社会のゆがみに荷担する集団農耕型
集団農耕型の2種類のタイプとして、被暗示性が高くて簡単に思考を操作されてしまうタイプと、先頭に立って歪んだ思考や自分の信じる心情を積極的に広めようとするタイプがあります。今回の安倍政権打倒に狂騒するメディアの暴走には、後者の人々が数多くかかわってるようです。この人達はプロデューサなどとして表には出てきません。一方でワイドショーの司会やコメンテータなどは、特定の思想や信条に凝り固まった人達と必ずしも同じでは無いにもかかわらず、付和雷同する人ばかりです。
この問題は、非常に複雑で、まさに日本人のそれも集団農耕型気質のさまざまな特徴の組み合わせによって引き起こされているので、この問題を扱うことはすなわち「日本人の気質」を扱う事と同義に成ってしまうのです。
この事態は、非常に深刻な問題を内包しています。なぜなら、これと同じ事がまさに戦前に起きていたのですから。ただ今回とは異なる方向性、つまり極端な愛国主義、国粋主義的な方向性なだけです。軍部の弱腰をなじり、より強硬な政策推進をとるように報道を続けたのは、他成らぬ当時の新聞というメディアだったのです。中でもその中心こそが朝日新聞だったわけです。しかも愛国的な扇動記事を載せるほど、新聞は売れて儲かったのです。当然、他の新聞各紙も追随し、メディアは強攻策一辺倒になったわけです。これはいまのテレビ番組の多く、とりわけワイドショーが、視聴率を稼ぐためなら中身の真実性などどうでも良く、反論してこない特定の相手をひたすら標的にして、よってたかって集団リンチをするのと同じです。その上それを見ている国民のかなりが、その異常さに拒否反応を示すどころか、一体となってその扇情放送に踊らされてしまうという、恐ろしい状況が出現しているのです。戦前は結果として、一部軍部の独走をさらに許して悲惨な結末を迎えたのでした。現在も同じです。
現在の新聞やテレビを中心としたメディアのなかで、安倍政権の打倒を表明する勢力の中心は、戦後の左翼勢力の残党であり、そこに様々な反日勢力が荷担しているのです。したがって、その行き着く先は、民主主義の崩壊、すなわち共産党独裁政治か、あるいはそれを阻止するためにアメリカなどの勢力が実力行使をする事で内戦状態が生まれるか、中国や北朝鮮・韓国、ロシアによる武力行使による領土の侵略・分割などにまで発展しかねないのです。一体どこまで進むか、その程度はわかりませんが、平和や民主主義のためという嘘に踊らされて、あらゆる事が自壊した社会になる事は間違いが無いでしょう。
これまでは、まだ最悪の状況にまでは陥っていないという認識を持っていましたが、昨今のこの国の人々の有り様を見ていると、とてもそのような悠長な事を言っていられるときでは無いのでは無いかと、不安を覚えてしまいました。それは単に政権打倒四諦だけの野党勢力や、総理への権力志向や男の嫉妬などの与党政治家、既得権擁護の勢力、国益より我が身大事の官僚や役人達、利己主義に固まった財界や労働界、さらに学界から芸能界に到るまで、この反日勢力に同調する事の恐ろしさを理解せずに、荷担する人々があまりにも多いからです。
災害は起きてから公開することがほとんどです。それでも、生き残っている限りまた立ちあがれます。しかし人為的に破壊された国家や民族は、もとには戻らないのです。集団農耕型気質が、自らを滅ぼす気質である事の恐ろしさを、すべての日本人はもっと自覚すべきなのです。
平成30年5月9日(水)