創造性を重視しない気質

 「技術者の仕事は「運用より開発が重要」だ、そんな当たり前が通らない日本のITの闇」(日経XTECH)の記事がありました。このコラムでは、開発担当技術者と運用担当技術者との関係や待遇格差問題などもあるのですが、ここでは、記事の題に有る「開発」重視問題について述べてみます。

 これもまた結局は、日本人の大半を占める集団農耕型人間の気質の話に帰着してしまいます。実際、すでに「日本人の気質と歪んだ社会 ~人格障害症候群~」(アマゾン 2018年)の「創造性の軽視 (0->1) < (1->10) 」でとりあげています。
 会社員だったとき、周囲の人間に『0から1を生み出すのと、1を10にするのとでは、どちらがより価値があるか、あるいは大変であるか』と聞いてみたわけです。その結果、後者の方が価値あるとの答えがほとんどでした。つまり、確かに何か新しい物を作り出すような創造性は大事だが、1を育てて10にするのはもっと重要で大変な事だという答えでした。日頃感じていたように、明らかに創造性の重要性や才能としての価値が、今ひとつ認められていないのです。

 創造性を持たない多くの人は、その重要性や価値が、いまいちしっくりとはしないのでしょうか。評価が低い人ほど、創造性もなかったように思います。創造性と学歴重視とは明らかに反するようです。しかも、学歴重視とはすでに答えのある問題については解答できても、新しい物や事を開発する事は困難なのです。そして世の中の進歩とは、常に新しい物や事が生み出されなければ、進歩はあり得ないのです。

 仮に創造性が気質に依るものだとしても、その才能を正しく評価することと、大事にすることは、いつも心がけていく必要があるはずです。

令和5年11月27日(月)

 

2023年11月27日|分類:社会