孤高武士型気質の弱点

 大相撲で貴景勝が初優勝した。横綱三人が不在とは言え、22歳の若手が大関達を退けて、優勝を勝ち取ったのはすばらしいことである。それも、小学校の時から指導をしてくれた貴乃花親方が相撲界を去り、部屋を移らなければならない激動の直後であったのだから、その精神の強さは褒められるべきだろう。

 貴景勝もさることながら、ここではその元貴乃花親方が、愛弟子に送った言葉を取り上げてみたい。スポーツ紙に寄稿したした内容がネットに載っていたものなのだが。
 これを読むと、孤高武士型気質の人物の特徴、そしてそれはまた弱点や短所ともなるものが見えてくる。

 『小さくても大きな心色は必ず育つ。誰かに理解してもらうことは、いらない。誰かにすがることは、いらない。』『願いを叶(かな)えるのは理解されるようなものではなく、切なく貴く儚(はかな)いもの。信じこんでやれるだけやれば死んだ気分になれる。』

 まさに「孤高」を言葉に表現すればこうなるという感じがする。集団農耕型気質と決定的に違うのは、自らの内面に確たる信念のような核をもつこと、己の信じる道を進むにあたり周囲の人間の評価などは一切気にしないという点である。
 これは、すばらしい特長なのだが、同時に欠点ともなり得る。周囲の人間を気にしないあまり、周囲への心遣いが少し常識から外れてしまうことがある。また、理解されるための説明を省くので、誤解されやすい。誤解されても、言い訳を嫌いそのまま受け止めてしまう、気にしないので、周囲の人達との間に、時には家族ですら、落差が生まれ拡大してしまうことがある。これは時に、本来の大局的な視野を狭めることにつながる恐れもある。孤高武士型気質の人間が、完璧な人間である事などあり得ないことを、もう一度念押ししておきたい。


 「日本人の気質」本文では、孤高武士型といえど長所が行きすぎれば短所になる事は述べているが、その具体例はほとんど触れないで済ませた。こういう形で、具体例を示すのも良いのかも知れないと考えたわけである。

平成30年11月26日(月)

 

2018年11月26日|気質のカテゴリー:外伝