インドからも追い越された日本の宇宙開発

 昨日(2023年3月26日)インドの宇宙研究機関が、アメリカのOneWeb社の通信衛星36機を軌道に投入させました。失敗続きの上、年に数回も打ち上げられない日本と違って、欧米や中国、インドは非常に多くのロケットを打ち上げています。この差はどうして生まれてしまったのか。情けないと言うよりも、さみしく悲しいですね。

 理由として語られるのが、開発費の削減と三菱重工内の縄張り争いなどがあります。ですが、本当にそうなのでしょうか?というのも、日本ではいわゆるベンチャー企業によるロケット打ち上げは全く成功していません。その基になる中小企業の宇宙関連技術が、全く追いついていないように思えるのです。JAXAと三菱重工によるロケット開発も、多くの部品は中小企業の技術から成り立っています。それらの産業基盤が完全に劣化してしまったのではないかと思えるのです。

 中小企業の問題として、職人の高齢化、匠の技の継承者不足、若い社員が入らない、低賃金、親会社・売り先からの価格圧力などと色々言われてきました。一向に改善されないまま、ついには技術者の海外流失までおきるようになりました。このような多くの問題について、政治も官僚も手をこまねいていただけなのです。この30年に及ぶ産業基盤の衰退こそが、あらゆる分野での日本の立ち後れにつながっています。宇宙産業は非常に幅広い分野に関係するだけに、劣化の影響も大きくなるのです。

 ここまで来たら、もう一度基本に立ち戻って、人材の確保、教育、基礎研究、技術開発、すべての分野をゼロから再構築するつもりでやらない限り、最先端技術を必要とする宇宙産業や軍事産業での、日本の再生は困難に思えます。簡単に、少しだけ追加資金を出すだけではすまないような気がするのです。

 安全保障を無視してきたツケが今になって回ってきたように、産業も自己保身の経営者と官僚機構に任せてきたツケが回ってきているのです。

 ドローンひとつまともに開発できなくなってしまった日本。もう一度ペンシルロケットを飛ばす多くのベンチャー、中小企業の姿を見たい物です。

令和5年3月27日(月)

 

2023年03月27日|分類:経済