少年院を出た直後の少年が女性を殺害した事件で、遺族が国に損害賠償を求めて提訴した。少年は、少年院を仮退院した2日後、福岡市の商業施設のトイレで、女性(当時21)を性的暴行目的で襲い、結果首などを包丁で刺して殺害した。
著しく粗暴な少年に対して少年院の対応が十分ではなかったうえ、仮退院についても、処遇ケース検討会議を開かずに決定された。受け入れ先の更生保護施設にも十分な情報共有がされなかったために少年の脱走を許し他、と言うのが提訴理由で有る。
難しい問題だが、日本には未だに性善説ですべての犯罪者をとらえようとする風潮がある。それはこれまで、被害者より加害者の人権を声高に叫んでいた事にもみて撮ることができる。しかしそれだけではなく、性善説の前提である凶悪な犯人が少なかったことも影響しているのだろう。つまりこういう少年や犯罪者は確実に存在しているという事が、関係者には頭ではわかっていても、具体的な個人をそうだと認めることが出来ない、また認めても、どう対処したら良いのかがわかっていないのである。
少年院に限らず、日本では犯罪者の逮捕には積極的なのだが、その後の矯正や社会復帰のための人格形成などを行う施設や専門家があまりにも少なすぎるように思える。これらは、なかなかその効果が社会に与える望ましい影響を評価しづらいこともあり、社会的な関心とりわけ政治などが積極的に関わろうとはしていない。
しかし、外国人だけでなく、昨今凶悪な犯罪や繰り返しの犯罪が目立つようになっている。残念であるが、犯罪者への考え方や見方を変えるべき時に来ているのだろう。
令和5年3月4日(土)