官僚が消費税にこだわる理由

 財務官僚をはじめとして日本の官僚がなぜ、所得税や法人税のような直接税を嫌い、消費税のような間接税を選びたがるのか、それはこの失われた20年、そして政治家と官僚の関係と無縁では無いだろう。


 日本では消費税の導入以来、消費税を上げても税収全体が延びてこなかったことは、すでに多くのところで指摘されている。ネット検索すればその比較のグラフはすぐに出てくる。にもかかわらず消費税にこだわるのには理由がある。それは税収全体が延びなくても、税収の安定性からみると消費税は変動が少ない税だからである。つまり、最低限取りっぱぐれのない金額が、ほぼ保証されるのだ。変動の大きな直接税は、経済の成長、言い換えれば政治家や官僚の行う経済政策にかかっている。だが、この失われた20年の政策を見るかぎり、日本の政治家は全く無能としかいいようがないていたらくだった。で、本来なら優秀な官僚がそれを補うはずなのに、それもなかった。つまり日本人全体の質が劣化しているのだ。となれば、とても変動の激しい税など危なくて仕方が無い。確実なものにしたいと考える。

 実はこの考えには、根本的な誤りがある。なぜなら、本来消費もまた景気に左右されるので、直接税ほどでは無いにしても増減があるはず。にもかかわらず、日本では消費税が底堅い確実な税金と言うことは、どうしても消費しなくては成らない食料などの必需品が大半だと言うことを意味している。まさに、弱いものいじめの典型策である。この事はひとまずおいておくことにして、話を続けよう。

 無能な政治家や官僚の政策があてに出来ないとしても、なぜ固定的な税収確保にこだわるのだろうか。保証された税額があれば、その分はいつでも思うように予算化、つまり自分たちで使えるからである。もし、万一経済が成長して税収が増えれば、その分はあぶく銭としてもちろんばらまきに使うだろう。一方、現在のようにデフレや不況で税額が落ち込んだとき、普通ならば当然官僚の予算もまたその税収に応じて減額されねばならない。それはいやなのだ。一度取ったモノは絶対に離さないのが官僚である。本来なら税収が減れば、それに見合う歳出削減をするのが仕事なのに、その政策も無ければやる気も無いのである。結局、自分の当選しか考えない政治家と自己保身の官僚が手を組んで、税収に波のある直接税を消費税に置き換えようともくろむことになる。

 こうして財務官僚だけでは無く、すべての官僚にとって都合の良い消費税の大幅アップをもくろむことになる。その利権に群がる多くの人間達は、そこには経営者、専門家、ジャーナリスト、メディア等、既存勢力のほとんどが含まれるのだが、声をそろえて財政再建とか均衡とか少子高齢化を叫ぶのだ。愚かな、いや真面目な多くの国民は、自らの食い扶持を減らして、既得権者の官僚達に貢ぎ続けることになる。むろん、このことのほうが、よほどこの国の将来を危うくしているのは疑いの余地も無い。

平成27年12月12日(土)

2015年12月12日