デジタルで現金給付をしたらすごいことになる
国民一人あたり10万円の現金給付がコロナ禍の対策として実施された。感染拡大が止まらず、経済的困窮も深まってきたため、またぞろ二度目の現金給付を求める声が出てきた。本当に困っている人達からの切実な要望というよりも、一部の政治家のパフォーマンスであったり、特定勢力(野党、リベラル、左翼、文化人、専門家、メディア等々)の身勝手な政府脅しにしか聞こえないのだが。その問題は、これまでも取り上げているので、ここでは全く別の話をしたい。
そもそも現金給付という究極のばらまき政策の目的は、二つある。一つは困窮者の一時的救済策。そしてもうひとつが、経済の活性化策である。前者については、本来様々な支援策が行われているにもかかわらず、それが本当に困っている個人に届いていないという本質的な欠陥があるのだろう。これが正しく機能するならば、政策目的としては、後者だけになるはずなのだが。
ある調査結果によれば、支給された10万円のうち実際に使われたのは、わずかに1割で後はすべて貯蓄に回ってしまったという。これが事実なら、救済策としても、経済振興策としても非常に効果の薄い政策であったといわざるを得ない。いっぽうで、路上生活にまで追い詰められた人達には、まるでお金が届いていないのである。
お金が入っても、すぐには使わないで貯蓄にまわすのは、いわば日本人の国民性が関係しているので、やむを得ないところもある。では、どうしたらお金を使ってくれるのか。クーポン化して期限を設けるという、あまりにもコストと手数のかかる方法がこれまでも一部でとられてきたが、大きく経済振興に寄与したとは言えないのが現実である。
そこで、デジタル通貨というか、デジタルでのシステムの出番になる。すでに、国民番号(マイナンバー)と紐付いた国民すべてが持つ日銀の口座について述べてきた。(国民番号と銀行口座)ここに現金の代わりに期限付き期限付きデジタル通貨をばらまく案が考えられる。現金に使用期限を設けることは不可能であるが、デジタル通貨であれば、少し工夫したシステムを作るだけで可能になる。たとえば、このデジタル通貨はネット上でしか使用できなければ、制御可能になる。つまり使用期限を設けることも出来るのだ。蛇足ながら、国民口座に振り込んでいたら、住民票がなくても日本国民ならすべての人が、給付金を受け取れたのである。この人達には役所で現金化する道を用意しておくのは言うまでも無い。
こうして使用期限付きのデジタル通貨で現金を全国民に支給すれば、間違いなくいやでもこのお金は使われることになる。しかも、コロナ禍で出歩かなくても、使えるのだから一石二鳥である。菅政権がやりたがっている観光への支援としても、もちろん使えることになる。
期限付きデジタル通貨は、使用される際にあるシステムを通過させる。そこで通常のキャッシュレス金に変換されるだけで、後は何も変わらない。ここで期限のチェックが入るだけである。
デジタル化などとお題目のように唱えるのなら、こういう便利で実効性のある仕組みを色々と考えれば良いのだ。それが本当のデジタル化による社会変革になる。デジタル庁にこういう柔軟な考えを持つ人間は果たしているのだろうか?
それにしてもデジタル通貨(デジタル円)の発行を急がないと、世界の為替市場で一人負けすることになる。その危機感が、どこからもまるで聞こえてこないのは恐ろしいことである。
令和3年1月11日(月)