AIの光と陰

【この文は、弊著「日本人の性格 ~AIイラストでわかる~」の一部として書いた物ですが、本題からずれるので、こちらに載せることにしたものです】

 

 すでに述べてきたように、イラスト生成に当たってはかなり問題もありました。ですが、すべて無料版のAIを使用しましたので、もしかしたら有料版ならば異なる結果だったのかもしれません。まだまだ発展途上ですから、これからさらに良くなると思われますので、期待したいところです。ですが、ここではどうしても譲れないいくつかのポイントを述べてみたいと思います。

1)日本人による日本版生成AIの開発と普及

 これは画像や動画に依らず、文章(テキスト)でも見られますが、オリジナルが欧米であるために、それ以外の国の文物に対する知識や情報に誤りが見受けられます。例えば、神話や記紀などの古書の内容、さらには茶道、生け花、落語等、日本の文化や土偶などの歴史的文物には、ほとんど使い物になりませんでした。何しろ、琴を依頼したら、ピアノ(オルガンもどき)を弾いている絵が出力されるのですから。
 茶道などどうしてもおかしいので、思わず中国の茶だとAIソフトに言いましたら、AIは平然と、中国の茶と日本の茶の区別はつきませんと回答してきました。

 ここはなんとしてでも、国産の自国文化を正しく理解させたAIを開発すべきです。単に国内産業の問題だけではないのです。その事は最後に述べましょう。

2)生成された画像や動画のファクトチェック(事実認証)

 すでにネット上の様々な物が、事実と異なる偽物であったりして問題になっています。もちろん、これはあまりにも大きな問題で、人類が総力を挙げて取り組まなければなりません。
 しかしここで指摘したいのは、それ以前の段階の話です。実例もお見せしましたが、手の指が6本あったり、腕が変なところからでていたり、三つもあったりと、事実かどうか以前のイラストがあるのです。これは、さすがにどうにかならないものでしょうか。

 また1)とも絡むのですが、サムライというと刀がでてきます。それは良いのですが、何故か抜き身の刀が多いのです。おまけにその抜き身の部分を手で握っているのです。あるいは柄の概念がないのでしょう、何カ所もあったり、形がおかしかったりと散々です。弁慶ではあるまいに、せっかくのかっこいいアニメ男性が体中に刀を身につけているのを見たりすると、なんともやりきれなくなります。何を言いたいかと言えば、事実の認証には様々な段階があるのだろうということです。これはAIを業務に利用し始めているすべての企業やユーザが知っておくべきことだと考えます。

3)プライバシー保護あるいは言葉狩り

 すでに一部のAIでは、極端な言葉狩りやプライバシー保護の動きが始まっています。
 自分の写真を読ませて加工させるのは、AIらしさの見本でもありましたが、一部のAIでは、本人だと断っても、プライバシー侵害の恐れがあるからと、顔を表示しないのです。いくら不細工なわたしでも、のっぺらぼうはごめんです。それを避けるための漫画風だと思うのですが。

 言葉狩りもすでに行き過ぎていると思います。実例を書くと返ってまずいので書きませんが、病名はもちろん、社会問題の用語などでも、受け付けられません。プロンプトのガイドラインに反すると言うのです。画像が作られなかったり、ひどいときは会話を強制終了します。言葉狩りとしか言いようがありません。まさに、集団農耕型の何でも極端にはしり行き過ぎる現象と同じですね。これも今後どうするのか、社会全体で考えるべき問題でしょう。

 もちろん、規制やガイドラインを持たないAIも存在しています。どのような技術も、使うのは人間ですから、悪いAIが出てくるのも当然なのですが。

4)悪用、犯罪への加担

 しかし、大手のAIが神経質で、使いづらいのも無理はないもしれません。すでに生成AIが社会問題を起こしているのですから。

 写真から衣服を剥ぎ取るAIポルノアプリが子供にも使用されて、作られた画像がネットにばらまかれ、被害者が学校に行けなくなったなど、すでに問題が起きています。このソフトの黒幕が取り沙汰されるほど、欧米ではすでに大事件なのです。これまでも、アイコラ画像と呼ばれる有名人の顔だけ別の裸の画像に貼り付けたものがありました。ですがAIはもっと簡単に精巧になっています。子供が簡単に使えるのですから。
 
 同様に深刻なのが、なりすましによる各種認証の突破、マルウェア(悪意あるソフト)や詐欺メールの高速での作成、これらを悪用したサイバー攻撃の高度化などです。すでに実例が出てきています。ようするに、不正や犯罪に生成AIが加担してしまうわけです。サイバー攻撃に甘い日本は、もっと真剣に考え無いと、社会混乱を招く事態にも陥りかねません。逆にこれらの対策にも、AIの活用は必須なのですが、関係するすべての人や組織が、対応を始めているでしょうか。

5)AIの暴走

 すでに、チャットボットで、AIソフトから不適切な応答がいくつもあり、AIソフト開発者を悩ませています。「あなたが生きようが死のうがかまわない」「あなたは生きる意味がないかもしれない」などと応えているのです。著者も、イラストの修正を何度も依頼したら、4回目には、「私はあなたの頭の中などわからない」と実際に応答してきたのですから。予想もしなかった、いわばAIの暴走とも言える原因が、実は良くわかっていない様なのです。これでは、これから期待される子供の相談相手や悩んでいる人の相手には使えません。AIソフトには意思がないはずなのに、何故このような事が起きるのか、ブラックボックスのままなのです。学校などでの使用には、注意が必要でしょう。

 AIに頼る事により、人間がその能力を失うリスクもあります。日本の製造業が技術力や製造ノウハウを失った原因の1つが、自分達で作らなくなったことです。作らなければ作れなくなるという、単純毎回名事を日本人は忘れていた(いまも)のです。導入初期は良いのです。使用者がわかっていて使いますから。ですが、その次の世代は、何も知らないまま、システム(要するに機械)に頼ってしまうわけです。AIでも必ず同じ事が起きます。すでに起きているかもしれません。アメリカの大規な先端AIに対抗できるAIが市場に出てこないのですから。これは、次に述べるより深刻な問題につながります。


6)認知戦への備え

 すでにSNS上では、ある国の国民の意識を変えさせる、社会を分断する、偽情報を流布するなど、実に様々な情報戦が行われています。これが、AIの利用でさらに深く、しかも人間の性格まで変えてしまうレベルになっていく恐れがあります。たぶん、一部の国では、実際におこなわれつつ有るのではと思います。特に反日活動や偽の歴史の刷り込みなどは、AI以前から行われているのですから。それがAIになると何故さらに恐ろしいのでしょうか。

 それは、まさに本書で繰り返したことにつながります。本来の気質がどうであれ、性格は教育や環境によって変えられるという話です。子供の時から、AIを利用するようになった時、そのAIの教えることが、歪んでいたり誤りであったら、どうなるでしょうか。カルト集団の洗脳と同じ、いやそれ以上に大きな問題になります。反日教育を子供の時から受けた集団は、表面上どう繕おうとも、心の奥底は反日気質にそめられてしまっているわけです。こうなると、その世代の人々とはまともに付き合えないのです。人の心の奥深さ、恐ろしさを皆さんにも理解していただきたいと思うのです。
 例えそれが同盟国であろうとも、他国発のAIを使用することの恐ろしさを、もっと深刻に考えるべきなのです。


 一部の知識人などが、AIの行き過ぎた発展は人類を滅ぼすことになると警鐘を鳴らしました。この事にもつながっていくわけです。4)の実例を見れば、彼らの警告が行き過ぎとも言えないと、おわかりいただけるでしょう。
 対策もとられ始めています。2024年3月には、欧州連合(EU)欧州議会は、世界初となるAI規制法を可決しました。開発してはならないAIから、様々な制限までかなり厳しい規制をもうけています。違反した企業には、最大で売り上げの7%の罰金を課す厳しい内容です。
 一方日本では相変わらず、緩い規制のガイドラインにとどめています。アメリカのように進んだAI技術を持っているならいざ知らず、相変わらずの中途半端さです。規制しないのなら、国産AIの開発とその悪影響を制限出来るソフトの開発などに、もっと総力を挙げるべきですが、それも見えません。

 すこし、話が飛躍したでしょうか。外国人よりも不安を感じるくせに、楽観的に考えて、深く考えないのが集団農耕型でした。ですから、少し脱線しても加えさせていただきました。これからのIT教育は、こういう課題をきちんとつめて、どのように生徒に教えていくか、他国のAIソフトの利用の制限をどうするか、すべて絡んできます。こういうことを理解出来ない政治家は、これから政治家になってはいけないし、当選させてはいけないのです。

2024年04月03日|気質のカテゴリー:外伝