発言に見える中国の明確な意志

 中国の駐仏大使の発言が波紋を広げている。ウクライナのクリミアについての質問に対して、ウクライナや旧ソ連から独立した国は、主権を持つ国家だという国際的な合意はないとした発言である。つまりこれらの国々を独立した国と認めないという意味になる。これらが国連に加盟する際に中国は反対していないのだから、認めていることは明白なのだが、彼らの考え方は違う。当時は、まだ中国に力が無かったから仕方なくみとめたが、もはや遠慮はしないと言うことなのだろう。

 遠慮しなくなった中国の考えとは、医務までもなく現在の欧米が作った国際的な秩序そのものの否定であり、中国による世界覇権(征服といえる)を世界に認めさせることである。そのために、まずはロシアの「ウクライナはロシアである」などの現状否定の主張を、中国が肯定する事から始めたわけである。

 この考えで行けば、過去のいかなる規範も秩序も、中国の都合でどうにでもなる事になる。そして、恐ろしいのは、中国が最大の貿易相手国である国々は、その数102ヵ国という現実である。極端に言えば、今の旧ソ連国を認めないという中国の主張を多数決にかけたら、通ってしまう可能性があるということだ。

 これからの世界は、単純な民主主義の価値観などという甘ったれた論理は通用しなくなるのだろう。力による統治や侵害が当たり前の国際社会になる可能性が非常に大きいのだ。何せロシア制裁はわずか40ヵ国程度しかやっていないのだから。胆汁名米中両陣営の対立という単純な構図では、解釈も説明もつかない、国家間の関係性になるのだろう。

令和5年4月24日(月)

 

2023年04月24日|分類:安保, 政治