テスラは言うまでもなくイーロンマスクが率いる、アメリカのEV自動車メーカーである。EVなどどこの馬の骨という世界的な空気の中で、あっという間に世界のトップメーカーの一つに躍り出た。常に注目されてきたテスラであるが、また興味深い記事があった。
興味深いと言うよりは、これこそがマスクの真骨頂なのだと、つくづく思う。そして今更ながら日本人の気質の根深さも感じてしまうのである。ニュースというのは、テスラが今度作るメキシコの工場では、これまでの製造方法を根本から変えて、製造コストを従来の半分にするというもの。これまでのドアを漬けたり外したりしながら、流れ作業で組み立てる方法から、6つのブロックに分けて別々に作り組み立てるという物。
もう一つが、希土類を使わない高性能モーター(モーターでのレアアースの使用をゼロにする)、多くの部品の製造方法を変えることで、そこでもコストが大きく削減される。、高コストなSiC(炭化ケイ素)の使用量を75%減らすパワー素子、ドライ電極を使った電池など、技術的には困難とされるものである。
ようするに、これまでの自動車製造の常識をうたがって、根本から変える発想がそこにはある。トヨタに代表されるカイゼンは、日本メーカーが得意とする方法であるが、根本的な改善法ではないということである。あくまでも現状の延長線上にすぎないのだ。ここを乗り越えて、全く新しい方法や部品を作るという発想が、日本のメーカにはほとんど無い。これが、30年の劣化にもつながっている。
すでに3Dプリンターで作られたEV車が、110万円という低価格で販売されようとしています。3Dプリンターによる自走でゃ製造の技術はこれからさらに進歩していくことでしょう。これはこれまでの延長線上でのカイゼンとは全くことなるものです。物作りを標榜する日本のメーカーから、この種の物がもっと出てこなくてはならないはずです。その意味でも、現在の延長でしか物事を考えられない、挑戦しようとしない日本の製造業は、今後の物作りから取り残される恐れがあります。
やるべき事はたくさんあります。まずは、経営者と技術者に、どうしたら安く製品を製造できるのか、根本から考え直す意識が必要です。原材料で言えば希少な物を使わない、使う量を大幅に減らす、部品そのものを変えて代替品をつくるなどがあるでしょう。無人化での工程においても、人間との完全分離による夜間製造とか、工程も、ブロック化も考え直すべきでしょう。さらに、これからの多くの最終製品はもちろん、部品であっても、単純なハードだけの物は少なくなるはずです。ハードとソフトが融合した製品が当たり前になるでしょうから、苑対応を始めていなくては手遅れになります。
このように、現在サプライチェーンだの経済安保だの環境保護だの、様々言われている事柄だけではすまないのです。ざんねんながら、外から見ている限りでは、日本の自動車メーカーが、これらの分野で先頭を走っている、実用化できているようには見えません。
テスラを応援していたはずのトヨタは、いつの間にか、追い越されていました。携帯、家電など多くの分野で、日本は惨敗しました。自動車メーカが今後も日本に残り続けるよう頑張ってほしいものです。
令和5年3月21日(火)