量子コンピューター初号機

 国産の量子コンピューター初号機が、3月27日、理化学研究所(埼玉県和光市)で稼働を始めた。はじめはこの分野の開発・研究で、先頭にいたはずの日本。いつの間にか追い抜かれて、今では欧米や中国に完全に遅れをとったこの分野。これからどこまで巻き返せるか、楽しみと不安が交錯している。すでに研究開発から実用の段階に入ったが、この実用化でなぜかおくれを取るのが、これまでの日本の産業界である。しかしここで遅れると言うことは、量子コンピュータを活用する産業界のあらゆる分野において日本が外国勢に負けることを意味している。自己保身に凝り固まった多くの企業経営者に、この事がどこまで伝わるのだろうか。

 中小企業などにも利用してもらうためには、これがどのように事業に活用できるのかを、わかりやすく理解してもらう努力が必要だろう。その為には公的な仕組みを用意する事もやるべきだろう。なぜならそこまでを民間に任せていては、立ち後れる恐れがあるのだから。

 それにしても気になるのは、毎度の事ながら、ハードは作るのだが、それを動かすソフトや人材に対するニュースが、ほとんど聞こえてこないことである。ハードとソフトそしてアプリケーソンやサービスなど、裾野が広がらなくては、世の中を変えていくことは出来ない。
 専門家の養成とともに考えて欲しいのは、橋渡しの出来る人材の育成と、それを事業とする企業の新設である。いくら必要だからといって、すべての中小企業に、量子コンピュータの専門家を置くなど実現不可能なことである。現状のIT出すら出来ていないのが現実である。ならば、各企業のどのようなところで量子コンピュータを利用できるのか、また現実にその為のソフトを作ってくれるコンサルタントを兼ねた専門家と企業のことである。このような仲介者の力をかりてでも、とにかく活用していくことが大事なのである。

 またハードでも、量子コンピューターにはいくつかの方法があるので、そのすべての方式に目配せが必要である。どれが将来生き残るかまだわからないのだから。何はともあれ、関係者の皆さんには、頑張って欲しい。

令和5年3月27日(月)

 

2023年03月27日|分類:科学, 経済