日本人に限らず人間は、極端に走る動物のようです。様々な原理主義が生まれたり、過激な言動がむしろ好まれます。しかし、この部分は皆文明に属するものです。技術、思想、制度などすべてそうです。
言うなれば文明の暴走が、原理主義などの極端に走る姿と言えます。これは文明の持つ拡大、侵略的志向性そのものなのです。
文明の侵略には様々な種類や形態があります。その中の一つとして、今の文明社会を蝕んでいる大きな問題があります。それがサイバー空間の実空間への侵略なのです。
すでに一部では深刻な問題を生んでいます。一つが情報戦争です。今回のロシアによるウクライナ侵略においても、SNSなどを利用した相手国や世界の世論に働き掛ける戦争は熾烈さを増しています。世論操作の単純なプロパガンダ(広報活動)だけではなく、より悪質なフェークニュースや偽動画なども大量に拡散されています。死過去これが特定の国家による特定の対象への攻撃だけではなく、様々な集団や個人による活動になってしまいました。そのものの真偽だけではなく、目的さえも明確ではなくなっているのです。
大きな意味で情報戦争に含まれるのでしょうが、IT技術を活用した自国民の監視・統制があります。中国では、これまでのような暴力的名力の行使だけではなく、IT技術による少数民族・自国民支配が行われています。しかも、恐ろしいのはこれを中国以外の世界中に広げようとしていることです。海外の中国民を統制する目的で作られた海外警察が、中国人以外まで対象にするようになっていると言うのですから、恐怖を覚えざるを得ません。
このようなは、もはや中国だけではなく、他の多くの独裁国家や権威主義的国会において当たり前の事になっています。まさに情報文明による実社会への侵略なのです。
他にも、IT技術(情報文明)による実社会への侵略はいくつもあります。不正アクセスによる金銭強奪は、国家レベルから、犯罪者個人レベルにまで広がっています。企業やインフラへの攻撃は、その国の産業や社会生活への攻撃そのものです。それほど公家機の効果が大きくなってしまったのです。
さらに人間の心や考え方にまで影響を及ぼす認知戦も多種多様で、そこでもハニートラップや利益供与などの実社会型攻撃だけではなく、対象国の政治家や影響力を持つ人間の取り込みには、IT技術がふんだんに使われているのです。例えば有名になりたいジャーナリストや学者の持ち上げるような偽SNSの拡散などです。しらない間に、自らが取り込まれている自覚さえもなく、相手に操られているわけです。
文明の高度な発達が、文明や文化を侵略する道具ともなってしまったのです。まさに文明の侵略です。この認識が今の大方の日本人には完全に欠落しています。
文明は侵略し、文化は文化していくのです。
令和5年1月30日(月)