くくりへの病的撞着+利己主義=小さな権力者

 元々集団農耕型気質の人間は、上にへつらい下に威張り散らすという気質傾向を持ちます。これは権力志向が強い人間ほど強くなるようです。政治家で時々その正体をばらされる人が出ますが、ほとんどの政治家がそうでしょう。それが、当選して1年もすると急に態度が横暴になる新人議員、というところにも良く現れています。世界中の長期政権がほとんど独裁者に変わってしまうのも、この延長線上なのでしょう。へつらう上がいない状態はまさに天国でしょうから、その立場をどんな手段を使っても維持しようとしたくなるわけです。

 この人間の性とも言える気質は、集団農耕型気質の多くの人間が少なからず落ちいるものです。今話題のビックモーターのとんでも事件など、典型的な事例ですね。2代目の副社長の権力者が、今回の不祥事を招いた責任者である事は、ほぼ間違いが無いでしょう。その下で、より傲慢なおらが殿様ができあがっているのです。上にはへつらい、下には命令し脅しをかける。こういう人間だけが副社長に気にいられるわけです。かくして、会社全体が腐った集団になっていきます。いくらでも不正や悪事が行われます。この種の会社は、一度ばれると次々と悪事が出てくるのもその為です。

 ですが、この種の小さな権力者は、至る所にいて、日本社会を蝕んできたのです。親会社の子会社いじめ、仕入れ先への無茶な要求、上司の理不尽な命令、皆同じ物です。自民党女性局のフランス旅行問題も同じですね。金と権力を手にいれた小さな権力者は、属するくくり(政治村)以外の事など眼中に無いのです。ネットの批判などなんとも感じません。ですから、この権力を維持するためには、つまり当選の為なら、何でもやるわけです。それには男も女のないのだとわからしてくれました。

 会社組織や団体などに属して長くなると、その組織のくくりへの撞着が強まります。それが病的になると、くくりの私物化やくくりとの一体化がおきます。そうなるとくくりのなかで小さな権力者と化してしまい、その中ではまるで殿様に成ったかのように振る舞います。部下でも仕入れ先でも、自分の言うことを聞くと思う人に対して、むちゃくちゃな要求をだします。人の良い日本人は、無理を聞き入れてしまい、小さな権力者をさらに増長させます。この種の人間は、元来利己主義的傾向は強いのですが、もはや完全に利己主義者となって、横暴の限りを繰り返すようになります。

 こういう小さな権力者は、必ずその組織などのくくりを内部から蝕み、やがて破壊に導きます。いま、日本国というくくりが、小さな権力者の集まりによって、内部から破壊されようとしているのです。ここまでくると、そのくくりを破壊するか小さな権力者をとりのぞくしかありません。

2023/07/28(金)

 

2023年07月28日|気質のカテゴリー:外伝