保守分裂に見る二分法的思考(二項択一)
今回の武漢発新型コロナウイルスへの安倍政権の対応のまずさは、海外から指摘されるまでも無く、明らかに失態である。しかも問題なのは、誤りだと気がついた後も「もういいや」とばかりに方針転換もせず、回復処置をなにも取っていないことにつきるだろう。
コロナ対策本部に大臣が3人も欠席したが、それも皆自分の選挙がらみばかり。もっとも安倍総理がコロナ対策本部に出席しても、わずか3分でカメラがいなくなると退席してしまったという醜態をさらすようでは、何をかいわんやである。危機意識の感性が全く鈍麻しているのであろうが、それは今回の主題ではない。
安倍総理と直接電話連絡が出来るほどの仲である作家の百田尚樹が、今回のコロナウイルス対策に関しては、安倍政権を激しく批判している。私から見ると至極当然の話しなのだが、これが意外と少数派のようである。彼と同じ意見をきちんと表明したいわゆる保守派は、数人と限られているようだ。それに対して、櫻井よしこをはじめとする保守派の面々は、おおむね安倍擁護に回っている。なぜなのか。百田の言うようにお金目当てのさもしい人達は、右左に関係なくどこにでもいる。従ってすべての人間がそうだというのは少し酷なのかも知れない。
では何が原因で、今回左翼・反日勢力が喜ぶような保守層の分裂が起きたのだろうか。いうまでもあるまい、彼らの気質に起因している。
本文にも取り上げているのだが、人格障害の主要な病状のひとつに二分法的思考がある。敵か味方か、右か左か、善か悪か、全か無かなど、極端な思考や感情の動きを示すものである。気分も考えも極端で間がないという人格障害者の特徴のひとつで、特に境界性パーソナリテイ障害に強く見られる。
しかしこの特徴、集団農耕型気質の人には、多かれ少なかれ見受けられる特徴である。極端に走るとか、くくりに病的に撞着する事も、皆これとからんでいるわけなので。
つまりひとたび「安倍政権を良し」とした人達は、そのくくりから逃れられないのである。否定したら、もはや「安倍政権を良し」の仲間には戻れないと考えるのだ(無意識に)。言い方をかえれば、彼らには、はじめから是々非々という選択肢は無いのである。
言論人だけで無く、ネット上の保守層まで二分されたのも、このためである。そして百田ががっかりしたように、むしろ非百田のネット人が多かったのも、集団農耕型気質の人間が大半である日本の現状と無関係ではないであろう。
むろん、私からみれば、ここまでくくりに病的に撞着して安倍政権擁護をするのは、人格障害症候群だと断じてしまうのだが。
他にも人格障害者の特徴である、自分に囚われすぎるとか、傷つきやすいなどの特徴も強いのであろう。つまり人格障害症候群と呼べるレベルにいる人が保守派の仲にもかなり多くいることが、今回白日の下にさらされたのだと言えるのかも知れない。本文では、人格障害症候群の人達を主にリベラルや左翼系の例で述べてきたが、保守や右寄りでも同じ事なのだ。集団農耕型気質の多くの人が、そのさまざまな気質特性の故に、人格障害症候群としか言いようのない言動を取ることがあるのだ。
令和2年(2020)2月24日(月)
【本文を読んでいない人の為の参考に:詳しくは本文を】
集団農耕型気質
イデオロギーの右左に関係なく、日本人の大半を占める気質。この人達は、現状肯定という意味で、保守的であり変革を望まない。それに対して、少数派の気質が孤高武士型気質で、日本の歴史で危機の時に活躍するのはこのタイプ。孤立を恐れないので、人付き合いの下手なところがある。
人格障害症候群
人格障害者がもつ種々の特徴が、部分的でも同じように強く見られる人達につけた呼称。
医学用語としての症候群ではなく、あくまでも社会学的な言葉。
人格障害
正式にはパーソナリテイ障害と呼ぶことになっているが、面倒なので人格障害と呼称している。
くくりへの病的撞着
撞着は矛盾しているほどの執着性を意味しているので、執着と置き換えて良い。自家撞着。くくりは普通の「○○ファンのくくり」の用語。