学年試験の内容

 「飛び級:飛び学科と飛び学年」で、飛び級を実現させるためにも、一年間に学ぶべき学習内容を分けなくてはならないと述べました。次の学年に進むために必要な最低限の内容である基礎編とそれ以外の応用編です。では、これらと試験との関係はどうあるべきなのでしょうか。

 意見というと大学入試試験ばかりが問題にされます。ですが、この一回限りの試験のあり方そのものが問題なのです。学びとその身につけたものの確認(試験)についてもっと新しい考え方をすべきです。

 現在は、一応学年昇級の考え方はありますが、ほとんどところてん式で機能していません。これも改めるべきです。そのとき、今のままそれを実行すれば、多くの子供が進級できない事態になるでしょう。落ちこぼれでは済まないはずです。すべての生徒が、学習内容のすべてを完全に身につけるという考え方もまた誤りなのです。最低限必要なことを学べば、その学年での学びの目的は達成されるはずです。


 学年試験は、2学期末に基礎編の試験を、年度末に総合試験を行います。基礎編の試験は、基本的に選択式を中心にした問題構成で、生徒はタブレット端末で試験を受けます。すべてシステム化されていますから、結果も機械的にすぐに出すことが出来ます。これで基準点をとれれば、合格です。進級できます。

 応用編を含めた総合試験では、記述式も含めたものにします。解答は、タブレット端末で文字入力方式でも、紙による解答のシステムへの入力でも、柔軟に対応すれば良いでしょう。いえることは、デジタル化とは、こういうことに柔軟に対応できることを意味すべきです。手書き文字の読み取りなど高度な技術が求められるのですから。

 ここで、選択式であれば機械が採点できますが、記述式ではそうもいきません。ここでもデジタル化が生きてきます。生徒の解答用紙はすべてシステムに読み込まれて管理されます。採点もシステムが教師を使って行う形です。生徒の情報(氏名等)を隠して、一人の生徒の解答を3人の教師に採点させます。記述式ですから、どうしても人間の主観がはいります。それを極力なくすために、ランダムに日本中の教師(無論、該当年次担当の教師)にばらまいて採点してもらうのです。その結果を判断して、極端に採点に差がある場合には、個別に人間が対応します。これは、教師の採点能力をはかることにもつながり、教師もまた勉強する必要が出てきます。


 すべてシステム管理される解答用紙ですから、採点結果などは、生徒個人に素早く通知されるでしょう。同じ学年のなかで、自分は全国のどのあたりにいるのかなどの情報も得られます。学校別、都道府県別の順位などは、さして意味を持ちません。あくまでも、生徒個人の力を正確に教えることが主眼です。

 毎年このデータが積み重ねられていくのですから、一発勝負の大学入試など不要になります。足きりをしたければ、これらのデータで選別したのち、各大学独自の試験を行えば良いのです。


 知識試験の結果だけではなく、スポーツや生活態度などの情報も入力できるようになればさらに生徒への理解が広まり、今のAO入試なども変わってくるでしょう。特に飛び級のデータは、積極的に活用されるべきでしょう。


 試験に関わる機械化されたシステム開発は、教育改革の基本項目のひとつです。全国すべての統一的な尺度で見るには、システム化が欠かせません。また、選択式のような問題は、AIによって自動で生成されるようになるでしょう。過去との重複がなく、難易度に偏りのない問題が出来るようになるのは重要なことですから。

 教育に関わるシステム化は、試験だけではなく、子供たちが日常使うタブレットと教育ネットの開発にも及びます。大人のインターネットをそのまま子供たちが使用するのは明らかに誤りです。別の閉じられたネットを国が用意すべきです。国が用意というとすぐに反対勢力が出てきますが、国が準備するのはインフラ部分です。その上で動くアプリ、サービスは自由に開発させればいいわけです。この教育ネットの詳細は別に述べることにします。
 教育のデジタル化は、好き勝手にバラバラの端末を生徒に持たせることではありません。むしろインフラは共通していなくてはならないのです。


令和3年1月12日(火)

 

2021年01月12日|烈風飛檄のカテゴリー:edu