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謹賀新年

 令和三年(2021年)が明けました。おめでとうございます。

 午前五時半に、天皇陛下のビデオメッセ-ジが公表されます。昨年に続き、異例ずくめの年明けですが、一般参賀も中止のため、その代わりも兼ねているそうです。

 それにしても、なぜ午前五時半なのかと言えば、この時間から天皇の勤めが始まるからだそうです。戦後の日本では、天皇が日本の神々の祭主であることに触れるのを、ことさら回避してきました。そんな中でも、天皇は朝早くから夜遅くまで、神々へのお祭りを欠かさずに行われておられるのです。元日だというのに、朝五時半からその勤めをなさるわけです。その時刻に合わせて、ビデオメッセージを公表することにしたそうです。

 日本人が素直に日本の神々にお参りする事を邪魔するような馬鹿げた風潮は、もういい加減で断ち切るべきでしょう。一体戦後の占領時期から、もはや何年が経っているのでしょうか。


 今年は新型コロナウイルスが、まだ猛威を振るう困難な年となることでしょう。ですがそれを奇貨として、大きな変革の年にしたいものですね。

 今年もとりとめない文章を書き散らす一年となりそうですが、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

秋山鷹志

令和三年元旦

 

2021年01月01日分類:オン草紙, 社会

令和三年のご挨拶

 地上の騒然たる状況などまるで関係なく、今年も穏やかに年が明け、初日が登って輝いた。霊峰富士もきれいに見える日本の元日。


 ニュースは相変わらずのコロナ騒ぎとゴシップもどき。中で読売がスクープなのかな、「【独自】中国「千人計画」に日本人、政府が規制強化へ…研究者44人を確認」なる記事を配信していた。わかっていたことではあるが、大手メディアが政府対応も含めて流したのは、それなりの意味があるのだろう。政府が少しはまともな対応をする気になったのかもしれないが、問題はここからだ。あらゆる反対勢力をどのように押さえ込んで、実効性を確保するか。こういう学者を取り締まれる法律が無い限り、効果は薄いと思うのだが。
 アメリカの対中国政策がどう変化するのか、欧州や日本のように中国によっていく同盟諸国とどう付き合うのか、問題は山積している。アメリカだけではない。年末に急に拡大し始めたコロナ禍に、どう対処するのか、出来るのか、日本の力が試されている。

 いずれにせよ激動の年はすでに明けたのだから、後はよりよい方向に持って行くしかないだろう。すべてはみんなの心がけによる。



 和歌も、明るいのを詠みました。よろしければ、こちらから。


 ということで今年も宜しくお願いいたします。


令和3年1月1日(金)


2021年01月01日分類:オン草紙, 安保, 政治, 社会

最終製品を作れなくなったのも気質

 日本初の世界的な商品が出なくなってから久しい。元ソニー社長の出井が、「日本企業はものづくり神話から脱却を」で日本社会では以前から分断が進んでいた。その分断が新しいビジネスを生む邪魔をしていると論じている。
 彼が言う「分断」とは官僚機構に代表される組織の縦割りである。官庁をまたがる政策などでは、およそ官僚は動かないし、中央だけではなく地方政治でも全く同じだという。さらに地方は中央のことしか見ていないと嘆く。

 分断、縦割り、どう言おうとも良いのだが、縦だけでなく横も同じであろう。要はくくりへの撞着が病的段階にまで進んで、あらゆる新しいことを妨害していると言うことに他ならない。「縦割り」というのはもはや誰でもわかる一般的な言葉になったので、便利なのだが、時に認識を間違えさせる恐れもある。彼をそれを意識していたのかどうかはわからないが、分断という言葉を使ったのだろう。


 彼の話はさておき、いくつか指摘しておきたいことがある。ソニーも今ではハードメーカではなくソフトの企業なのだとよく言われ、実際売り上でもそうなのだろう。しかい首をかしげるのは、なぜアップルやダイソンのようにハードで成功できなかったのかという疑問である。その問題から目をそらしている限り、日本企業のさらなる飛躍は難しいのではないだろうか。正直、なぜガラケーからスマホに舵を切れなかったのだろうか?

 個人的な経験からの話は自慢ととられるので避けたいのだが、通信とソフトの世界にいた人間としての話である。
 まだガラケー携帯が全盛期の頃であった。種々のアプリやサービスを考えたとき、一つの壁がハード、つまりユーザ側の端末の問題であった。この当時すでに我々の世界では今のスマホのような端末は、考えられていたのである。だが、その話を国内のメーカにぶつけても相手にされなかった。実際、メーカーでも同じ考えの技術者は複数存在していた。だが、彼らのアイデアが採用されることも、必要な投資もなされはしなかったのが現実である。

 別に経営者を責める目的でこの話を持ち出したわけではなく、ハードとかソフトとかという区別を考えること自体が、製造業の基本から外れているのではないかと言いたいのだ。必要なのは、エンドユーザが手にしたいサービスを、最終製品としてどのように作り上げるかというところにある。ユーザが手にしたものが、ソフトで出来ていようが、ハードだろうが、クラウドだろうがなんだろうが、ユーザにはどうでもよいのである。日本からまともな最終製品が生まれなくなってしまったのも、ハードだソフトだ、いやAIだと手段ばかりで、目的が不明瞭になってしまったからではないだろうか。

 日本の製造業全般はすでに世界から見れば遅れており、「ものづくり神話」という言葉が示すように、過去の栄光はまさに神話になってしまったのである。今でも日本の中小企業は頑張っている、世界に優れた部品を提供していると自慢するのは良いが、ならばなぜそれらを組み立てた最終製品を作り出せないのか。このことを問題としたり、取り上げたような論をメディアなどでもおよそ見かけたことがない。人件費がどうのなどという話は論外であろう。つまり、物事の本質をはきちがえているのではないかという疑問である。


 日本社会が最終製品を生み出せなくなったのは、まさにくくりへの病的撞着と付随する気質の影響である。ここでそれらの集団農耕型気質の弱点を取り上げるのはやめておく。なぜならすでにいやというほど取り上げてきたし、とんでもない長い話になってしまうからである。(「日本人の気質」「歪んだ人達」等)長所である気質が、逆に短所として足をひっぱっているのが、今の日本社会全体の姿である。

 いつも同じような指摘で終わるのは、悲しいことだ。もっとダイナミックに変化する激動の日本を見てみたい。

令和3年1月2日(土)

 

2021年01月02日分類:社会, 経済

一国二経済制度への転換を急げ

 コロナ禍で二度目の緊急事態宣言が発令されました。これ自体にも多くの疑問や問題があると考えていますが、ここではもう少し大きな話です。

 このような感染拡大状況にもかかわらず、外国人の入国を止めようとしないことが一部の保守層では問題になっています。11カ国のビジネス等の往来を認めているのです。しかもその数が1週間で6万人などと半端ではないうえに、検疫で感染が判明した患者の半数以上が外国人という、他国ではあり得ない状況になっています。メディアはこれを全く伝えないし、日頃政府を非難することに熱心な野党もなぜかこの件については口を閉ざしてています。

 この詳細はひとまず置いておき、根本的な原因は何かと言えば、バブル崩壊後いや戦後の経済政策の間違いにあります。ひとことでいえば、外需頼みで内需を無視した経済政策の誤りです。農産物でも何でも輸出だとか、インバウンドだとか、未だに海外頼みの悪癖が直りません。日本人に行動自粛を求めておきながら、外国人には何も課さないでいる。この異常な外来崇拝の経済政策が続く限り、日本の再成長などあり得ないでしょう。戦後アメリカに経済を握られていたうえに、さらに中国にまでその命綱をわたそうとしている、いやすでにかなり渡してしまっている、この愚かさには開いた口が塞がりません。


 グローバル化なる言葉に惑わされた多くの日本人は、自ら主体的に働くことの意味すら見失ってしまったのです。たとえばよくいいわけに使われる、低賃金外国人労働者無くしてもはや日本の一部の産業は成り立たないという、いい加減な理屈があります。これなども、そんな産業構造がなぜ生まれたのか、それこそがグローバル化政策一本槍で来た弊害に過ぎないのですが、それすら理解できない多くの日本人がいるようです。

 むろん、輸出やインバウンド消費を否定しろと言っているのではありません。それだけに頼る一本足打法の経済政策のつけが、今回のコロナ禍でも悪影響として強くでてしまったと言いたいのです。一億人を越える人口を有する大国が、その内需振興の経済政策を行わないなど、狂気の沙汰です。中国ですら、すでに消費すなわち内需による経済政策に舵を切り始めているのにです。


 極端に走る、横並びなどの集団農耕型気質の悪い点が、この歪んだ経済政策をより進めてしまったのです。コロナ禍を奇貨として、外需と内需の両方を行う経済政策に変えるべきです。すべてを内需政策にしろというのではありません。柱を一つでなく二つにしなさいと言うことです。これを一国二経済制度と呼んでいるのです。

 日本改革私案での具体案もそのほとんどが、この考え方で書かれています。その視点で読み返していただくとまた違う感想が出てくるかもしれません。この一国に経済制度は、コロナ最中あるいはコロナ後でも、十分に威力を発揮できる政策だと思っています。例えば地域鎖国をしていれば、人の往来によるコロナの伝染も、もう少し押さえられたはずです。

 詳細な内容は、まとめて電子書籍化しようと考えていますので、今しばらくお時間をください。

令和3年1月8日(金)

 

2021年01月08日分類:政治, 経済

GoToをやめてGoInに

 日本でコロナ患者が確認されてからすでに1年。事態は良くなるどころか、むしろ大きく悪化しています。さらに悪いのは、その1年もの間、政治は先を見通した対策を実行にしてこなかったと言うことです。これは政府や国会議員だけではなく、各都道府県の知事や県議会議員たちも全く同じです。この話を個々で蒸し返すのはやめておきます。それよりも、コロナ禍でも経済成長を可能にする内需振興策、一国二経済制度に基づく提案をしておきましょう。

 これは本来は一国二経済制度の地域鎖国経済策の中で行われることが望ましいのですが、現在のような危機的状況でもまだ少しだけ、実施できる余地があると考えます。

 それはGoToトラベルをやめてGoInトラベルを行うことです。本来安倍政権下でもGoToトラベルは、コロナが収まってからと言うはずでしたが、一部勢力に押されて、コロナ収束を待たずに実施してしまい、結果として感染拡大に加担するものになってしまいました。たしかに、GoToトラベルそのものと感染拡大との相関関係は、実証されてはいません。ですが、どう考えても、人間の意識に与えた影響を無視することは出来ないはずです。いま、緊急事態宣言の間は、中止していますが、これを再開したいがために、宣言を解除するなどしたら本末転倒です。なにより、収拾のつかない泥沼に陥るでしょう。

 では、GoToトラベルを中止したまま、新たに代わるGoInトラベルとは何か。一言で言えば、県内観光への補助です。無論すべての県に許すものではなく、感染状況が悪化していない地域に限定されます。その意味でも、ここまで全国が悪化する前にやるべきだったのですが。

 感染状況のステージが悪化していない県において、県民が県内での観光をする場合に、GoTO同様の補助を支給するものです。観光というと、どうしても遠くに出かけるという意識が日本人には強いのですが、以外と身近にある観光地を知らないことも多いのです。都民が東京タワーに上ったことがないようなものです。地元の温泉や観光地を地元の目線で巡ってみれば、また新たな発見もあるかもしれません。

 本当は地域の内需策で働く人達を対象に出来れば良かったのですが、今となってはやむを得ません。県民だけでも少しは経済効果が期待できると考えます。飲食店対策も同様です。ここまでひどくなる前に、十分な感染予防策をしているお一人様専用の飲食店を増やすべきだったのです。一人で来て黙って食べて飲んで早々に帰る。それでも一定の客の回転があれば、ここまでひどくはならなかったはずです。
 県内だけでは確かに人数がすくないでしょうから、隣で同じことをやる県があれば、そこでは一緒に出来るはずです。こうして広がれば、かなり広域なGoInになったはずです。

 本来出来ることを各県の知事は何もやってこなかったのです。政府だけでなく、すべての政治家が無能だったとしか言いようがないのです。県民や国民もまた、それを座してみていただけなのです。なぜ、立ち上がらなかったのでしょうか。歴史的に見ても、危機にあっては、日本人は自ら立ち上がってきました。

 いまからでも、GoTo再開を考えるより、GoInの実施を考えるべきです。こういうアイデアを出せる人間が、政治家のブレーンとやらにも全くいないこの国の劣化は、ため息しか出ません。

令和3年1月16日(土)

2021年01月16日分類:政治, 社会, 経済

コロナのオオカミ少年効果を招いた人達

 昨年(2020年)に続いて2度目の緊急事態宣言が出されたのだが、繁華街などの人出が減らず自粛効果が前回のように上がっていないことが指摘されている。宣言後の週末でも、前の週よ利は減少しているところが多いのだが、前回の宣言時と比較すると3倍から6倍という人の多さである。

 これについて自粛疲れや若年層の漏れるの低下などを原因としてあげているメディアも多い。自粛疲れなどがないとは言わないが、それよりももっと大きいと思われるのが、オオカミ少年効果に類する人々の意識変化であろう。

 オオカミ少年効果というのは、そのネーミングからもわかるように、何度も繰り返されることでその効果がなくなることを意味する。これは災害時の避難勧告と実際の次男行動との関係で、語られるようになった。つまり、避難勧告を出しても実際に災害が発生しないという「空振り」の発生が,次の避難勧告への信頼性を低下させて、誰も避難しなくなるという現象である。

 個人的にはこの現象が、今回のコロナ騒動でも起きていると考えている。ここであらかじめ述べておきたいのは、政府のコロナ対策を擁護する気はさらさら無いという点である。あまりにもお粗末であるという認識はもっているが、ひとまずそれを脇に置いておき、人々が自粛をしなくなった点についての話にしぼりたい。

 
 明けても暮れても連日朝から晩まで、最多だ、大変だ、医療崩壊だ、とひたすら不安をあおる放送を続けているテレビとメディア。日本人の気質のため、楽観論では誰も見てくれないが、不安をあおると視聴率が上がるという、いやな現実がある。それにしても、これをもうすでに一年も続けているのである。オオカミ少年どころではあるまい。もはや、聞く耳など誰が持つというのだろうか。若者が自粛の言うことを聞かないと批判するのだが、若者はテレビよりネットをみている。そこでは、テレビの一方的な放送だけではなく、海外との比較などの情報も流れている。となれば、なおさら、テレビの煽りを信じなくなるのも無理はあるまい。

 そしてこのメディアの不安をあおる放送に加えて、オオカミ少年に加担しているのが、都知事をはじめとする首長たちである。まさに猿芝居と言いたくなってしまうようなパフォーマンスだけで、一年もの間、現実的な解決策を実行してこなかったとしか見えないのだが。政治家なら課題を解決することが仕事で、訳のわからない看板をかかげたり、意味のわからない言葉を並べるだけで済むはずはあるまい。日本の政治家ほど楽な商売はないのでは。

 日本医師会もまた、テレビの不安放送に加担して、したり顔の広報ばかり。なぜ、もっと自分たちが協力するために何をすべきか、何が出来るのか、それを提言したり実行するのが仕事であろう。メディアに出て浮かれて、問題に真摯に向き合っているとは到底思えない。
 医師会への批判は、医師の間からも出てきている。この医療崩壊なる日本だけの歪んだ現状は、コロナだけの問題ではない。コロナ以前から、緊急医療が医師不足でどうにもならないことや、産婦人科など特定の科の医師不足が長いこと言われ続けていたのである。コロナはその延長線上に起きたに過ぎない。


 これら三者が連日テレビなどのメディアを介して、人々の不安をあおり続けたのである。それも一年も。これでもなお、素直に信じるのは、よほど素直のか、あるいは情報弱者といわれる人であろう。

 この大きな問題を誰も指摘しない日本の知識人たちもまた、劣化しているようにしか見えないのだが。

令和3年1月18日(月)

2021年01月19日分類:社会

バイデン政権誕生でふと思うこと

 トランプからバイデンへ、アメリカの大統領がかわったが、これほど後味の悪い選挙も珍しい。一体何があったのか、本当のところはわからない。歴史に委ねるしかないのだろうか?ま、歴史も所詮は勝者の歴史なので、はてさてどうなるか。

 ただ、アメリカの亀裂はかなり以前から大きくなっていたが、その傷口を隠すことなく、むしろ広げて人々に認識させたのがトランプだったのだろう。それが彼の独裁者的気質によるものなのか、時代がそれを求めたのか、それもまた難しい疑問になるが、おそらく両方なのだろう。


 一連の世界の動きとあわせてみているとき、ふといくつかのことを感じた。予感したとも言えるのだが。

 ひとつが、アメリカにおける二大政党制の終焉。もうひとつが、ネットに代表される情報文明が、これまでの国家や組織の構造を破壊して、あらたな枠組みをつくってしまったということである。しかもその枠組みが今のところ、人類史そのものにとっては、褒められたものではないということ。

 外来崇拝の日本では、選挙制度を変えてまで二大政党制にしようと躍起になった。だが、その試みが成功する前に、本家の二大政党制が内部崩壊を起こしている。アメリカだけではなく、欧州などの先進国においても、その流れは明らかである。アメリカの民主党支持者をみていると、個人的にはどうしてこんなに利害の反する人達が一つに集まれるのか、不思議でならない。私には反トランプの一点だけでつながっていると言うよりは、もっと別の目に見えない鎖があるように思える。いや、鎖なら切れないが、それはもろい紙のひもであろう。

 リベラルという考え方、(本来の自由主義者という意味ではなく、日本で言うところの左翼的思考のこと)で、億万長者のIT経営者たちと、マイノリテイの貧困労働者たち、さらには理想に溺れる若者たちが、一つにつながるなどは本来ありえないことである。既得権益者たちが、既得権益を破壊しかねないトランプ的思考を潰すために、無知なよく言えば純粋な人々をたきつけて集めたようにしか見えないのである。
 だが、この呉越同舟はすでに内部から不満が噴出していると、この勢力に加担したリベラル・メディアの中からも指摘する声が出ている。

 つまり、これまでの様々な枠組みが制度疲労をおこしているなかでは、政治体制ですら無事ではないだろうと思えるのである。その流れがどこに向かうのかは、まだよくわからない。一時的な混乱の後に、あらたな二大政党制が生まれるのか、それとも民主党一党独裁の始まりなのか。これは中国に代表されるような、一党独裁政治体制下での国家統制資本主義や、感染症などへの統制的対処法がそれなりの効果を上げているように見える現在では、なおさら不透明さが増すのだろう。



 もう一つなんとなく感じたのが、新しい対立軸の誕生と対立の激化である。これまでも、圧倒的な国力を持つアメリカへの対抗策として、欧州は世界標準や経済のルールを自分たちに有利になるように決めて、それを世界に広げてきた。欧米の対立といっても、これまではお互いに旨く利用しあえて来た。しかし、それが終わるような気がする。なぜなら、実体経済や金融経済では、それなりにお互いうまくやれていたが、サイバー空間ではそうはいかない。サイバー空間においての覇権は、GAFAをみてもわかるように、圧倒的な独占になる。ほかにもサイバー空間における覇権は、国家間からすでに企業間に移っていることなどシュシュの原因が考えられるからだ。

 新しいサイバー市場という経済市場は、過去のルールややり方が通用しない世界である。さらにそこにも、必ず様々な覇権争うが持ち込まれるであろうことは容易に想像できる。すでに一部の国は、サイバー空間での国家的なテロや犯罪を行っている。ここにISのような過激派が進出して、今よりさらに過激なサイバーテロをおこなうようになれば、世界はどうなるのだろうか。
 全く新しいサーバー市場が成長するとともに、実社会での対立がそのまま持ち込まれて、様々な混乱と衝突がおきるだろう。


 どちらもあまり明るい予想ではない。日本人の悲観主義のなせる業で済めば良いのだが。すくなくともここ10年は、混沌とした世界が続くと見るのが自然のような気がする。



 日本で怖いのは、あまりにも過去の仕組みにすがりきったねぼけた政財官勢力や、リベラル/左翼が既得権益者として、社会の実権を握り続けていけば、いずれ大きな反動が起きるのではないかという点にある。それこそ、いつか来た道となりかねないのだ。今こそなんとしてでも、既存の歪みをたださなければ、自滅していくか、他国に支配される属国になる可能性すらある。

 アメリカ大統領選をみながら、やはり日本のことを考えてしまった。

令和3年1月22日(金)

2021年01月22日分類:政治, 社会, 経済

人類が生み出した新しい独裁者と見えざる鎖

 人類はその技術の進歩によって、新しい時代の幕を開けてきました。コンピュータや通信に関する技術の発達は、情報文明という新たな文明を人類に与えました。情報文明が議題にされるようになったのは、かなり古く昭和の時代にはすでにかなり議論されていましたが、それでも多くの人々が情報文明のただ中にいるというものではありませんでした。しかし、インターネットが、先進国のみならず地球上の多くの国や地域にまで広がり、人々がそれを簡単に利用できるようになったことで、人類が情報文明下に暮らしていると言えるようになりました。


 しかし21世紀以降、この情報文明がもたらした恩恵だけではなく、明らかな闇の部分が表面化してきたように思えます。その最たるものが、情報文明を利用した新たなる独裁者の出現です。それが、メディアに関わる人々つまりメディアそのものと、SNSなどに代表されるようなグローバルIT企業の経営者たちです。

 共産党一党独裁の中国だけではなく、様々な独裁的政治体制の国々は、多かれ少なかれ情報を統制管理することで、国民を管理し従わせているのです。情報を握ることにやって、人々の思想どころか思考の型までも特定の方向に誘導することが出来る、いわば洗脳出来ることが明らかになりました。その結果、新たなる独裁者たちが生まれてしまったのです。


 いわゆるマスコミと呼ばれていたような時代においても、そこに働く人々が特定の思想信条を持って人々を誘導しようとしていたことは間違いありません。その後、テレビが大衆誘導に極めて有効な道具として認識されるようになったとき、日本では政権の転覆まで行えるのだという、まさに独裁者の考えをメディア関係者たちが持ってしまったのです。この特定の個人不在の独裁体制は、非常にたちが悪いものです。なぜなら、特定個人の独裁者は非難されることもありますが、多数の匿名独裁者たちは、直接非難されることも、責任をとらされることもなく、好き勝手な行動をとれるのですから。

 日本とアメリカの主要メディアと呼ばれる勢力が、いわゆるリベラル、左翼に加担していることはもはや公然の秘密であり、誰も否定すらしなくなってしまいました。ここまで露骨になったのも、彼ら彼女らがまさに独裁者気分を手にしたからに他なりません。

 マスコミからメディアと呼ばれるようになった経緯には、インターネットの爆発的普及があります。ネットが一般大衆に普及した結果、誰でもが情報発信者になることが可能となりました。そのために、既存のメディアは、むしろその混沌とした情報のるつぼに隠れることで、自分たちの独裁的な言動を遠慮する必要すらなくなってしまったのです。メディア関係者が、まるで選挙で選ばれた国のリーダーよりも偉いかのように錯覚しているのも、すべては独裁者意識のなせる業です。


 それに加えてもう一つの独裁者が、SNSなどネットでの言論や情報空間を自由にコントロールできる力を身につけたIT経営者たちです。彼ら彼女らは国家の枠組みを否定し、自らの企業体の独裁的地位を強化しようとしています。新たな独裁者たちは、国境を越え既存の国家の支配層に変わって、世の中を自分たちの好きな方向に持って行くことを望んでいるのです。


 情報文明は、人類史で言えばまだ始まったばかりです。にもかかわらず、ここまでその光と影がはっきりしてしまったのも、この文明が持つ特徴なのかもしれません。私たちは、すでにこの文明の持つ負の側面をできるだけ無くしていく努力が求められているのです。

 弾圧に対して銃を持って立ち上がるだけが、独裁を終わらせる道ではありません。メディアやIT経営者たちという独裁者の弾圧は、目に見えない巧妙なものです。だからこそ私たちは、この独裁者たちと真剣に対峙して、これを正さなければなりません。さもなければ、目に見えない鎖によって縛られた人間になってしまいます。情報文明の奴隷です。

 中国のような独裁国家は、目に見える弾圧と見えざる鎖で人々を奴隷化する両方を行ってきています。それほどたちが悪いのです。しかし、今のメディア独裁者たちは、それと戦おうとはしていません。なぜならまさに同じ穴の狢(むじな)だからです。

 一人一人が、もっと情報文明下での見えざる鎖に警戒をすべき時なのです。

令和3年1月30日(土)

 

2021年01月30日分類:安保, 政治, 社会

サイバー空間の仮想独裁者:巨大既得権益と戦う個人勢力

 あまり目立ちませんでしたが、こんなニュースがありました。『NY株 米メディア「個人がウォールストリートを打ち負かした」』(NHK)

 どういうことかと言えば、株式市場ではいわゆるヘッジファンドなどと呼ばれる巨大な資金力を持った企業や投資家が、株式市場を実質的に動かしてきました。かれらは、空売りなど様々な方法を駆使して、株価が上がろうが下がろうが、自分たちだけが儲かるような行動をとってきたわけです。その結果、割を食うのは資金力が無い組織・企業や個人投資家でした。この現状に一矢報いるような出来事が起きたのです。

 若者を中心に流行するロビンフッドと呼ばれる個人投資家用アプリがあります。これを使って、多くの個人投資家が特定の銘柄の株を大量に買ったのです。SNSなどを通じて、この行動への参加が呼びかけられたのです。その結果、株価の値下がりを見込んで空売りをしていたヘッジファンドが、損害を被ったようだということなのです。つまり、これまではヘッジファンドなどの巨大な力を持つ勢力が好き勝手をやれていたわけですが、それを力の無い個人でも集まれば、十分に対抗できる可能性が示されたわけです。


 昨日のブログ「人類が生み出した新しい独裁者と見えざる鎖」で、情報文明が、メディア関係者やIT企業経営者などの新しい独裁者たちを生み出したと書きました。ヘッジファンドなどは、金融市場における独裁者でもあったわけです。コンピュータを駆使して高速取引を行うなど、情報技術の恩恵を十分に享受していたわけです。そんな彼らに、同じ情報技術である株アプリやSNSによる連帯で抵抗を試みる勢力がでてきたわけです。

 情報文明がもたらした様々な技術は、その技術そのものに善悪はなく、使用する人間の問題であることが、この例からもよくわかります。いまネットにおける匿名性や思考誘導(洗脳)が問題になっていますが、くわえて、一時的な独裁者を生み出すことも出来ることがわかりました。しかも、それは特定の組織によるものではなく、ある目的だけで一時的に集まった集団に過ぎません。いわば、サイバー空間における一時的な仮想独裁者とでも呼べるものです。

 ヘッジファンドに一泡吹かせるだけであれば、問題は無いでしょうが、ISなどのテロリストたちが、同じようなことを始めたらどうなるのでしょうか?IS(イスラミックステート)は、強固な組織と言うよりも個人の集まりという部分がありました。まさにサイバー空間での動きと同じです。

 
 サイバー空間はもはや国家間の戦争の場として正式に認知されています。自衛隊でも少数ですが、対応部隊を創設しています。ですが、日本国民全体の危機意識の希薄さと、新しい技術への認識不足は、どうしようもないほど低レベルなものです。


 日本改革私案では、情報省の創設を繰り返し述べてきました。ここに、もっとはっきりとサイバー空間の管理・取り締まり機能を持たせて対応すべき時が来たようです。自由や人権を侵害しない範囲での警察機能をどこかで準備しないと、他国や特定勢力の支配下に置かれてからでは遅いのです。そうでなくても、日本のサイバー空間のメディアは、すでに特定の勢力に侵食されているのは明らかなのですから。

令和3年1月31日(日)

2021年01月31日分類:安保, 社会, 科学

日本の凋落は本当にやむを得ないものなのかな?

 「パナソニック、令和3年度中に太陽電池生産終了 中国勢との競争で採算悪化」という記事がでた。またひとつ、日本の産業から得意分野が消えていく。まさに、日本の凋落を象徴するニュースです。

 日本の国全体の劣化は「平成は劣化の時代」としてすでに種々述べてきました。ここでそれを繰り返す気は無いのですが、どうしても気になる点があります。それは、日本の産業特に製造業において、韓国や中国の安値に負けたので撤退するという多くのニュースがありましたが、それは真実なのでしょうか?

 いったい、日本の企業はどれだけの努力をしてきたのでしょうか?現に、半導体でも何でも、アメリカや台湾は製造を続けています。日本だけ、一人負けのような気がしますが、どうなのでしょうか。


 日本の製造業の経営者たちは、安い賃金と言って中国に生産拠点を移しました。ならば、条件はそこそこ同じはず。なにより、性能・機能ですでに中国などに負けているのですが、その部分は知らん顔です。

 努力もしない、能力も無い経営者たちの存在こそが、この先進国で一人負けの状況を生み出した一因だとしか思えません。これはパナだけではなく、多くの製造業に当てはまります。

 もう一度謙虚に、努力することから始めるべきではないでしょうか。それには、今の政財官の権力者たちの首をすげ替えないとならないでしょうが。この30年以上にわたる日本の劣化は、もうクーデターが起きてもおかしくない状況に感じますが。

令和3年1月31日(日)

 

2021年01月31日分類:経済

ミャンマーのクーデターに思う

 またか、というのが正直な感想である。クーデターがよく起こされるアジアの国と言えば、タイとミャンマーが思い浮かぶほど、聞き慣れてしまった。それにしてもこの頃のアジアでのクーデターは、意味がよくわからない。というのも、共産党など左翼勢力の政治体制を転覆させる目的であれば、まだわかるのだが、今回のクーデターもそうだが、民主的な政治体制の転覆というのは意味がわからない。

 これらの国の軍部は、一概に反共産ではないようである。その証拠に中国と接近して仲良くしている。となると、結局、共産党と軍の政党の違いはあれ、自分たちの党による一党独裁体制を保つことが目的のように見える。

 また共に仏教国であるからか、国民はさほど過激な抗議活動を起こさずに、簡単にクーデター軍に鎮圧されてしまう。民主的な政治を望んでいるからこそ、選挙で民主政党が大勝する。すると軍がクーデターを起こしてそれをつぶす。国民は仕方なくおとなしくなり、軍は少しだけ圧力を緩める。こんなことの繰り返しである。これでは、国の発展はいつまで経っても望めないだろう。


 問題は、このように国々に対する日本の対応である。アメリカとオーストラリアは早速強硬なメッセージを出して、ミャンマー軍への制裁すら、ほのめかしている。それに対して、日本政府は相変わらず毎度おなじみの台詞だけ。事態の推移を慎重に見守るだけで、何らの行動も口先介入すら行わない。これで良いのだろうか?
 欧米が非難すれば、これらの国はより親中度を強めるだけである。実際中国は待ってましたと言うことだろう。

 欧米流民主主義の押しつけではなく、さりとて軍や共産党の一党独裁でもない国家体制。それに一歩でも近づくための受け皿に、日本はなるべきである。ミャンマーも、これまで日本は軍とも民主派とも仲良くやりながら支援してきたにもかかわらず、結局はどちらからも裏切られてきたのが、現実の姿なのだろう。静かに話して教育で人を育てる、この理想だけでは済まないのが世界の現実である。

 日本人と異なり、他の民族には時に強い態度が必要なのだということを、もう理解しなくてはならないと思う。強さと寛容さの両方を示して、初めてこれらの国は日本の言うことを真剣に受け止めるようになるだろう。私にはそう思えるのだが。

令和3年2月1日(月)

 

2021年02月01日分類:安保, 政治

歪んだ人達の実例

 「歪んだ人達」の題名で、電子書籍を出版しています。内容は農耕型気質の人間が社会の実権を握ることで、日本社会は劣化して衰退していくことを述べた本です。「困った人、歪んだ人、腐った人」の中から遠慮して真ん中を本題に採用しましたが、本当は「腐った人達」としたかったのが本音です。それほど強い嫌悪感を持って書いたのですが、その典型的な実例がまたも出てしまいました。

 個人攻撃が目的ではないのは本と同じなのです。それでも肩書きだけでわかってしまうでしょうが、あえて記すことにします。それほど公の人間だからです。


 日本経済団体連合会(経団連)会長が、先月の定例記者会見で発言した内容です。

 何を言ったかというと、「わが国の所得水準がOECD加盟国の中で下位にあることは大きな問題であり、この認識を共有すべきである」と。これ経団連のホームページにある記者会見要旨からとりました。

 『は? それをやったのはおまえさんたち経営者だろうが、ふざけるな!』と言いたくなります。彼らは全く自分たちの責任などつゆほども感じていないのでしょうね。この傲慢さと無知さ、まさに腐った人達でしょう。しかも、自分たちのホームページに堂々と載せているのですから、経団連の関係者たちは、自分たちが何をやってきたのか、この国の経済をここまで劣化させた責任が自分たちにあるということを、まるで自覚していないのでしょう。

 劣化の平成時代を作ってきた多くの日本社会の権力者たちは、このように歪んでいるのです。この自覚のなさこそ、崖に向かって落ちるまで走り続けたり、ゆでガエルになっているのにぬるま湯で気持ちよいと思っていることにつながります。こうして、国を滅ぼすことに加担しているわけです。


 これ以上繰り返す気にもなりません。
 本気でこの腐った人達を排除する真の政治家が出てこなければ、「劣化の平成」はそのまま「最悪の令和」へとつながっていくことでしょう。

令和3年2月5日(金)

 

2021年02月05日分類:政治, 経済

歪んだ人達の実例②

 毎日ニュースを見ていると必ずと言っていいほど、歪んだ人達が話題に出てきます。毎日拾ってもきりがないのですが、いわば備忘録としてでも書いておくことにしましょう。

 昨日は経団連会長に代表される企業経営者たちでした。今日は、もはや常連の東京電力と官僚、少し前の言い方で言えば原子力村の住民たちです。

 東京電力の柏崎原発での今回の不祥事は、事故などではなく、セキュリテイ問題でした。中央制御室という原発施設の心臓部への不正入室騒ぎです。社員が、他の社員のIDカードを使用して部屋に入ったというものです。一般企業の部屋への入室管理なら、あり得ない話でもないのですが、原発ではそんな事は全く通用しません。このルーズさ、無責任さこそ、東京電力が、結局さしたる反省もなく事業を続けている、あるいは事故から10年で早くも緩んできた証拠でしょう。

 問題は、この行為だけではないのです。
 この不正について東京電力は、2020年9月20日におきた翌日に、監督官庁の原子力規制庁に届け出たのです。ところが、規制委員会の更田委員長にこの報告が上がったのは、なんと今年の1月だったとか。4ヶ月も隠蔽していたわけです。この間に保安規定の認可などの手続きがあったようで、ここに影響を及ぼさないように隠したのかもしれません。

 いずれにせよ、官僚機構お得意の隠蔽が行われたわけです。

 東電でも官僚でも、日本社会のセキュリテイ、安全保障への意識のなさは、限度を超えています。本当に照れででも痛い目に遭わないと、目を覚まさないのでしょうか。もうひとつは、10年で原子力村というくくりが、いつの間にか復活していたことになります。これでは、原発反対派を説得することも難しいでしょうね。

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令和3年2月6日(土)

 

2021年02月06日分類:安保, 社会

歪んだ人達の実例③

 またまた官僚の実例ですが、正直同じことを書くのも疲れました。前回の官僚は、お得意の隠蔽でしたが、今回は、無責任/縄張り争い(縦割り)/焼け太りの例です。

 コロナ禍では、様々なシステム開発がなされています。それも例によって省庁さらには組織ごとにバラバラに。で、感染者追跡システムCOCOAは、スマホのアンドロイド端末では4ヶ月以上も全く機能していなかったことが判明しました。さすがに総理大臣が、お粗末だと謝罪せざるを得なくなりました。リリース直後から様々な問題がネットなどでも指摘されていたというのに、相変わらず官僚のお上意識は、下々の国民の言うことなど聞く耳持たないのでしょう。

 それにしても、開発業者のテストもお粗末ならば、発注した官僚の確認もひどすぎます。ようするに何もしていなかったということなのでしょう。厚労省の役人には人命を預かっているという意識は全くないのでしょうか?COCOA以外のもっと大がかりな感染者の集計システムHERーSYSも、問題だらけで使われていません。この無責任さはどこから来るのでしょう。

 またコロナ対策での支援金支給でも、これから始まるワクチン接種でも、各官庁が各々に勝手なシステムを作っています。ワクチンでもデジタル庁と厚労省でシステムをつくるようです。これを政治が全く制御出来ないのはなぜなのですか?菅さんは官房長官時代には、官僚の人事権を押さえて言うことを聞かせていたはずではないのですか?河野ワクチン大臣も同じですね。

 そしてトラブルばかりでまともに動かないにもかかわらず、次々と新しいシステムの開発予算を獲得して、各官庁は焼け太りでウハウハです。しかも、ここでは官僚同士はお互いに黙って結託します。まさに官僚というくくりで固まるのです。

 結局、もはや官僚は無能なだけではなく、国や国民のことなど全く眼中にないことがわかります。こうして戦前同様に、国策をもてあそぶ官僚群が国を滅ぼすのです。


 蛇足ですが、官僚は異常な忙しさだから仕方がないのだとよく言われます。それを嘘だとはいいませんが、そこも含めての批判です。なぜなら政治家を好き勝手に使えるぐらいの力があるなら、人を雇うなりシステム化することなどたやすいはずですが。違いますか?やらない理由があるのでしょう。


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令和3年2月6日(土)

 

2021年02月06日分類:政治, 社会

受診控えで死者数が減少...笑えないけど笑ってしまう

 病院がなくなった市で、患者が困るどころか逆に減少した。ある県では、ベッド数を減らしたら、患者数が減った。こんなことがありました。同じようなことが、今またおきているようです。

 このコロナウイルス騒ぎで、患者が病院にいかなくなってどこも経営が苦しいと、泣きついているようですが、そのくせ、コロナ病床は増えていかないのは、なぜですかね?ま、この話はまたにして、テレビでは、医師達が騒いでいますね。医者にかからなくなったために、救える命も救えない状態だと。では、次の事実はどう説明するのでしょうかね。


 1月19日に発表された厚労省の人口動態統計速報によると、昨年1~11月の死者は約125万人で、前年同期比で約1万5000人も減少しており、年間を通しても前年を下回るとか。

 あれ、医者にかからないから、患者さんがたくさん死ぬんではなかったのかな?コロナで助かる命も救えていないのではなかったのかな?

 結局、日本の日常のあり方そのものが異常な状態なのですね。それが、普段は隠れているのですが、いやあえて隠しているのかもしれませんが、コロナのような真の緊急事態時には、それが表面化するのでしょう。異常な医療費、介護費用等々、もういい加減にきちんと考えるべき時でしょう。政治家を含めた既得権者にまかせているかぎり、絶対にただされないでしょうから、ウイルス君がやってくれたのかも。


 少し真面目な話では、この死者数の減少の原因として考えられるものに、多剤併用の弊害がなくなったからではないかというのがあります。日本の老人達の薬の服用の多さは世界的にも異常な状態とされています。この薬の多剤併用、つまり様々な種類の薬を同時に飲むことは、結果として身体に悪影響を及ぼしているのではないかということです。肝臓や腎臓の処理を上回るような薬の副作用が蓄積している可能性があるのです。それがなくなって、かえって身体に良かったのかもということです。


 新型コロナによる受診控えが多剤処方という日本医療の悪弊にブレーキをかけて、死者が減った可能性があるとしたならば、コロナは日本社会が抱える様々な病をあぶり出してくれているとも言えるのです。なんにせよ、人間らしく自然に生きるのが一番ですね。


 このコロナがおさまったら、今回問題になった実に多くの日本社会の病巣にこそ、メスが入れられるべきでしょう。

令和3年2月6日(土)

 

2021年02月06日分類:社会, 科学

ハッカーに狙われた水道システム

 アメリカで、地方の水道局のシステムにハッカーが侵入して、投入される薬剤(水酸化ナトリウム)を100倍にしていたことが判明。幸いすぐに異常に気がついて被害には至らなかったという。

 水道、原発、ダムなどインフラ設備が狙われているかとは、かなり前からいわれてきたが、これまでは具体的な被害は公にされてこなかった。それが、こうして一般のニュースに流れるようになったほど、事態は深刻化しているとみるべきなのだろう。

 たんなる社会混乱を楽しむ愉快犯なのか、外国や反政府勢力によるものなのか、なかなかわからない。しkしすでにサイバー戦争は始まっているのだから、今後この種のテロはより多くなるだろう。テロリストがIT技術を身につければ、銃を持たない攻撃が日常化してむしろ社会が混乱する恐れがおおきい。
 となると、いやでもサイバー空間(ネット)の監視と制御を国として行うことが重要になる。さもないと、中国や北朝鮮のような統制の強い独裁的な国家が、自由で統制のない国よりもむしろ守られることになってしまう。この矛盾を日本国民はもっと真面目に考えるべきなのだが、ひたすら権利をヒステリックに叫ぶばかり。



 日本のテレビは、相変わらずとんちんかんなコメント垂れ流し。このニュースに対して、「世界で水は貴重なのだから大切にして欲しいですね」とのコメント。何だこれ?

 インフラが狙われた恐ろしさも、危機感も全くゼロ。この人おかしいじゃないの?高学歴馬鹿の典型なのかな?こののんきさ、無知さが、反日国につけ込まれる原因ともなっているのだが。この手の人間はハッカーよりも恐ろしい存在なのかもしれないな。


令和3年2月10日(水)

 

2021年02月10日分類:安保, 社会

注射器すらまともに用意できない日本とは(ワクチン廃棄)

 今頃になって、このていたらく! もう日本社会の劣化も、いくところまで行ってしまった感がある。ファイザー製のワクチンの接種についての馬鹿げた話である。用意されたワクチンは、一瓶から6回分の注射ができるようになっている。ところが、日本で使用している(用意した)注射器では、構造上5回分しかとれず、残りは廃棄するという。

 1年もの間、何をやっていたのか?この厚労省の役人も政治家も、いい加減責任をとらせるべきだろう。コロナ禍で実に多くの失態が露呈したが、今回の問題はそう簡単に済ませられる問題ではない。なぜなら、欧米ではきちんと6回分を採って使っているからである。

 今頃までこの問題を全く認識していなかったのか隠していたのか、いずれにせよ何も手を打たなかった不作為の罪は大きい。もうひとつは、なぜ欧米で出来る注射器を日本では供給できないのかという素朴な疑問である。ここにも既得権者の妨害があるのかと勘ぐりたくなってしまう。もし、日本ではこんなものもつくれないのだとしたら、日本の製造業は、もはや無価値としか言うほかあるまい。ここまで劣化しているのだろうか?

 メディアも政局化した森発言は異常にあおっても、この人命に関わる問題の原因を報道しないのはなぜなのだろうか。この問題、下手をすると国際社会から日本は袋だたきに遭う。なぜなら、それでなくてもワクチン不足が問題になっており、EUは輸出制限をかけているし、発展途上国にはワクチンが届かないと問題になっている。そんななかで、日本は、ワクチンの実に2割近くを無駄に捨てるなどということになったら、なんと言われるか。政治家はわかっているのだろうか?

 一刻も早く、6回分接種できる注射器を緊急製造すべきだろう。そこにこそ予備費を使えと言いたい。

令和3年2月10日(水)

 

2021年02月10日分類:政治, 社会

洗脳で全体主義に流されている日本

 また一つ日本国民は、歴史に汚点を残すような愚かなことを行ってしまった。それは五輪組織委員会の森会長を辞任に追い込んだことである。この騒ぎが起きたときすぐに森会長は、辞任をいいだしたのだが、周囲が強く慰留を求めたために辞任をおもいとどまったという。いまとなっては、あのときやめておけばとの思いが強いのではないだろうか。

 森会長が、会合で「女性は話が長い」と女性蔑視ととれる発言をしたという報道に端を発した一連の異常な騒ぎは、日本人の質がここまで劣化したのかと言わざるを得ない出来事である。発言内容を擁護するという話ではなく、もっと本質的な話である。

 とりあえず、発言から明日の辞任表明までを、簡潔にまとめれば次のような経過になるのだろう。

 失言癖のある老人の話の中から一部分だけを切り出して報道を開始。
 同じリベラル仲間の外国メディアにネタを提供してかかせる。
 外来崇拝(欧米コンプレックス)を利用して、他の日本メディアも煽りに参加。
 男女平等など反対できない言葉で、人々を煽動してテレビメディアが騒ぎを拡大させる。
 SNSでも、一部の勢力が炎上を装い騒ぎを大きくする。
 付和雷同のネット民が、一緒になって騒ぎを拡大する。
 後はネットとテレビがお互いを利用しながらさらに特定の個人攻撃を強化し、同調を促す。
 行動をとらないものは、敵(不平等論者)と見なすようあおり行動をとらせようと仕向ける。
 メディアにとりあげられたいとか、目立ちたい等々、自己満足と自己愛の歪んだ人々が次々と参加。
 日和見などの人々が、意見にかかわらず、個人攻撃に参加していく。
 野党等が反政府メディアと結託して政局化にして騒ぐ。辞任させないのが政府の責任と話をすり替える。
 一部自治体の長などが、むずからのコロナ失政の隠蔽もかねて、自分は正しい側だとパフォーマンス。
 それをまたメディアが取り上げて、さらに火に油をそそぐ。
 したり顔の識者達が、いつの間にか日本文化の問題とか、組織論とか全く違う話にまで拡大批判する。
 
 かくして、会長が辞任すればまた責任だと言うであろうし、しなければ騒ぎをひたすら続けて与党を批判する。
 この目的がわかって参加している日本人は、今回どの程度いるのであろうか?

 
 一部メディアと一部SNSユーザによる誘導と炎上に簡単に同調してさらに激しく煽り、集団いじめとしか言いようのない報道をするテレビを中心としたマスメディアのひどさはいまさら言うまでも無いのだが、これに乗っかった多くの日本人が腐るほどいることに、正直恐ろしさを感じてしまう。

 この過程はまさにナチスが独裁政権を手にするまでや、戦前日本軍部を中心とした一部の勢力が、反米に世論を誘導した過程と同じ道筋だからである。


 全体主義という言葉の本来の意味は、「政府に反対する言論などを認めない云々」という話はこの際、面倒なのでやめておきたい。一般の多くの人が使うように、『特定の考え方や行動に染まって、それ以外はすべて敵または悪だと決めつけて自分たちへの同調を強く求めるもの』と定義しておく。

 民主主義は多様な意見をお互いに尊重することを基本としているが、全体主義はそれを否定する。右とか左とか、保守とかリベラルとか、男尊女卑とかジェンダーフリーとか、そのような思想信条に関わりなく、ある特定の意見と行動しか許さないのが全体主義の恐ろしさである。

 いかにコロナ禍でストレスがたまっていようとも、誰も反対できない男女平等という看板を楯にして、自己満足を達成するための発言や行為を行う、浅薄な知性を欠いた日本人が次から次へと出てきた。これは単に、同調しないと悪(敵)に見なされるという恐れからだけではあるまい。もう少し歪んだ、自己利益や自己満足のための行動である。そこには、いかなる正論も正しい認識も存在していない。感情のはけ口としての格好の餌があり、それにとびついただけなのである。そこには、日頃の社会に対する不満があり、さらにこれについては何をしても、何を言っても自分が責められることはないという安心感が、攻撃をさらに過激にしている。

 言い方をかえれば、これはもはや社会心理学の範疇の出来事と言えるのだろう。


 これを煽動したリベラル・左翼・ジェンダーフリーなどの特定勢力が、常日頃攻撃の対象としている全体主義を、むしろ積極的に呼び起こしたのである。目的のためには手段を選ばない彼ら彼女ら一部の原理主義者達は、意識してか知らずか、日本人の全体主義的傾向を揺り動かして起こしてしまったのである。

 一部の識者などから、一連のコロナ騒動が民主主義の持つ弱点の一つである全体主義に走る危険性を述べているが、同じようでありながら少し違うような気がしている。今一部の国でおきていることは、情報文明の持つ負の側面がよりおおきく影響を及ぼしているように思えてならない。確立した政府があろうがなかろうが、そういうことには無関係に、ある方向に国民大多数を誘導することが簡単にできてしまうことを知ってしまった、という事実の重さである。

 政治家のパフォーマンスと皮肉っていれば済む時代さえも終焉を迎えたようである。メディアを押さえ、煽動する方法さえ知ってしまえば、どのような方向にも人々を誘導できるとしたら、空恐ろしい世界である。その愚かさの先頭を日本国民が走っているとしたならば、なんとしてもここで止めねばならない。

 もはや今回の社会現象は、森会長の出来事や政局の話では済まないのである。もっと本質的で恐ろしい事態が始まっているのだと知るべきである。

令和3年2月11日(木)

2021年02月11日分類:政治, 社会

去年10-12月GDPからわかること

 まずは事実の羅列

 2020年(R2)10月ー12月期GDPの伸び率 +3.0% 年率で+12.7%

 二期連続のプラス ただしその前の期(7-9月)は+22.7%の高い伸び

 それでも2020年年間では、-4.8% 11年ぶりのマイナス成長

 10-12月の個人消費は +2.2%  年間では -5.9%
      輸出    +11.1% 
      設備投資  +4.5%

 さて、これから何を読み取れば良いのでしょうか。個人的な思いつきを述べてみます。

 この10-12月のGDPのびはGoToキャンペーンのおかげだというのがニュースの解説ですが、本当にそうでしょうか?GoToによらず人出が出て消費が上向いただけではないのですか。無論少しはそこに寄与したとは思いますが。

 政府はGoToの成果を誇りたくてそう言い、反政府側は、おかげで感染が拡大して、反動が大きくなってしまった。1-3月期は、-10%程度の予想になるとしているのです。

 つまりどちらも都合良くGoToを使っているだけでしょう。なんにせよ、あれほどインバウンドだけが日本のGDPの支えであるかのように発言していたメディアや専門家はどこに消えたのでしょうか?
 つまるところ、国内の個人消費こそが最も大事で、影響の大きい項目だと言うことをもう一度示しただけではありませんか。


 それから、GoToではなく、巣ごもりなどの需要増による消費が大きかったことは、企業の半分が黒字であり、通販関連など大幅な利益増の企業がたくさんあるという事実が示しています。このことも押さえておく必要のあることでしょう。

 上場企業の決算で、増益企業が38%、減益企業が43%、赤字企業はわずか18%でした。つまりメディアが騒ぐのと違い、企業は儲けているのです。無論、大企業と中小零細の格差拡大でもあることは確かでしょうが。

 さらには、二人以上の家族の家計では、月平均の貯蓄額が17.5万円と最高額になったそうです。つまり、困っている人と同時に、物言わぬ小金持ちがいると言うことです。さらに貯蓄が最高額と言うことは、これが消費に回っていれば、もっと経済は活性化したと言うことです。


 一方でうがって悪く言えば、実は金持ちが株価の値上がりで、もうけているのが大きいのだとも考えられます。裏付けの数字をもっていないのであくまで推測ですが。いずれにせよ、貧富の格差が拡大していることは間違いありません。それも、金持ちと庶民だけではなく、儲けた企業の正社員と切り捨てられた観光業などの非正規社員とで。


 結論めいて言えば、結局こういう総合的・複眼的な視野で見た経済政策が全くとられていない、このことが30年にもわたる日本経済の沈下の主原因なのでしょう。これは政治家と官僚だけでなく、経営者や国民全体の責任でもあります。目先の利益やきれい事を言う人物を議員にし、歪んだメディア報道をそのまま鵜呑みにして自ら考えようとしていないのですから。


 こんな小さな経済ニュースでも、実は考えることはたくさんあるのです。そういうものの見方をする癖をつけていただきたいものです。

令和3年2月15日(月)

 

2021年02月15日分類:政治, 社会, 経済

藤井二冠が高校自主退学 しなくて済むように出来るのに

 将棋の藤井二冠が、先月高校を自主退学していることがわかった。タイトルを獲得してから、将棋に専念したいと考えたそうである。五輪の聖火ランナーを辞退したのも同じ理由なのでは。(森会長問題の遙か以前の去年の内に辞退を届け出ていた。)

 プロ棋士にとっては学歴など関係ないのだろうが、あえて高校中退になる必要も無いのではとおもってしまう。これも、今の硬直した教育体制に問題があるからに他ならない。生徒個人が柔軟な授業を受けられれば、今回のような場合には十分卒業できたと考えられる。

 飛び級を含めた柔軟な授業割りについては、日本改革私案 教育編の「飛び級:飛び学科と飛び学年」「学年試験の内容」などで解説しています。そちらをご参照ください。

 いずれにせよ、これからますます彼のような若いと言うより幼い才能が、数多く排出してくるはず。戦前までのように、出来る子供はどんどん取り立てる仕組みが必須である。それをエリート教育派けしからんと邪魔するのは、歪んだ平等主義の考え方である。むろん、才能と人格は別物と知っておくことも忘れずに。

令和3年2月16日(火)

 

2021年02月16日分類:社会

18才19才を特別扱いすべきではない

18才19才を特別扱いすべきではない

 少年法の改正内容がようやく決まったようである。18ー19才を少年として扱い、特別な保護を与えるというもの。この年代だけ特別扱いするということには、日本社会の抱える根源的な問題が潜んでいるように思える。

 私の立場は、成人として扱うのならそこで歪んだ特別扱いをするなと言うことである。若者に更生の機会を与えるためとか、わかったようなわからない理屈で自己満足している人間のなんと多いことか。日本人の劣化の一つの証である。


 戦後の憲法と社会におけるありかたで、根本的に誤りだと思う野は、権利と義務の分離である。やれ人権だ、やれ個人の権利だ、やれ犯罪者の人権尊重を..等々、ひたすら権利ばかりが声高に主張されてきた。しかし、人間が形作る社会において、その社会がまともに機能するには、人々に権利と共に義務がなくてはならない。権利と義務は表裏一体であり、別々に扱うことの出来ないものでもある。そのことを忘れて、ひたすら権利だけを主張する。それが、ギスギスした人間関係、悪事を悪いと思わない風潮、自分勝手な行動、他人に対する思いやりの欠如など、様々な問題を生んでしまった。

 選挙権という、国の行く末を決定する権限を与えられたものが、善悪の判断はつかなくてもかまわないという考え方が、空恐ろしい。まるで政治家達が馬鹿な国民を増やそうとしているように思えてしまう。
 憲法改正時には、権利は義務との調和において社会に存在することを明記すべきである。


 この年齢はまだ完全な大人になれないのだから、考慮すべきだという考え方それ自体が、差別である。日本人にはやたらと年齢を気にする国民性がある。初対面でも必ず相手の年齢を気にしてします。これは目上の人への礼儀を守りたいという、礼儀上の要請に過ぎなかったはずなのだが、いつのまにか、個人ではなく年齢で何でも分類しようとする歪んだ社会になってしまった。将棋界のプロ棋士を見てもわかるように、年齢によって人間を判断すること自体が、時に大きな過ちを犯させるのである。十羽一絡げのくくりではなく、個人のありように応じた対応がなされるのが、正しい道であろう。

 犯罪を犯したものが、精神年齢があまりに幼いのであれば、個々の裁判において情状が酌量されれば良いのである。いま、この裁判そのものがこの個別対応の原則を放棄していることこそ問題なのである。


 成人になってもおとなになれないのは、子供達への社会における教育に大きな問題があるのだろう。その論議は全くなされていない。これでは、特定の利権がらみでこんな歪んだことをやっているのだろうと、とられても致し方ないのではないだろうか。ちなみに、日本改革私案のなかで、「成人になる教育-123」の必要性と具体案を述べている。
 犯罪者の更生のまえに、犯罪者を生まない努力について考えるべきである。


 これはかなり物言いを慎重にする必要があるのだが、すべての人間を性善説に基づいて考えるのは、特に犯罪者相手ではあやまりである。これは犯罪心理学や性格心理学などを少しかじればわかることなのだが、それこそ人間性の本質とはという哲学や道徳・倫理の問題にまで及ぶために、なかなか取り上げることさえも難しい。性善説という一方的な価値観で、個人を見ることは過ちを犯すことにもつながると知っておくべきだろう。(日本改革私案「新しい社会の考え方:性善説と性悪説」



 これらの本質的な議論をせずに、いかにも正義や人権尊重を持ち出して、議論さえも封殺しようとする一部の勢力には、むしろ恐ろしさを感じてしまうのは、私だけなのであろうか。

令和3年2月21日(日)

2021年02月21日分類:オン草紙, 社会

無人配送とセキュリティ

 これから無人配送が本格的に始まると考えられます。その運搬手段には、鉄道系、自動車系、ドローン系が考えられます。社会全体でこれらの手段が組み合わされて利用されることでしょう。その詳細については別として、ここでは、無人配送に伴って考えておくべき安全保障上の事柄について述べてみます。

 無人の自動配送車であれ、ドローンなどの無人配送機であれ、配送のための詳細な地図が必要です。この最新の地図をどのように入手するのか、それを誰が管理するのか、まずはじめに大きな問題となります。しかし詳細な地図は、まさに安全保障上の重要項目です。敵対勢力からの軍事攻撃だけではなく、テロリストや犯罪者からも守られなければなりません。

 ドローンが隣の家に間違って配送しては困ります。となれば、無人配送で必要とする地図は、現在のカーナビよりも詳細で厳密なもので無くては役に立ちません。これは様々な勢力にとって喉から手が出るほどに欲しい情報だということです。


 まず、詳細な地図の作成を誰にどの程度許すのか、あるいは国が一括管理して重要名情報を削除したうえで、配布するのか。ドローンなどで飛行してはいけない区域をどのように儲けて、具体的に規制できるのか、技術的にも検討が必要です。今のようにただ禁止区域ですなどと言う甘いことでは済みません。

 自動配送車でも、同じことは言えます。安全保障上通行を禁止する道をどのように教え、同規制するのか具体案が必要です。

 
 無人の攻撃は、テロリストにとってこれほどありがたい手段はないわけです。いまは、目に見える武力攻撃的なテロよりも、サイバー空間での目に見えないテロが拡大しています。そのために一般の人は、テロの脅威には無関心になっていますが、この無人配送システムは、テロリストに攻撃用ロボット部隊を貸し出すようなものなのです。

 各種のインフラ施設を守るのも、これまでと同じやり方では通用しません。どういう某業態勢が必要なのか、コストとの兼ね合いも含めて真剣な検討がされるべき時期です。


 ドローンなどはすでに実際の戦闘において使用されています。技術の進歩は、光と共に必ず闇を連れてくることを忘れるべきではありません。

令和3年2月27日(土)

 

2021年02月27日分類:安保, 政治, 社会

ジェネリック医薬品の闇

 富山の小林化工という会社が業務停止116日という重い処分をうけた。言わずと知れた、水虫薬に睡眠薬を混ぜて販売してしまい、その結果、人身事故などが起きた事件である。

 あまりにもずさんで、特殊なのかと思っていたのだが、どうやらそうではないようである。ジェネリック医薬品というのは、いわゆる特許の切れた後発医薬品のことである。当然安いので、国は医療費削減のために、いわば半強制でジェネリック医薬品の使用を推し進めてきた。小林化工もジェネリック医薬品を扱っていた。

 結果、何がおきているのか。ジェネリック医薬品メーカは、ウハウハである。何しろ、国が医師を脅して自分たちの製品を売ってくれるのだから。個人的な話で恐縮であるが、持病のために連続投与治療を受けている。つまり毎月薬をもらっているのだ。で、ジェネリックはいやなので、できるだけ避けてきたのだが、ここ数年前から半ば強制でジェネリックにされてしまった。 


 ここで、またまた大手ジェネリック医薬品メーカーの日医工が、問題を起こしている。なんと七五品目もの薬を昨年から自主回収しているのだ。そして、ここに来て業務停止の厳しい行政処分が出されるのではないかとの記事が出たのである。当の企業のHPには、全く知らないなどと、これまでの腐った会社と同じ反応をしている。

 大手マスコミは、この手の国内の企業不祥事はほとんどスルーしてしまう。なぜなら、基本的には政治家や官僚がかばうのと、テレビなどのCMスポンサーである企業への遠慮である。国民の健康よりも自分たちが大事なのは、もはや多くの国民が知るところとなっているのだが。

 ジェネリック医薬品すべてがそうだとは無論言わないが、かなり問題のある業界と言わざるを得ないようである。急に儲かるようになったため、利益第一の経営者や企業が多く群がっているのだ。実際、日本だけではなく、アメリカにおいても数年前から問題視されているようだ。

 日本でもこれが悪化に拍車をかけたのだが、医薬品メーカが自分で製造しなくても良いように法律が改正された。つまりどこかに委託して製造してもらうのである。それが、医薬品ではインドになる。


 インドではこの分野は中国と同じで、世界のシェアを握っている。コロナウイルスで表に出たが、なんと世界のワクチンの6割をインドが供給しているのだという。アメリカで数年前、このインドからのジェネリック医薬品がとんでもないもので、大騒ぎになったとか。無論日本では全く騒がなかったが。しかも医薬品などのお目付役であるアメリカのFDAが正しく機能していなかったというのだから、闇は深い。ジェネリック医薬品の場合、書類審査だけで、中身のチェックが行われないのだという。アメリカの商業主義、利益優先もここまで行ってしまっていたのだ。

 日本も同じようなものである。だから次々と不祥事が表沙汰になる。


 規制緩和の闇は、いたるところに潜んでいる。規制緩和が悪とは思わないし、むしろ必要だと思う。しかしながら、規制緩和の結果、トラックなどのドライバーへの過剰負担や軽井沢のバス事故など、規制緩和が行き過ぎて新たな問題を生み出す例が後を絶たない。日本人は極端に走りやすい気質なのだから、規制緩和も、有効な歯止めを常に用意する必要がある。それをさせない利己主義者達とは、本来政治家が戦うべきなのだが。同じ穴のむじなになっているのが、やりきれない。

 今回のジェネリック医薬品問題もさして騒がれることなく、国民の前からは消されていくのだろうか。やりきれないな。

令和3年2月28日(日)

2021年02月28日分類:政治, 社会, 経済

みずほ銀行は嘘つきそれとも大馬鹿?

 みずほ銀行との付き合いは長い。就職したとき作成した口座が、富士銀行だった。その時からだから長いわけだが、何度も合併しながら、融合できない企業の典型であった。何しろ元の銀行出身者が交代でトップ(頭取)に着くことを長い間やっていたのだから、くさりかたも半端ではない。

 大規模障害を起こして官庁から怒られるほど、お粗末なシステムでもあった。3行の基幹システムの統合にとんでもない時間とお金をかけて、ようやく無事完了したと胸を張ったのは、つい最近のことである。それが、またもや半分のATMが動かなくなる障害を起こしてしまった。あきれるしかない。


 しかしあきれたのは他にある。昨日の障害の原因を、頭取が今日の会見でデータ量のせいにしたことである。定期口座の更新とその他合わせて75万件のデータで、それが想定よりも多く障害を引き起こしたというのだ。

 嘘つき、としかいいようがない。長年SEやプログラマーとしてIT業界に生きてきた人間として、そう断言するしかない。そもそも銀行が、たかが100万件もないデータの処理で動かなくなるとか、障害が出るなど考えられないことである。100歩いや千歩譲ろう。

 本当にデータ量がトラブルの引き金になっていたとしたら、このシステムは基本設計が全く出来ていないし、エラー処理もまともに備わっていないことになる。これまた大馬鹿野郎である。

 社内の派閥や身内のことばかり考えていて、本当のお客様のことなど考えていないことがよくわかる。どこのメーカが請け負ったか知らないが、開発した会社もいい迷惑だろうなと思ってしまう。


 みずほに限らず、日本の銀行はこの30年間、新しい時代への備えも挑戦も、何もしてこなかった。ひたすら自己保身と現状維持に邁進してきたのである。そのツケは、やがて業界全体に戻るときが来るのだろうな。気がついたら、日本の銀行など無くなっていたりして。いやだ、いやだ!


令和3年3月1日(月)

 

 追記:

  昨日もまたATM障害。どうなっているんだこの銀行は。おまけに嘘つきだったことがばれた。というのも、今頃になって、ATMの大規模障害が実は、デジタル通帳への移行作業によって引き起こされたと発表したのである。冬眠口座を無通帳のデジタル通帳に自動で移管するという、いわば新しい銀行への変化を象徴する作業で大規模なシステム障害を起こしていたのである。結果、この自動的な移行を延期するとも発表。この銀行の機械化のお粗末さは、日本企業の中でもちょっと群を抜いているように思える。

 

 なんにせよ、相変わらず日本企業の隠蔽体質は、ひどくなるばかりだと言うことがよくわかる。ふー。もはやため息しか出ない。

 

令和3年3月4日(木)

 

 

2021年03月01日分類:社会, 経済

国民性を無視する経済政策は無駄

 新型コロナウイルスの世界的流行により、各国は様々な財政出動政策の実施を余儀なくされました。特にロックダウンや営業制限などに対する補償的な政策は、日本でも実に様々な策が設けられました。各省庁ごとさらには部門ごとに権益拡大策としか思えない形での乱立とも言えます。そのために無駄や不正、本当に困っている人に届かないなど、問題も発生しました。

 様々な問題はここではひとまず置いておき、「日本人の気質」的視点からみてみます。

 アメリカのバイデン政権は、これまでの対策に加えてロックダウンによる困窮家庭を救うためとして、全家計に2000ドル(約21万6千円)を給付するそうです。これに対して批判があり、二つの理由が述べられていました。

 ひとつが、不公平さです。アメリカでは特に多い株で儲けている人や、困っていない人達にも配る必要は無いということです。また、困窮世帯の方が限界消費性向も高く、景気刺激効果も大きくなると考えられています。

 もう一つの理由が、労働意欲の減退による人手不足を招くというものです。失業給付の特例もある上にさらに2000ドルですから、コロナの感染リスクを冒して働きに出る必要は無いと考える人が、多く出るというわけです。実際、米国の失業率は6.7%と比較的高いにもかかわらず、一部の業種では人手不足が起こり始めているそうです。

 アメリカ政策批判は、翻って日本政策擁護になります。失業給付を拡大するのではなく、雇用調整助成金タイプの施策、つまり企業を支援する仕組みの方が良いという論理です。果たして本当にそうなのでしょうか?

 この考え方には実に多くの問題点、いまの日本社会を動かす人達が犯している多くの過ちが、そのまま含まれているのです。

 すべての家庭への現金給付は日本でも行われました。困らない人への給付問題はさておき、ここでも日米の国民性があると考えるべきでしょう。日本では、確かに給付の半分以上が貯蓄に回されたの報告もあり、困っている人を救済するのには効果があっても、消費策としては不十分だったのかもしれません。ですが、アメリカ人は、いわば江戸っ子のような性格で、中産階級も金が入れば消費に回します。日本人とは少し行動が異なるはずです。宵越しの金を持たなかった江戸っ子の日本人が、なぜかくも貯蓄に励むようになったのか、そこにも気質が関係していますが、そこは皆さんで考えてみてください。

 さて、より深刻なのが、本来労働者のための支援金が企業に渡される問題です。少し前の日本の企業や社会であれば、それで良かったかもしれません。ですが、企業が非正規労働者を助けなかったり、雇用調整助成金を申請しなかったりと、およそいまの企業は信頼するにたり得ません。そこで国はさらに労働者にも直接だすことになり、様々な無駄や不正が生じています。
 かっての企業性善説は、とっくの昔に壊れてしまっているのが日本社会です。それは、過去の例で十分認識していたはずです。例えば、東京電力の福島第一原発で働く人々への報酬問題がありました。あまりに安い賃金だと言うことで、国も指導して確か二万円位増額したのでした。ところがそれは労働者には届きませんでした。最大に6次にも渡る多重下請け構造。この何もしない中間企業が、それをみんなとってしまったのです。介護事業でも同じことがおきました。中にはまともな事業体もあるのですが、国が増やした金額のほとんどは、現場の介護スタッフではなく、介護の企業に吸い取られてしまったのです。むろん企業そのものが経営困難であった現状もあるでしょうが。

 今回のコロナ禍でも医療補助に様々な援助が成されていますが、病院のベッドに特別加算で1千万円も支給されていながら、多くの看護師が職を辞しています。現場で実際に働く人の給与に反映されていないのです。

 このように、いまの日本では上から流せば広く末端に行き渡るという政治家や官僚の考え方は、もはや古くさくて通用しない考えなのです。目先の利益や利己的な性格の人間が増えすぎてしまったのです。特に企業や組織の上の方に。


 いずれにせよ、このように国民性や、現在の人々の性格傾向を理解した上での経済政策でなくては、効果が減じられてしまうことを知るべきでしょう。

令和3年3月23日(火)

2021年03月23日分類:政治, 社会

そろそろ潮時かな..

 シンガポールに拠点をおくスマホアプリのIT企業「グラブ」が、アメリカで上場することになったと報道が。その時価総額なんと4兆3千億円という。当然、東南アジアの企業の上場では過去最大だという。

 それにしても、日本のひどさは、もはやため息しか出てこない。何かを言う気力すら失せてしまった。失われた30年「劣化の平成時代」は、経済だけでなく、日本人の知的能力から、やる気などの精神力まで、そのすべてを劣化いや喪失させてしまったのだろう。

 この危機的状況への警鐘も、20年も前からブログやホームページに書いてきたし、本も出してきた。だが、全く売れない。つまり見向きもされないのだ。少し堅い話やまともな話は、避けて見ようともしない、そんな日本人があふれてしまったようだ。

 もうこの自腹のホームページも、そろそろ潮時なのかもしれないな。

令和3年4月14日(水)

 

2021年04月14日分類:オン草紙, 社会, 経済

自衛隊利用のパフォーマンスはもういい加減でやめろ


東京と大阪にワクチンの大規模接種場所を開設するという。それを自衛隊に指示した。一日1万人めどで3ヶ月間と発表。

まったく、何かと言えば、自衛隊を利用する腐った政治家達。なんで、本来の役割である医師会にやらせないのだ?文句を言わない自衛隊の悪用が、目に余る様になってきた。

そもそも一日1万人では、3ヶ月でたったの90万人ではないか!日本は1.2億人いるんだぞ!やってますの猿芝居としか思えないだろうが。

そもそも大規模な接種会場を開くと、コロナがはやりはじめの去年言っていたはずだろうに。あの話はどうなったのだ?結局だだをこねる奴らばかりが旨い汁を吸ういまの日本社会。それを助長しているのが官僚と政治家だ。

死に物狂いでコロナ医療に当たっているごく、ごくわずかの関係者が哀れだ。


文句だけで、もうまともなブログでなくなってしまった。ま、腐った社会にはちょうどいいか。

令和3年4月27日(火)

 

2021年04月27日分類:政治, 社会

あの人達はいま

グローバル化を否定するものは人にあらずの勢いで話をしていた人達、どうしたんでしょうかね?

コロナでは、世界の分業体制どころか、マスクも医療機器も日本にはいらず、ワクチンも手に入らない。そんな状況が一年以上も続いているのに、国内生産は、静まりかえったまま。結束を誇示していたEUは、分裂して国境を閉じ、ワクチン輸出を制限。インドなど医薬品製造国も輸出制限。グローバル経済などまさに絵に描いた餅だったとはこのことなのでしょう。

ですが、この人達、いま静かにしてますが、反省もしないし、やり方も変えるとは思えませんね。だって、それが彼らの気質であり、生き様ですから。こうして、この国は同じ過ちを何度でも繰り返し、劣化の度合いを深めていくわけです。やりきれませんね。それでも、いつかサムライが出てきて、世の中を変えると信じています。願わくは、命ある内にそんな日本を見たいと思うのですが。いかに!


令和3年5月10日(月)

2021年05月10日分類:政治, 社会

会社倒産で逃がしてはならないはず

会社倒産で逃がしてはならないはず

ずさんな工事で会談が崩落して犠牲者まで出てしまった事件。神奈川県相模原市の建設会社「則武地所」が、破産宣告を行った。

その後の報道によれば、あまりにずさんというか、もっと悪質で計画的だった可能性がわいてきた。NHKが、この会社の元職人に話を聞いたところによれば、職人はずさんな工事に危険を感じていたという。また、問題の会談工事は、幹部連中が工事をしていたという。

また国土交通省の現地調査をした他の物件でも、問題が多く発見されており、住宅オーナーに点検を呼びかけている。

報道からでも十分にこの会社と経営者達がいかにずさんで悪質だったかはうかがえるのだが、個人的に驚いたのはツイッターでの発言だった。なんと、2009年には、この会社を名指しで、欠陥住宅を生産しており、下請け業者の支払いも踏み倒しているというTWが成されていたのだ。さらに問題は、この企業は1-2年ごとに拠点を換えて続けているという指摘だった。

つまり、詐欺事件と同じで、初めから欠陥工事をして、まずくなると逃げる事を繰り返していた可能性があるということだ。とするならば、今回の倒産も、いわば半分はわかっていた計画倒産の様なものだと言うことになる。

企業でも経営者でも、かっての真面目な日本人像はもはや夢の中である。いまは、散々批判してきた外国と同じになってしまった。こうなるとやることはひとつ。

倒産で逃がさずに、犯罪として立件して逮捕することであろう。これまでの企業に甘い警察から、もういい加減で国民を向いた警察になって欲しい。これはオレオレ詐欺やマルチ商法と同じ悪質な犯罪なのだと、理解して欲しいとおもうのだが。

逮捕にまでいけるかどうか、今後の展開を見ていたい。


令和3年5月17日(月)

 

2021年05月17日分類:社会

松下電器ファンがまだ生きていた!少し感激

 『「日本人の魂」を買われてはならない――僕がパナソニックに行く理由』偶然こんなコラムを読んだ。
5月にパナソニック CIO(最高情報責任者)に就任した玉置肇氏との対談である。

 ほぼ6年近くPグループ会社におせわになり、最後はリストラされた身の上からすれば、いくつかの事実誤認があると思うのだが、その心意気は高く評価したいし、何より似たような思いを持っていることがうれしい。

 まず、パナソニックではなく松下電器への愛着である。これは松下幸之助という日本人への愛着と言えるのかもしれない。ちょうどこの社名の全面変更時に立ち会ったのだが、会社がおかしくなっているときに、過去からの決別と称して行われるもので、成功した事例は非常に少ない。社内でもなぜというのが、多くの社員の思いであった。入れ物をいくら変えても、中身が腐った酒のままではどうしようもない。

 Pに限らず日本企業の時価総額があまりにも安くなってしまった事への危機感は、全く同感である。もはや、日本企業などいくらでも買収可能なのである。その上で技術だけとって、後は捨ててしまうのが外資の本質というか、日本企業への認識である。これにより多くの技術が流出し、日本の劣化がさらに進んだ。
 ちなみに、Pの株価は、退職後10年以上も経つが、購入価格を回復していない。

 コメントにも見られたのだが、いわゆる50代以上の現状維持派や、頭の固い社員をなくさないとどうにもならないという話は、相変わらずよく聞こえる。しかし、もはやこれは都市伝説の類いである。Pでは、何度も年齢によるリストラ(私もこれ)をやってきた。おまけに、すでに何万人もリストラしてきているのだ。で、変わったのだろうか、良くなったのだろうか?本質はこにはない。


 愚痴や嫌みはこの位にしておき、大きな危惧がある。中国にのめり込みすぎてきた結果、すでに社内では中国企業に乗っ取られる覚悟が出来ているのかもしれない。これだけは、日本人として許しがたい。彼には、ぜひともがんばっていただきたいと心から願う。

 日本劣化の本質などは、「歪んだ人達」(アマゾンKDP)などを参照していただきたいが、それは夢か。

令和3年7月15日(木)

2021年07月15日分類:社会, 経済

Twitterは信用できない

ツイッター(TW)だけでなく、SNSそのものが、陰でどんな細工をしているのか、正直信用できない様になってしまった。きょうもTWのツイートアナリティクスを見ていておかしな事に気がついた。

TWには、それがどのくらいアクセスされたかがわかる「ツイートアナリティクス」という機能がある。そこに、ユーザがTwitterでこのツイートを見た回数「インプレッション」というのがある。簡単にいえば、アクセス回数と言うことになる。ということは、この数字は増えることはあっても、減ることはないはずである。

ところが、このインプレッション数がなんと減少するのである。しかも激しく揺れ動く。ネットでは、この減少の理由を質問しているQ&Aもあるのだが、TWのバグみたいという簡単で曖昧な答えしか返っていない。

今日、こんなTWを投稿した。

 韓国テレビ、開会式中継巡り謝罪 MBC、不適切な国紹介(共同通信) - goo ニュース
 お里が知れると言うか、民族気質がわかる。それにしてもウクライナには原発写真、
 ハイチには大統領暗殺、さらに各国のワクチン接種率表示とは、どこまで上から
 目線なのか、下品なのか。

 

このアナリティクスを見ていてそのまま表示していたら、なんと見ているところで数字が減少したのである。さらに乱高下するような形で、数字が減らされる。大きく減ることはあっても、大きく増えることはない。ただ、減る前の数字に戻ることはある。

論より証拠で、3分ほどPC画面の録画を取ってみた。見事に減少(現象)が捉えられている。TWにあげようとしたが、ファイルが大きすぎるので拒否された。

あまり、陰謀めいたことは書きたくないが、確実に言えることは、これほど簡単に捕まえられるバグがあるのかと言うこと。いいねなどの数字も信用できないという書き込みもあるぐらいだから、SNSのシステムがだしてくる情報は、簡単に鵜呑みにして信用しない方が良い事になる。

TWをやっている人なら、誰でも再現できるはずである。試してもらいたい。アナリティクス画面を出しっぱなしにしておく人はほとんどいないから、意外に気づかれていないようだ。


もう少し信用のおける国産のSNSが開発されるべきだろう。なぜなら、もはやSNSは人々や世論を特定方向に誘導する特定の勢力の道具になっているのだから。SNSを使った思想統制は、独裁国家だけの専売特許ではなくなってしまったのだ。


画面ログ:「Twitter - Microsoft​ Edge 2021-07-24 14-35-16」で録画された3分19秒間の数字の変遷

 113->141->113->143->114->143->114->143->114->143->114->143->114->115->144

(注:7/25)あげたファイルが大きいので、消去して中身の一部の表示に変えました。

令和3年7月24日(土)

 

2021年07月24日分類:オン草紙, 社会, 科学

タリバンの攻勢を止められない現実は「力が正義」を示しているのか

アフガニスタンでは、アメリカが今月末での完全撤退を表明してから、反政府組織タリバンの軍事攻勢が非常に強くなり、多くの都市、州が陥落してしまった。アメリカのバイデン大統領は、自国民の安全な撤退のために三千人の軍を派遣したが、撤退計画は変わらないという。
アフガニスタン政府軍30万人に十分な軍事訓練を施し、最新装備を提供しているのだから、政府軍が自国を守るために戦うべきである、とも発言した。

国連やEUなども、攻撃停止要求やテロとの非難を続けているが、サリバン側はまったく意に返していない。もはや、首都カブールの陥落も時間の問題で、かっての南ベトナムが敗れたときと同じだというニュース論調も目立つ。むろん共産主義とはいえ、同じベトナム人による統一と、過激派テロを主体とする組織による国家転覆では、異なると思うのだが、確かに国家統治が変更してしまうという意味においては同じである。

アフガニスタンは、以前ソ連が侵攻して占領を図ったが、結局撤退した国である。911テロへの報復として、今度はアメリカが長きにわたって侵攻したのだが、これも結局は失敗に終わったことになる。今度はタリバンに中国が接近しているのだが、さすがに慎重に事を運んでいるように見える。この地政学的にも特殊な地域であるアフガニスタンという国を見ていると、結局は、武力を背景とした統治が行われない限り、一つの国としての体裁すら保てないことがよくわかる。

ここで、欧米の「力が正義」といういやな言葉が思い返される。いくら理想を並べ、自由だ人権だと声高に叫んでも、イスラム原理主義の過激派組織には通じない。アフガニスタンでの自由や女性の権利などは、また簡単に踏みにじられる時代に戻ってしまう。武力攻撃を押しとどめるだけの力が無ければ、どうにもならないのである。日本人の多く、というか今この国の実権を握る人々の多くが、この現実を無視して平気でいる。これでは、アフガニスタン政府と変わらないではないのだろうか。

それにしても自衛隊よりも多い人数のアフガニスタン軍が、なぜテロ組織の軍にかなわないのだろう。空軍もあるというが、あまりにも弱すぎる気がする。自国を命をかけて守るという気概がないからだろうか。自爆で天国に行けるという信念をもつ人達とでは、とても比較にならないのだろう。

アフガニスタンから邦人をすべて無事に帰国させられるのだろうか?自衛隊に救出に向かう力はあるのだろうか?具体的な実行力が今こそ問われている。すべての邦人の無事を祈りたい。残された時間は、米軍撤退の今月末までしかない。

令和3年8月14日(土)

 

2021年08月14日分類:安保, 政治

靖国神社参拝に感じるモヤモヤ

安倍氏は参拝後、「終戦の日にあたり参拝した。先の大戦において、祖国のために母や父、友や子、愛する人を残し、祖国の行く末を案じながら散華(さんげ)され、尊い命を犠牲にされたご英霊に尊崇の念を表し、御霊(みたま)安かれとお祈りした」と語った。

岸防衛大臣は13日午後2時前、東京 九段の靖国神社に参拝しました。
参拝を終えたあと記者団に対し「先の大戦で国のために戦って命を落とされた方々に対して、尊崇の念を表すとともに、哀悼の誠をささげた」と述べました。


 尊崇は「尊びあがめる」事で祖先などによく使う言葉です。哀悼の意は、「人の死を悲しく思う気持ち」で、これも死者への言葉ですね。みな神と言うよりも仏への言葉や感情です。ここに、何か割り切れないモヤモヤを感じてしまうのです。あくまで個人的にですが。


 亡くなった人の御霊安かれと、神社で祈ることへの違和感が私にはあるのです。むろん、お墓と同じでそこに神式でお参りしただけと言う考え方も出来なくはないが、それならそれで神ノ社(やしろ)とはしないのではないだろうか。

 神社はあくまで神を祀る場です。したがって、靖国に参拝したなら、国家安寧を祈念するのが本来のような気がします。まだ神になっていない仏の成仏を終戦の日に祈ることへの違和感があるのです。言い方を変えれば、戦没者慰霊を神社で行う事への違和感である。

 たしかに、たたる人物を神として祀ることは、日本の歴史においては普通にあることなのです。典型例が太宰府天満宮の菅原道真でしょう。しかし天満宮に参拝して、菅原道真の霊の昇華、成仏を祈る人はまずいないのではないだろうか。仮に道真が成仏していないとしてもそれは別の話。この世に仇をなすほどの力(神通力)に対して、その力の一部を貸してくださいと祈るのです。

 神として祀られながら、まだ仏の領域におられると考えてしまう多くの英霊のことを思うとき、真に安らかな成仏を願うのなら、それを願って手を合わせれば良いのです。千鳥ヶ淵の戦没者の碑と変わらないはずです。そうではなく、神として神社に祀ったのであれば、神に対する畏敬の念で手を合わせるべきではないでしょうか。この両方がない交ぜのままに感じられてならないのです。


私のような考え方をする人には、残念ながらこれまであったことがないですが。神ながらの道(日本の信仰心)などと関係して話が長くなるので、ここでやめておきましょう。

長く勤めた会社が靖国神社のすぐそばにあり、昼休みにはよく出かけたし、花見の季節にはござを敷いて席取りをよくやったものである。日常のなかにあったからか、本殿参拝はほとんどしていなかった。だが、このようなモヤモヤ感があったのも確かなのだろう。裏手にある茶屋や池は、静かで良かったが、最近はどうなっているのかわからないのですが。

何はともあれ、静かな心で、無心に手を合わせることが、最も大切なことなのでしょう。

終戦の日に前から思っていたことを書いてみました。

令和3年8月15日(日)

2021年08月15日分類:政治, 社会

外交の安保軽視が招く血税の無駄使い

 アフガニスタンの政権崩壊による混乱発生によって、アメリカではバイデン大統領への厳しい批判が起きています。そのような事柄から日本は無縁に思われますが、実は、日本の政治や外交の失敗を示してもいるのです。何かと言えば、ODA(政府開発援助)をはじめとする海外への援助や支援のあり方です。

 日本企業や政財界が中国にのめり込んだ行動を取り始めたとき、私は、相手先のカントリーリスクを考慮すべきだとブログなどでも度々述べてきました。これは中国だけではありませんでした。先のミャンマーの軍事クーデターや今回のアフガニスタンでのタリバンによる現政権の崩壊においても、日本は非常に難しい立場に立たされたばかりではなく、これまでの膨大な援助がすべて無駄になりかねないのです。いやすでに大部分無駄になったのでしょう。

 日本政府は2002年から2020年までの間に、アフガニスタン共和国に対して総額約70億ドル(約7700億円)のODA援助を行ってきました。2019年には、日本の対外無償援助のなかで第2位がアフガニスタンへの1億2000万ドルでした。第1位はミャンマーで1億7000万ドルです。無償援助とは要するに私たち国民の血税です。
 無償援助には無償資金協力と技術協力がありますので、その全体の援助額はなかなか捉えられませんが、相当な金額になるのは確かでしょう。


 それにしても無償援助1位と2位の国で、援助が無駄になるとはどういうことなのでしょうか。ネットの検索では「対外援助 問題点」「対外援助 失敗例」という項目があるくらいで、日本の対外援助の失敗は昔から色々とあるのが実情です。

 失敗の原因は色々とあり、論文も出ているようですから、今更口出しすることでもないのかもしれません。ですが、ここでは、あまり取り上げられていない失敗の要因について述べたいと思います。それは、相手の国民あるいは民族の気質をよく考えない事と、もう一つが相手国のカントリーリスクとりわけ安全保障上のリスクへの無知・無関心です。相手国の政治や社会体制にはどのようなカントリーリスクがあるのか、さらには、政治的な安定性(大きく言えば安全保障上)のリスクです。ミャンマーもアフガニスタンも、どちらも簡単に政権が転覆するカントリーリスクの高い国だったのです。


 日本の外交や政治は、安全保障を軽視するあまり、これまでも大きなミスや失敗を繰り返してきました。対外援助の失敗もその延長線上にある出来事なのです。外交の失敗は、国を危うくするのみならず、経済的にも損失を与えるのです。経済安全保障という概念まで出てきている現在の国際社会において、安全保障に無知であったり軽視することは許されません。

 単に欧米に追随するのも無論問題ですが、独自色を出そうとするあまりより大きな過ちを起こさないようにしてほしいものです。

令和3年8月25日(水)

 

2021年08月25日分類:安保, 政治

EUの原発方針

EUの原発方針

 正月早々、あるニュースで日本人のお人好しというか無知さ加減がまたも露わになってしまった。それは、EU(ヨーロッパ連合)が、低炭素社会に向けて原発には役割があると認めたニュースである。欧州委は、持続可能な経済活動の分類基準を見直し、原発と天然ガスについて、低炭素社会への移行を促進する手段として、「役割がある」とする声明を発表したのだ。

 これまでは、認めてこなかった原発を認めるという声明を出したということなのだが、これが日本人とどう関わるのかいくつか触れてみたい。

 日本人は人類の未来のためなどと言われると、自己犠牲もいとわずに、経済的な損失を被りながらそれを無条件に実行してしまう傾向が強い。お人好しとか、物事の理解が浅いという国民性によるのだろう。欧米などは、それほど甘くない。口先ではいかにも素晴らしいことを大々的に発言するのだが、実際の行動においては、自国が損するような事はおよそ実行しないのが当たり前である。
 原発をやめないどころか、低炭素に向けて活用すると宣言したことになる。原発だけではない。日本の石炭火力発電をやり玉に挙げているが、世界の石炭火力発電の発電量は大きく増加したままなのである。日本だけが、悪者にされて、自虐的な行動に走っている感がある。

 お人好し以外に、感情的になりすぎるという欠点も大きい。原発絶対反対も、ほとんど感情的な反対論であり、そこには科学的な議論がまるで存在していない。原発を進めろと言っているのではない。すくなくとも、世界における現状認識と将来予測などを知識としても、情報としても、きちんと正しくおさえておくべきだと言いたいのである。

 世界全体でみれば、原発炉はこれから増大の一途をたどるであろう。そこには、エネルギー問題への対応もあるし、何よりも、これまでよりは安全性が高い小型原子炉の技術開発の進展がある。科学技術の上からも、福島などの廃炉問題への対応からも、原子力の技術力は日本にとっても重要な課題である。それらすべてを、感情的反発だけでやらせないのは、自分の首を自ら絞めているに等しい行為であろう。


 日本だけが、感情的になってすべてを止めても、世界はそれとは無関係に、未来に向けて確実に進んでいる。それを正しく認識できなかったことが、この30年間の日本一人負けでの劣化につながっているのだ。

 正月早々、あまり良い話ではないが、ここの認識から始めて行くしかないのだろう。

令和4年1月2日(日)

 

2022年01月02日分類:文化, 社会

歌集 和暖流

歌集「和暖流」をアマゾンの電子出版で出しました。よろしければ、こちらです。

今日午後5時から2日間だけ無料配布しています。

 

時代を超え 流れ続ける 和歌心 永遠の生命を 明日に伝えん(はじめにより)

ふとしたときに口ずさむ和歌は、日本人の感性の現れでしょう。天才歌人の柿本人麻呂など先人達には遠く及ばないまでも、日々の暮らしの中で感じたことを言の葉に載せ、過去からとうとうと流れ続ける和暖流にそっと浮かべてみました。

この歌集「和暖流」は、歌集「赤鳥居」以降に詠んだ和歌で、残っているものを117首ほど拾い集めたものです。「和暖流」「若竹」「雨水」の各章からなります。

概ね詠んだ月日の新しい順になっていますが、同じページ内にまとめてある歌は、同じ時に詠んだか、ひとかたまりの作です。また各歌に付けた解説の「です・ます調」が不統一ですが、詠んだときの気分を反映していますので、できるだけそのままにしてあります。ご了承ください。

コロナ禍で 活気が消えた 年の瀬を 休む間もなく アマビエはしる
薄衣 透けし乱れの 花模様 散らせし君の 知るよしもなく

皆さんも日常にふと感じた気持ちなどを、是非詠んでみてください。心がなごむと思います。

令和4年1月22日(土)

2022年01月22日分類:オン草紙

「余震」がだめなら「連震」に

今日も夜中に大分と宮崎で最大震度5強の地震がありました。とにかく地震が多くて、震度5強も珍しく無くなりました。災害列島の宿命なので、自然災害の話はまたにしましょう。

大きな地震発生のたびに、気象庁が会見を開いて説明をします。その中で、変わったことがあります。それが「余震」という言葉の使用をやめたことです。マスコミもすでにやめています。この理由は、地震の多さと関係しています。

余震は本震と対で使用されていました。大きな地震が本震でその後に続く小さな地震が余震です。しかし、この常識が見事に破られました。本震の大きな地震のすぐ後に、さらに大きな地震がきたり、震度7の大地震が続けて2度も起きたりしたのです。その為に余震という言葉が、誤解を与えると言うことで、使用しなくなりました。

今後も同様の規模の地震が続くことが考えられ、特に2-3日は注意が必要です、という説明をするようになりました。これはこれで良いのですが、なぜ余震に変わる言葉を考えないのでしょうか?

そこで提案です。大きな地震の後に続いて起きる地震を、連続して起きる地震「連震」とよび、特に2-3日中に起きるものを「続震」と呼んではどうでしょうか。漢字二文字で簡単ですし、字を見れば意味合いも伝わると思うのですが。


戦後自虐的な思考を教育されたためか、国語の力が落ちているように思います。とくに、新しい日本語を生み出す力がなくなり、すでに日本語にちゃんとした言葉があるのに、わざわざカタカナの外来語を使う有様です。明治維新など海外の科学技術に日本が簡単に追いつくことが出来た理由のひとつには、外来の概念・単語の翻訳・日本語化があります。江戸時代、明治時代には、特にこれが先人によってなされていたからこそ、その後の急速な社会の発展もあったわけです。実際、この時期に作られた日本語が多く中国などの漢字圏で取り入れられています。

ましてや、自国内において生まれた概念などを現す言葉・単語を生み出せないのは、日本人の文化力の劣化以外の何者でもありません。すぐに消えていくはやり言葉ではなく、長く使われるきちんとした単語や言葉を作り出す努力をするべきだと思います。

令和4年1月22日(土)

 

2022年01月22日分類:文化, 社会

梅便り

 

 梅の香に 誘われたるか 夜の風 梢を揺らし 春を告げ行く

 もう春が近いよと、風が木々に告げて回っているようだ。

 関東など多くの地域で大雪や寒波に見舞われているが、高知や宮崎では一足早く梅の便り。日本は小さな島国だが、南北に長いので季節の移り変わりも長く続く。

 コロナ、不況、株下落、ウクライナ対立など、相変わらず騒然とした世界だが、自然はそんな人間界など無関心。あるがままに生きている。

令和4年1月28日(金)

2022年01月28日分類:自然

キャッシュレスが嫌いなわけは信用できないから

 政府はひたすらキャシュレスを進めようと騒いでいますが、なぜでしょう?特定の事業者を儲けさせるためとしか思えないのですが。あるいは個人データ収集の前段階かな?

 それはさておき、クレジットカードを何枚も持っているし、若いときはむしろ会社でもカンパニーカードを使っていた。しかし、どうも情報の漏洩など、ネットなどが信用できなくなり、スーパーまで現金で払っていた。だが最近では、自分で支払いをやることが増えてきたため、操作が面倒なので、カードを使うようになってしまった。

 そんな中、また不信感を抱かせることがあった。某製薬会社のサプリメントを通販で購入しているが、これもコンビニ払いに長い間してきたが、ついに面倒になり、昨年クレジット払いにした。
 それが、今日、昨年12月の支払いが未払いだとの督促はがきが来たのだ。不審に思いながらも、CSに電話してカード払いにしたはずですがと尋ねてみた。その返事が恐ろしかった。なんと今回だけカード払いを選択していたというのである。継続的にカード支払いになっていないというわけだ。変なの!

 よく確認しなかったのが悪いのだから、ここまでは文句はないのだ。問題はこの後。次回からはこのカード払いに変更しましょうかと言ってきた。で、なにげなくカードの種類を聞いたら、言えないという。下2桁だけなら確認できるがと言う。ま、それもセキュリテイ対策だから良いとしよう。

 何を怒っているか。おわかりですか?昨年に1回限りというカード支払いをしたのなら、当然そのカード情報は使用後に消去されていなくてはならないはず。9月に変えてますというカードの情報が、年をまたいで未だに保持されているとはおかしいではないか。1回限りならすぐ消せと言いたいのだ。

 自分たちはお客様サービスという名目で、設定を自由にいじりながら、本人には情報確認もさせなければ、個人データの消去すらしない。これが今のネット上のサービスの実態である。だから、ここ10年は、できるだけカード情報等をネットに入力しないようにしてきたのである。

 デジタル化を騒ぐなら、同時に個人データのネット上での扱いについてきちんとした法律を作って管理させるべきであるし、個人は自分のデータをいつでも完全に確認できるような仕組みを導入すべきである。
 ネット通販のサービスを利用する場合、いつも同じ特定のサービス先になってしまう理由はこんなところにもあるのだ。

令和4年1月28日(金)

 

2022年01月28日分類:社会, 科学

地方の厳しさか たまたまなのか

 ニュース抜粋『11日午後11時45分ごろ、新潟県村上市長政の三幸製菓荒川工場内の建物で火災が発生していると消防に通報があった。県警によると、この火災で60代~70代のアルバイト清掃員4人の死亡が確認され、ほかに身元不明の1人の遺体も見つかった。同社従業員の男性2人と連絡がとれていないという。』

 金曜日の午後11時45分に火災発生で、このとき30名ほどが工場で働いていたという。犠牲になった5名のうち4名が70代中心のシニア世代だというのにも驚いた。こんな夜中に働いている事が驚きだし、そのほとんどがシニア世代という事にも、今の日本社会の格差や劣化を考えさせられてしまう出来事だった。工場の通常の操業が終了したあとの清掃にしても、遅すぎる気がするのだが。もちろん、このときたまたまなのかもしれないが。

 地方の衰退のひどさは直接経験しないと、大都会にいてはなかなかわかりづらい。シャッター商店街と言われたのは遙か昔の事で、いまや、町内の人口が半分になった地域も珍しくはない。テレビ番組「ぽつんと一軒家」で、「昔は集落があったのだが..」という台詞がよくきこえてくるが、いまや山の中だけではないのだ。

 同じシニア世代でも、特殊詐欺の被害額が何千万円という人達と、年金だけでは食べていけない人達とではあまりにも格差が大きすぎる。この格差の原因のひとつが、厚生年金への加入の有無である。いいかえれば、社会保障制度の歪みとも言える。しかも、非正規や自営業として働く人がさらに拡大している現状を考えると、近い将来大変な事になるのは目に見えている。

 現在自分の生活に不自由していない政治家や官僚、さらには一部の既得権益者達が、社会の実験を握っている限り、この格差もまた解消されないだろう。そしてそれは、日本が完全に先進国から更新国になることを意味している。

 クーデターは望まないし、日本では歴史的にも成功例はない。経済再生の具体案は、日本改革私案や「一国二経済制度」で具体案を示してきた。どこかに、これを実行しようとするまともな政治家はいないものだろうか。

令和4年2月12日(土)

2022年02月12日分類:政治, 社会, 経済

中国の検閲の恐ろしさ

『部屋の天井から大洪水!フィンランド選手が「助けて」投稿も即削除 中国が対応か』

 部屋のトラブル対応よりも早く、投稿を削除するとは。あきれるよりも、中国の検閲の恐ろしさに身震いがする。五輪というスポーツの祭典においても、スマホにアプリを強制的に入れさせて監視したり、発言の一々を検閲したりと、あまりに度を超えた検閲・言論統制には、もはや言葉がない。
 自国民ならまだしも、外国選手まで全く同じ扱いであり、しかも、こういうことをやっていることをもはや隠そうともせず、平気で実行するところがより恐ろしい。

 五輪でこれなのだから、人民の監視はもっと強いのだろうし、ウイグルやチベット人などへの締め付けは、想像するのも寒気がする。戦後の日本人は、共産主義思考に慣らされて、この恐ろしさをまるで理解していないのだろう。最近、中国ドラマを見ていて、国民性の恐ろしさに、今更ながら気づかされたこともあり、自国の防衛に本気で取り組まない日本社会に、怒りすら覚えている。

令和4年2月13日(日)

 

2022年02月13日分類:安保, 政治

ロシアのハイブリッド戦は日本でも始まっているのではないか

 先日、久しぶりで携帯でSMS(ショートメッセージ)を送信したら、そのすぐあとにスパムのSMSがきました。その中身がなんとロシア語だったのです。数年前からSMSのスパムや不正メールが、問題となってきましたが、多くは日本語または奇妙な日本語のメールでした。

 いっぽうで、パソコンで受信するメールでの迷惑・不正メールは、相変わらずほぼ連日とどきますが、その中で言語設定がおかしなものが含まれているようになりました。それも中国語が多かったのですが、ここ1年くらい前からでしょうか、ロシア語が出てきたのです。

 さらには、個人のホームページへのアクセスログにも、新しいタイプのおかしなログが見られるようになりました。ロシアのサーバからの不正アクセスや、サーバがアメリカにありながら、中身がロシア語のサーバーからのアクセスなどです。しかも、表向き(?)は、ECサイトなのです。ECサイトのアドレスやURLを使って、なぜ日本のホームページに大量のアクセスが成されるのでしょうか?

 個人的な経験だけでも、すでにこれだけの事が起きているのですから、日本の国全体では、すでに隠れた被害が、かなり出ていると考えても良さそうです。


 もはや珍しくもないサイバー空間での戦いですが、サイバー戦にも主な目的があるはずです。北朝鮮の場合には、お金を得ることが主目的でしょう。中国は、まさにハイブリッド戦と呼べるような、しかしより息の長い日本国内攻略を目的としているのでしょう。では、ロシアの日本へのサイバー攻撃の主目的は何でしょうか?これまでは、反日勢力などへの支援や共産主義思想の浸透ととれるものでしたが、最近は寄り明確な目的の下に行われているような気がします。それが何か。

 中国の台湾や尖閣侵略にあわせて、北方四島どころか、北海道侵略の夢よもう一度などという馬鹿げた事すら、陰謀論ではすまないのかもしれません。一部の専門家からは、ロシアが対米戦の一環として、千島周辺の軍備増強を図っているとも指摘されています。


 憲法9条があればとか、平和を守れとか、およそ現実離れした言霊平和主義をいい加減で払拭しないと、中ロによる日本の一部支配などということにもなりかねません。
いわゆるリベラルな日本の大手メディアは、これら日本の安全保障に関わるまともな報道をほとんどしません。経済安全保障の責任者が、新聞社の女性記者と不倫をして情報を漏洩した疑いまで出ているのが現状ですから、もはや言葉もありません。

 いわゆるゆでガエル状態の経済によって、今や50年前の日本の国力に低下したと言われます。ゆでガエル状態なのは、経済だけではなく、情報やSNSの世界も全く同じなのです。それをすべての国民が認識すべきでしょう。


【注】(*)ハイブリッド戦
  これまでは武器を使った衝突の形が戦争でしたが、ロシアがクリミアを侵攻したときなどにおこなったのが、ハイブリッド戦と呼ばれる新しい戦争の形です。軍隊を強引に侵略させるのではなく、相手国内を混乱させたり、情報を遮断して、特定の方向に誘導したりしながら、内部崩壊させてしまうやりかたです。その中心的な戦場のひとつが、サイバー空間です。SNS情報はもはや信用できる情報ばかりではないのです。


令和4年2月21日(月)

2022年02月21日分類:安保, 政治, 社会

発達した低気圧にも台風のような名前をつけよう

 今も発達した低気圧で、北陸など各地で大雪などの被害が出ています。最近は低気圧が発達して、被害を及ぼすことも多くなりました。もはや台風並に被害が出ているわけです。
 ですから、爆弾低気圧というだけではなく、もう少し範囲を広げて被害が出そうな低気圧には名前をつけてはどうでしょうか。海外ではそのような国もあるようです。

 名前は人名などでなく台風と同じように番号でも良いかもしれませんが、すべての発達した低気圧につける必要もないでしょう。あくまで被害が予想される低気圧や集中豪雨などを対象とするべきです。さもないと注意喚起になりませんから。

 災害をもたらす自然の変化が多くなりました。その広報にも、寄り知恵を絞ったものが求められる時代です。また、以前から提案している防災省と情報省、そして国民情報局をそうせつすべきだと考えます。


令和4年2月21日(月)

2022年02月21日分類:社会, 自然

硬直した官僚思考は国を滅ぼす


 ロシアのウクライナ軍事侵攻において、いくつか国が兵器をウクライナに供与するなか、ドイツは武器の代わりにヘルメット5000個を提供して、日本をはじめとする各国の国民から失笑をかった。ドイツは日本と同様に武器の輸出を厳しく規制してきたことが理由のひとつである。

 そのドイツが、地対空ミサイルや対戦車ミサイルを1000発以上、ウクライナに供与する事にした。考え方を柔軟に変えたのだが、当然のことであろう。では、日本はどうだろうか?

 日本では、特にお役所仕事と言われるほどに官僚達は、国益を損ねようとも前例踏襲を崩そうとはしないことがほとんどである。臨機応変、柔軟な対応がおよそ出来ないのである。コロナ対応を見ていてもそれがよくわかる。むろん、政治家がそれを正せないのだから、どうしようもないのだが、官僚上がりや官僚任せの政治家が幅をきかせている限り、指導力は望めないのだろう。

 ひとたび深刻な危機が起きたとき、いま日本の硬直した指導者達で、その危機を乗り越えられるのであろうか。ウクライナ侵攻の陰で、中国は尖閣に領海侵入をしてきているし、北朝鮮は弾道ミサイルを発射している。日本もまた目の前に危機が迫っている可能性がある。柔軟な思考や行動を取れなければ、自滅しかねない。


 これからロシア制裁の影響で、エネルギー危機と食糧危機が一部で起きるだろう。脱炭素の一時的停止や原発再稼働なども、課題になる事は間違いが無い。言い出しっぺのEUは、すでに新規原発開発など原発稼働容認に動き出している。日本もまねしろというのではない。あらゆる事に、柔軟な対応をしろと言いたいのである。

 硬直した思考からは、前向きな行動は何も生まれてこないと、もう一度確認しよう。

令和4年2月27日(日)

 

2022年02月27日分類:安保, 政治

文化を理解していない海外専門家

ウクライナのキエフにとどまり続けている日本人がいる。その人がこの頃日本のメディアに出演しているのだが、その発言がまともすぎて、日本から投げかけられる質問とかみ合わない場面が見受けられる。

最も典型的なのが、日本のメディア(オールドマスコミ中心)でかなり強調されている、負けがわかっているのだから、死者が少ないうちに早く降伏しろ、ゼネンスキー大統領の選択は被害拡大させている誤った判断だ。なぜ逃げないのか、命が一番大事だろうに。などという腐った質問にイライラして答えたのが、国を守ると言う気持ちを持つことの何がおかしいのだ、どこがいけないのかという至極まっとうな反応であった。

今日も、ロシアの専門家として非常に良く出演している人物が彼に質問した。毎週日曜日の教会への参拝は、行われているのですか、それとも出来ていないですか。この質問に半ばあきれ、半ばうんざりの表情で彼が答えた。ウクライナの人々は日本の仏教信仰と同じです。毎週教会に礼拝など行きません。日本で仏教徒といっても、特別な時にしかお寺に行かないのとおなじです。今はいっていませんと。
このロシアの専門家、ウクライナの専門家ではないのかもしれないが、要するにウクライナの文化を理解できていなかった為に、このようなとんちんかんな質問をしてしまったのだろう。本人は、答えの内容で、現状がどうのこうのというつもりだったのかもしれないが、恥をかいた。

このように、相手の文化をよく理解できていない専門家が日本にはおおすぎる。なぜそういえるかといえば、最近では、現地に長く暮らす日本人が、日本でのおかしな質問や誤った理解を指摘するコラムなどがみうけられるからである。

日本の海外専門家の質の悪さは、ほとほと手を焼くが、あまりにも相手の国や国民などの文化を理解できていない。いや無視してると言えるのだろう。この底の浅い理解度で専門家として通用してしまう日本。マスコミだけではなく、大学や研究機関などの質がいかに低いかがわかる。


もうひとつは、外務省の役人などでもよく言われている相手国のシンパである。日本では、その国の専門家、詳しい人物というのは、ほとんどその国のスパイか回し者としか思えない言動をしている事が多い。その理由としては、その方が仕事がもらえる、経済的な利金に関係している(利害関係がある)、相手の国から情報をもらうため、その方がマスコミ受けするから、金や女性で接待されたから、等々様々な理由があげられるだろう。
しかしそれに加えて、やはり集団農耕型の人間のくくりへの撞着があるとおもわれる。つまり、ある国の専門家というくくりに属しているということは、そのくくりには当然相手の国や人間も含まれてくる。そのため、そのくくりへの撞着が強くなると、自己同一化が働き、親しみを持つのが当然となってしまうのだ。

外国の日本人専門家が、必ずしも親日ではなく、アメリカの親日家や知日家が実は反日だったことが、後から何人も判明している。それにたいして、日本では中東の専門家は親中東派、ロシア専門家は親ロ派、中国通は親中派、韓国通は親韓派がほとんどである。さらに彼らの大半がなぜか反日という、海外では考えられない裏切り者になっている。戦後の歪みは、どこまでも大きいようだ。

専門家と述べてきたが、官僚や財界人だけでなく、政治家が同じなのだから、この国の未来は明るくない。

令和4年3月18日(金)

2022年03月18日

和歌

 ぼんやりと 眺める花の ひと揺れに
   心もゆれる 春のぬくもり

寒かった冬もようやく終わりを告げたのか。花にも春のぬくもりが感じられる。

令和4年3月6日(日)

 

2022年03月06日分類:オン草紙, 自然

和歌

子供らの 声も聞こえず しんしんと
  ブランコ隠す 弥生の雪か

初の電力供給ひっ迫警報が関東地方に出た日。埼玉でも午前中から雪が降っている。すでに東京で開花宣言したというのに、何という日替わりの天気。

 

令和4年3月22日(火)

2022年03月22日分類:オン草紙, 自然

情報戦 戦わずして負けている日本

現在進行中のロシアによるウクライナへの軍事侵攻。ここでは様々な情報戦が話題にのぼっている。それにつけても、日本は情報戦はおろか、未だにまともな情報の管理/運用すら出来ていない。が、このいつもの話ではなく、少しだけ違った点を指摘してみたい。

それはやはり国民性、気質の違いの話になる。太平洋戦争の敗因のひとつにも関係するのだが、日米の気質の違いが大きく目立つ。アメリカは常に勝っているような印象があるが、それは誤りで、むしろ負けることも多い。しかし、失敗やミスをした後の対応が、日米では大きく異なるのだ。

ロシアのウクライナ侵攻は、今回が初めてではない。2014年には、クリミア半島を易々と占領されてしまった。このときもアメリカは、事前にそれなりの情報を得ていたのだが、結果として適切な対応が取れなかった。このときアメリカは、情報を同盟国などには極秘に流していたのだが、色よい反応を得ることが出来なかった。ましてや、国際世論は全く盛り上がらなかった。


この情報戦での敗北をみとめて、今回アメリカは、新たな情報戦のやり方を採用したのである。それが、情報の積極的開示戦略だった。

昨年のうちから、ロシア軍の動きを正確に把握して、主要メディアにリークしていたが、侵攻直前には、大統領などが、はっきりとロシア侵攻を口にするなど、細かな情報を世界に向けて発信した。そして、その発表通りに事態が進んでいった。侵攻直前には、ウクライナまでもがその情報の信憑性を疑う発言をしていたのだが、実際に侵攻されて、その情報への信頼性を深めたようである。
ロシア軍の動きをアメリカなどから提供されたウクライナは、事前に橋を破壊して進軍を妨害したり、ロシア軍の将官を殺害することにも成功した。実際、少将が4名、中将が1名が戦死するなど、ロシアの人的損害は大きなものがある。

ウクライナの国民の国を守ると言う強い意志と団結力にくわえて、情報戦での勝利が、クリミア同様に短期で勝てると考えたプーチンのもくろみを完全に打ち砕いたのだった。


今回ほど、情報の力を見せつけた戦争もないかもしれない。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、侵攻が始まったその日に、SNSを介して国民に団結と徹底抗戦を呼びかけた。彼もまた、SNSを有効に活用することで、国民の団結だけではなく国際世論まで味方に引き入れる事に成功している。そして、このSNSの活用も、ロシアが事前にウクライナの通信網、ネットを遮断しきれなかったことも大きい。さらには、アメリカの大富豪アーロンマスクが、自社の人工衛星ネットワークとその端末をいち早くウクライナに提供して、ネット環境を維持できたことも大きいのだろう。いくら大統領が演説しても、国民に届かなければ意味が無いのだから。

このようにロシアの侵攻前からアメリカとロシアとの間で交わされていた情報戦において、アメリカが勝利したといえる。アメリカは、縦割り秘密主義に陥りがちな各種情報機関をひとつにまとめるために、タイガーチームと呼ばれるチームを結成して、情報の囲い込みを防ぎ、その正確な情報をもとに情報戦を展開したのだ。

このように、アメリカの強みのひとつは、自らの負けや失敗を素直に認め、徹底的に対策を練ることが出来ることにある。翻って日本では、縄張り意識の解消が出来ないばかりか、失敗したときには、隠蔽、責任のなすりあいに終始して、原因の追及や対策を講じることが全くと言っていいほどに行われない。これこそ、集団農耕型気質の欠点である。孤高武士型であれば、常に自ら責任を取るという形で失敗を認めるから、次に進むことも出来る。つまりは、気質の違いがおおきいのである。


情報戦とは、まさに人間同士の戦いでもあるのだから、なおさらその担当者達の性格が課題になる。気質を充分に理解したうえで、組織や仕組みを作ることが最重要課題なのだが、今の日本社会にはその流れはほとんど見受けられない。軍事だけの問題ではない、外交でも経済でも最後につまずくのは、相手の国民性と自分たちの性格とを理解できていない事も影響しているのである。


情報戦における過去の常識では、情報の取得源を隠すためにも、機密情報は公にはしないのが当たり前であった。それを今回アメリカは正反対の方法を採用することで、上司を覆し勝利を手にした。この挑戦する姿勢もまた重要な気質である。


今回のロシアによるウクライナ侵略は、世界の流れを大きく変えてしまった。そもそも、戦後言われてきた、外交の失敗が戦争になるとの前提は、もろくも崩れ去ってしまった。はじめから侵略を意図していたプーチンにとって、外交など意味が無かったのだ。これは他の覇権主義国家や独裁的国家においても、共通する特徴である事を知るべきだろう。また核戦争を恐れるあまり、核を持った国の持たざる国への侵略は、他のどこの国も直接支援してはくれないという現実を、全世界に広めてしまった。これがさらなる核の拡散を呼ぶことは間違いないであろう。加えて戦争のやり方も情報戦も大きく変わってしまった。

日本は、すでに様々な分野で遅れているが、この新しい世界では、なんとか先頭グループに立たなくてはならない。それが核兵器をもたない国における安保の最低条件でもある。


令和4年3月20日(日)

2022年03月20日分類:安保, 社会

総理のにやけ顔も外相のあくびもくくりへの病的撞着の証し

ウクライナへのロシア侵攻などの危機が発生している中、欧州各国は、豹変した。ロシアからの石油・天然ガス輸入の削減、軍事費の大幅増加などのように、激変した姿勢を見せている。日本のメディアは、全くと言っていいほどむししているのだが、もう一つ大きな事項がある。それが「脱炭素」の棚上げである。あれほど騒いでいたEUであるが、電気が不足しそうだとなったら、たちまち現実主義に即して政策を変えてしまった。石炭発電も原発も容認する姿勢に変えたのである。

いわば国家そして指導者が、欧州では豹変しているのである。それに対して、日本は未だに全く変わっていない。いまでも脱炭素批判しようものならメディアを中心に袋だたきにあうのが現実であろう。これは一体どういうことなのであろうか?

それにしても、なぜ日本の政治指導者達は、かくも鈍いのであろうか?ここにも気質特にくくりへの撞着が関わっている。ウクライナ危機が遠い異国の地のできごとであっても、エネルギー危機などは、日本が真っ先に影響を受けるくになのだから、危機意識はむしろ欧州よりも強くて当然なのだが、そうはなっていない。

この危機意識の希薄さ、緊張感のなさがよく出ていたのが、ウクライナのゼレンスキー大統領の日本の国会での演説時である。始まる前、岸田総理と林外務大臣は最前列で隣あわせで座った。演説が始まるまで、二人はリラックスしてにこやかに談笑していた。と言えば聞こえは良いが、だらしない態度とにやついた会話の様子がうかがいしれて、戦争している国の大統領がこれから日本に向けて話をする直前だという緊張感などみじんも感じられなかった。おまけに、林外相は、演説中にマスクをしていてもわかるようなあくびをして、ネットなど一部では騒ぎとなる失態を犯した。ようするに、二人とも緊張感もなく、自分たちがいる場面の現状認識も全くずれていたのである。

彼らは、典型的な集団農耕型気質の人間なのであろう。自分たちの小さなくくりの中で、お山の大将を気取り、くくり以外の外の事には全く注意をはらわないどころか、関心すらもたないのだ。くくりに病的に撞着していると言えよう。政界さらには自分たちの仲間だけの小さなくくりの中で生き、外の世界のことは、自分の利害得失でしか見ようとしない。典型的なくくりへの病的撞着の状態と言える。


前から気になっているのだが、岸田総理のあのにやけ顔どうにかならないのだろうか?人を馬鹿にしているのか、総理になって天下を取った気分の高揚がそうさせるのか、年がら年中にやついた顔でしゃべっているのが、殴りたくなるほど不快に感じてしまう。
人間の顔つきには、その人の本音が出てしまうことはよくあるが、出過ぎだろうと言いたくなる。これも、彼がいかに緊張感を持って総理大臣の任を行っていないかの、言葉を換えれば、自分の周辺だけのくくりの中に閉じこもって仕事をしているという証しにもなる。まさにくくりへの病的撞着である。これでは、何か通常と異なることがおきても、迅速な判断や行動など望むべくもないだろう。集団農耕型気質の人間が社会の実権を握ったときの恐ろしさを、具体的に目に見せてくれている。

令和4年3月24日(木)

 

2022年03月24日分類:オン草紙, 政治

「軍備は悪」を破壊したプーチン

 今回のロシアによるウクライナへの軍事侵略によって、お花畑と言われる日本でも、かなり現実的なものの見方が広まってきたようです。特に、核兵器を持った国が脅せば、アメリカでさえも手を出さないという冷徹な現実が暴露されたのは大きかったようです。それでも、いわゆる左翼系メディアや文化人・専門家さらに野党は、この現状を何とかしようと必死になって言論活動を行っているようです。

 しかしながら、平和主義も外交もへったくれもなく、軍事力で侵攻して領土を奪い取ろうとする、そんな国が存在しているのは紛れもない事実なのです。憲法改正も当然のことなのですが、より身近なところでは、これまでの「平和ぼけ洗脳」をぬけだして、具体的な行動を起こすときでしょう。その典型的な例が、軍備に関することです。


 アメリカは、ウクライナの要請を受けて、戦車をNATOの国から送る支援を開始しました。同時に、豪州でも輸送防護車を供与すると、要請からわずか一日で決定しました。一台約4600万円の防護車を数台届けるそうです。ヘルメット供与で先進諸国から失笑されたドイツも、最新の兵器を送り始めました。英米は対空ミサイルに加えて、最新兵器の供与も始めたそうです。

 さて、日本はどうでしょうか?世界中から半ばあきらめられ、馬鹿にされていますから、誰も武器の供与など要請しません。ここでも、戦後日本社会に蔓延した「軍備は悪だ」という誤った考え方がその元にあります。自国を守るための軍備すら満足に持たないのですから、他国に供与できる武器など無いのは当然ですが。

 この話、湾岸戦争時に金だけ出して人を出さなかった為に、世界中からいわれのない批判を受けた時と、似ていないでしょうか。

 大型の武器は操作の訓練をしなくては扱えませんので、やむを得ないところがありますが、ドローンや携帯用武器は、簡単に使用できます。実際、対戦車ミサイル、対空ミサイル、無人ドローンなどがロシアの劣勢に関与しています。こういう武器でも供与できるものを何も持たない日本は、翻って、北海道が侵略されたとき、戦うだけの十分な武器を持っていないという事でもあります。

 もういい加減で「軍備、兵器は悪」という誤った考え方を捨てるときです。これは、包丁は危険だと言っているのと同じなのです。武器そのものに善悪は原則としてありません。すべては使われ方次第なのです。ロシアもウクライナも、簡易なドローンを使用しています。片方は侵略のために、片方は防衛のために使っている違いしかありません。
 わきみちにそれますが、この自爆型ドローンを「カミカゼドローン」と呼ぶそうです。でも、日本からの提供ではありません。


 これから国際社会のあり方が大きく変化して、残念ながら小さな武力衝突が多発するようになるかもしれません。その時、日本はこれまで通り、武器を供与しない、出来ないままで済むのでしょうか?国際社会で孤立しないのでしょうか?

 武器輸出原則などの制限を取り払うとともに、防衛のための武器を提供できる体制(製造、運搬等)を構築すべき時だと思います。さもなければ、事が起きたとき日本に必要な武器を供与してくれる国は現れないかもしれません。

 政治家は、こういう現実的で緊急の課題を、もっと真剣に討議してもらいたいものです。被害を被るのは、我々国民なのですから。

令和4年4月2日(土)

 

2022年04月02日分類:安保, 政治

防空壕で助かったウクライナの事実をなぜ言わないのか

 連日ウクライナの惨状がトップニュースで報道されている。まるで世界中がこの話題一色のような騒ぎ方である。だが、お隣の国ではウクライナのゼレンスキー大統領の国会演説に50人程度しか参加せず、国民の関心もほとんど無かったようである。アジアでは、日本のように大騒ぎしている国が珍しいという国際社会の現実も、報道されるべきであろう。日本の報道は常に偏っているので、国民は正しく世界情勢を認識できていない。おっと、今回は、この話ではない。

 ウクライナ報道でロシア軍が撤退した都市に出向いて、住民などの話を聞く報道も増えてきた。ロシアの残虐性や非人道性を伝えるのは良いのだが、インタビューに答えてくれる彼ら彼女らが、なぜ助かったのか、なぜ生き延びられたのか、この事実をきちんと伝えるニュースや現地記者の話は、あまり聞かない。いやほとんど聞いたことがない。

 皆、口々に地下に隠れていたと証言しているのだが、なぜこんなに地下室や地下壕が有るのか、不思議に思わないのだろうか。ウクライナはかってソ連の一部であったから、その頃から、戦争や核シェルターの準備を持っていたのである。個人の住宅ならワインの為ではなく、住民が避難する為の地下室があり、公共交通機関などでは、地下鉄のホームなどが防空壕の役割をはたしているのだ。

 翻って日本はどうだろうか?日本にも核シェルターを販売している会社はあるが、売れても年に1-2件程度とか。今の日本で、ウクライナのようにミサイル攻撃や爆撃を受けたら、日本人は一体どこに逃げ込むのだろうか?東京大空襲では一日で10万人もの犠牲者が出た。いまなら、もっと悲惨なことになるだろう。

 今の日本人はとにかく実際に事故や災害が起きないと対策を考えようともしない。ましてや、平和原理主義に毒されているのだから、戦争への備えなど全くないし、議論することすら許さない。自分の頭の上にミサイルが落ちてこない限り、何も考えないのであろう。戦争に備えることに反対する人達は、何かあれば自分だけは海外に逃げれば良いと甘く考えているのだろうが、そんな甘いものではない。


 せめて、これからの公共施設やインフラは、各種の自然災害とともに、最低限で良いので戦争への備えもしておくべきであろう。それが政治家や社会の指導者の最低限の責任である。

令和4年4月15日(金)

 

2022年04月15日分類:安保, 政治

ヤマトタケル 夢幻の道 第二版

 

ヤマトタケル 夢幻の道」第二版を出しました。

 

 この本は和歌を中心に随筆を加えた、新しいスタイルの和歌随筆とでも呼ぶ作品です。


 日本には古代から多くの英雄が生まれてきました。英雄の多くは、同時に悲劇の主人公でもあります。ヤマトタケルは、まさにその代表的な人物の一人でしょう。東征物語を中心にして彼の生涯を追いながら、彼の気持ちになり、新しく77首の歌を詠んでみました。「代詠ヤマトタケル」と呼べるでしょうか。

 皆さんもヤマトタケルの気持ちになって、一緒に歌を詠んでみませんか。

   詔勅 命奪いし 兄なれど 恨みも絆も なきぞ悲しき
  波無くも かすかに寄せる 磯の香の 入り江の近き 人のざわめき
  寂寥の 影すら紅き 山裾に 聲とてなけり 秋の夕暮れ

 天皇の皇子という高貴な身分に生まれながら、父親に疎まれ過酷で危険な任務を命ぜられます。それでも周囲の人々、とりわけ多くの女性たちに助けられながら、精一杯に生きて行きます。しかし最後は、悲しい非業の死が待っていました。死んだのちもこの世への未練なのか、それとも愛する人たちへの最後の別れを告げるためなのか、白鳥となって大空に飛び立っていきます。そんな彼の苦難と感動の旅路を、共に巡ってみませんか。

 ヤマトタケルに代わって彼の心情を詠んだ歌が、どれほど皆さんの感性に訴えかけられるかはわかりません。それでも皆さんの心の奥底に眠っている感性を、少しでも呼び覚ませればと思います。なお、ヤマトタケルが詠んだとされる歌を取り上げて解説することは、ほとんどしていません。それは専門家にお任せします。あくまでも創作和歌が主体です。

令和4年4月21日(木)

 

2022年04月21日分類:オン草紙

観光船事故と無人機開発

 ドローンがはじめに作られてからかなりの年月が経ちます。当初の研究段階では日本もそれなりであったのですが、今では軍事はもとより民生用つまり一般の産業としても世界から取り残されてしまいました。この理由を今またここで述べることは、主題ではないのでやめておきますが、軍事用をひたすら否定する歪んだ社会が大きな原因である事は間違いがありません。

 さて本題に入りましょう。今日午後北海道の知床半島付近で、観光船の事故がありました。乗客24名と乗員2名が乗った小型の遊覧観光船が、救助を求めて連絡をしてきた後、行方不明となりました。

ニュースから今までの経緯だけ拾ってみます。

 船が浸水しているとの救助連絡が、午後1時10分過ぎに入りました。
 海上保安庁が航空機2機と巡視艇5隻を現場に向かわせました。
 その後に、船が30度傾いているとの連絡があり、それ以降連絡が取れなくなりました。
 午後4時半にヘリコプターが現場海域に到着しました。
 午後6時半現在、観光船も乗客らも見つかっていません。


 疑問に思うのは、現場到着がなぜこんなに遅いのかという事です。もちろん船舶ではしかたがないでしょう。特に波が3m、風邪が15mと海も荒れているからです。
 それにしても航空機の到着にこれほど時間がかかるのはなぜなのでしょうか?ひとつは、知床半島の近くに海保の飛行場がなかったということでしょうか。それとも自衛隊機のスクランブルのような体制が、海保には無いということでしょうか。

 海保や関係者を責めているのではありません。技術軽視や産業力の劣化が、社会の安全すら保てなくなっているのではと危惧しているのです。

 提案はたったひとつです。ドローンと呼ばれる無人機で、超高速で現場まで飛行し、そこでは低速で低高度の飛行が可能な機体を開発すべきだという事です。まはや、ドローンの世界で軍事も民生も、区別などないのです。

 知床半島の陸地近くを遊覧する観光船の自己で、現場に3時間以上もたどり着けないというのは明らかに異常です。災害救助用としても、威力を発揮できるようなドローン(無人航空機)を今すぐ開発して自己などに備えるべきです。


 蛇足ですが、ドローンという言葉について補足しておきます。一般にドローンというとあの小さなヘリのようなものを想像しますが、軍事の世界においては全く違います。軍事の世界では、要するに無人機のことをすべてドローンと呼称しています。それには、航空機だけでなく、海上の船舶、海中の潜水艇まですべてドローンなのです。要するに無人で動くもの全体です。ですが、中身は、人間が操作するものから、自立型のロボットのような無人機まで有るわけですから、話がややこしいのです。そのことだけ理解しておいてください。

一刻も早い、乗客乗員の救助を願って、とりあえず筆を置きます。

令和4年4月23日(土) 午後6時54分

 

2022年04月23日分類:安保, 社会

ウクライナお前もか! 感謝されない日本

 ウクライナ外務省が、これまで支援を受けた国、31カ国を紹介する動画の中に、日本が含まれていないことがわかった。

 少し前には、公式アカウントでヒットラー、ムッソリーニと並んで昭和天皇を出した動画が問題になり、ウクライナが謝罪をした。まさかその意趣返しでもあるまいが。
それにしても、日本の国際援助は、金額がいくら多くても、相手に感謝されないことが多い。


 湾岸戦争では、自衛隊を出さずに代わりに13兆円もの血税をだしたのに、感謝する国から露骨に外された。このクエートもひどい国だが、ウクライナまで同じなのだろうか?

 単なるミスかもしれないが、彼らの意識の中に日本が無いのだけは確かであろう。インドには自衛隊機の立ち寄りを拒否されるし、世界における日本のあまりにもひどい立場に、日本人はもっと敏感になるべきだろう。

 ミャンマーだってこれまで何千億もの多額の援助をしてきたのに、日本企業を乗っ取るし、ロシアに接近して武器を買うし、軍も国民も日本へのこれまでの感謝など全く感じていないように見える。なにせ日本が多額の援助で作った地域を、ミャンマー軍が空爆して破壊してるのだから。アフガニスタンも同様。他のアジアの国々も似たようなものである。

 その国の国民の為とか将来のためとか、きれい事の支援をいくらしても、まるで感謝されない。汚い金で有ろうと目に見える橋や鉄道の方が、みんな喜ぶのである。たとえそれが一部の権力者のためであってさえも。これは、国民性の違いも大きいと知るべきである。日本人の国民性を他国の民族に当てはめても、むだな場合が多いのだ。


 もういい加減で、なぜここまで日本の国際的地位が低いのか、馬鹿にされるのか、政治家も、外務省をはじめとする官僚も、そして何より日本国民が、真剣に受け止めて考えるべき時であろう。

 借金大国が、感謝もされない莫大な金額の海外への支援は、考えるべき時に来ているのだろう。むろん、ウクライナへの支持や支援を止めろと言うのでないことは、言うまでもないが。

令和4年4月26日(火)

 

2022年04月26日分類:安保, 政治

ドローンを軽視した自衛隊はロシアと同じ

 かなり厳しい表題ですが、これも強い危機感の現れと許していただきます。何より、自分が自衛隊シンパとも言えるからこそ、少しでも良くなって欲しいと心から願っているのです。

 今の自衛隊が置かれた状況の問題点は、憲法9条の問題にまで広がってしまうので、今回立ち入りません。ただ、今の制限された状況下においても、まだ改善すべき点はあるのではないか、そのひとつがまさにこの問題だと思うのです。

 ウクライナへのロシアの軍事侵攻において、西側先進国の予想以上にウクライナ軍が善戦していることが、当たり前のように報道されています。予想が外れたという意味では、世界の専門家の予想など、この程度のものだと我々に教えてくれました。また、戦況が複雑になるに従い、さすがのテレビのコメンテーターも、防衛省関係者の軍事の専門家が解説をするようになりました。これらは、平和ぼけ日本の現状にわずかでも風穴を開けたと言えるでしょう。


 このウクライナの初期の善戦には、ドローンが主要な役割を果たしていることも、知られるようになりました。そんな中で、ドローンの大活躍を苦々しく思っているのはプーチンだけではない、自衛隊もそうなのだとの専門家の記事がありました。自衛隊は、これまでドローンを軽視し続けてきたというのです。この意見に、私もまた大賛成なのです。

 まだ日本でもドローンが開発され始めたばかりの頃、(逆に中国はまだまだの時です)ドローンに対する自衛隊の対応に首をかしげていました。あまりにお粗末で、いい加減に見えたからです。それでも、軍事機密もあり、内部的にはきちんとやっているのだろうと思ったのですが、残念ながらそうではありませんでした。

 その後、2018年(平成30年)8月にドローンに関するブログを書いたのが、まだHPに残っています。室蘭工業大学で国産の超音速ドローン「オオワシ2号」を開発しており、2020年には初飛行が実現するという記事に関するものです。

 いったん脇にそれますが、一般にはドローンというと、あの模型のようなプロペラをいくつもつけた無人機を思い浮かべます。しかし軍事の分野では、すべての無人機の総称がドローンなのです。オオワシ2号も、特殊なエンジンを備えマッハ2で飛ぶ無人機のことでした。

 いずれにせよ、無人機の開発を自衛隊も積極的にやっていると期待していた私は、ここでも自衛隊での採用などの進展を期待していたのです。ですが、オオワシ2号は、未だに開発中のようです。


 実際今自衛隊が保有するドローンは、秋葉原で売っている民生品とフランスなど外国製のものばかりです。アメリカの無人攻撃機などは、金額的なものもあるのか、アメリカが出し渋るのか、自衛隊が軽視しているのか、本格的な実戦配備などしていないようです。


 こういう自衛隊の現状を見てたとき、ドローンという兵器だけの問題ではないことにすぐ気がつきます。今の自衛隊が抱える根本的な問題があるのです。

 指摘したい点はいくつもありますが、ひとつはドローンのような新しい技術への考え方、捉え方に問題があるようです。それは専門バカと呼べるような、専門家と呼ばれる人が陥りやすい罠です。自分たちはプロであり、よくわかっているのだから素人が口出しするなという態度です。自衛隊に限らず、企業や組織の技術者も同じ態度の人が多く見られます。これが、今の日本の劣化にもつながっているわけですが。

 新しい技術などが生まれたとき、なまじ関連する技術者や専門家は、それを馬鹿にして否定的にに見る事が多いのです。私自身が技術畑にいたこともあるので、いやというほど経験してきました。かれらは、新しい技術の持つ可能性や生まれる新しい世界を想像することが出来ないのです。

 ドローンへの自衛隊の態度はまさにこれです。オモチャで兵器になどならないとか、力不足で使い物にならないとか、否定的な見方ばかりで、今回のウクライナ軍の活用方法などは、おそらく気がついていなかったのでしょう。機能は理解していたのでしょうが、どう利用すれば戦力になるかがわからなかったのです。

 高い戦車が携帯ミサイルにやられたり、ドローンとミサイルなどの組み合わせで仕留められたり、ロシアもまた過去の高機能兵器ばかりに目がいったのでしょう。ロシアのドローンを分解したら、エンジンは日本のラジコン用、カメラはキャノンの民生品で安く作られていたそうです。安く、大量に作るまで出来ていたなら、後は活用法だったわけですが、これができていなかったわけです。

 他にも自衛隊の官僚化、体力重視の昔ながらの人材採用、人間軽視など多くの課題があります。この際、ドローンだけでなく、サイバーでも宇宙でも、新しい分野で口先だけではなく、より実践的な対応が望まれます。今の危機から見て、もう時間がないのですから。

令和4年4月28日(木)

2022年04月28日分類:安保, 政治

ウクライナ戦後の国際社会で日本は無視されピエロに

すでに始まったウクライナ戦後の国際社会

 ロシアのウクライナ軍事侵攻は、長期戦になると言われるようになった。その理由のひとつは、ウクライナの防衛から一歩進んでロシアの弱体化をアメリカが決断したからである。ウクライナへの軍事侵攻が始まった当初、米英はゼレンスキー大統領にウクライナからの脱出を勧めたが、彼はそれを拒否した。つまりはじめはウクライナが簡単に負けると踏んでいたわけである。だからこそ、支援のための兵器も簡易なものに限定されていた。

 それがウクライナ軍の強固な抵抗とウクライナ国民の国を守る強い意志に加えて、ロシア側の稚拙な軍事行動などもあり、事態は欧米の予想を裏切ることになる。首都キーウは陥落どころか、包囲網を押し返してしまった。東部などでもウクライナの激しい抵抗があり、ロシア軍の進撃は快進撃とはほど遠いものになった。この状況を見て、米英は方針を転換したのである。

 軍事侵攻から2ヶ月、アメリカはNATO(北大西洋条約機構)を中心とした、ウクライナへの軍事支援の国際会議を開催した。これは、この侵略がもはやウクライナとロシアの間だけではなく、アメリカを中心とした欧米諸国とロシアとの戦いになったのである。この時からすでにウクライナの戦後の国際社会が動き出したのである。

ウクライナに相手にされていない日本

 ウクライナは日本の国会で演説をしたり、駐日大使も日本に気遣いを見せている。しかし、小さな行き違いがいくつもみられた。米国の演説で真珠湾攻撃を持ち出して、日本のネットでは不況を買った。さらに公式のビデオであろうことか、ヒットラーと昭和天皇の写真を並べて出した。日本国内の反発を受けて、謝罪したが、公式ではないなどと明感嘘をついて返って反感を買ってしまった。さらに、懲りずに、支援してくれた国々への感謝のビデオでは31カ国も取り上げながらそこに日本の名前はなかった。さすがに政府からも正式に問われて慌てて修正ビデオを作成した。

 日本人がウクライナのことをほとんど知らないのと同じで、ウクライナの多くの国民が日本の事など知らないのも無理はないのである。しかしG7に歩調を合わせて珍しく日本が積極的なウクライナ支援とロシア批判を行っているにしては、ウクライナ側の正式な対応は明らかに、日本を軽視していると言えよう。だが、それはある意味で当然でもあるのだ。

日本の常識は世界の非常識から抜けられない日本

 ウクライナが日本に感謝していないのは、単純なミスではなく、明らかに日本に感謝の念など抱いていないのである。それが当然だというのは、こういうことなのだ。

 今、刃物で襲われた人が逃げ込んで来て、何か武器になるものを貸してくださいといった。そのとき家の人間が、うちの家訓は、他人に危ないものを貸さないことにしているのであしからず。そう言って無視したら、相手はどう思うだろうか。
そもそも、こんな対応をまともだとは誰も思うまい。だが、今の日本外交というか日本の国際社会における振る舞いは、まさにこれなのである。

 ウクライナはとにかく武器や兵器をくれと言っているのであり、それにたいして平和憲法だの、法律だのといって、拒否するのは、ロシアを非難せずウクライナ支援もしない国と何ら変わらないのである。ウクライナ支援というだけ、むしろ悪感情を持ってしまう。二枚舌だと。

 日本国内の親ロシア派や、独りよがりな両者悪人論をまくし立てる日本人のなんと多いことか。これまたウクライナ支援を表明する国々からすれば、眉をひそめるものである。この国は一体何なんだ?と。この種の日本人が以下に愚かで、歪んでいるか、これも例えればよくわかる。
 今殺人者が、人を殺そうとしているのに、止めようともせず、殺人者にも一部の理はあるのだと言って傍観している人間がいたら、その人間はまともだろうか?殺人者に理由や動機があったとしても、今やることは目の前の殺人を止めること、つまり被害者を助けることであろう。
 ロシアにもそれなりの理屈があり、全体を理解するのは大切なことではあっても、それはこの侵略を止めてからのはなしである。

日独の違い

 ドイツもウクライナと同じヨーロッパに属していながら、はじめは日本と似たような対応をおこなった。そのために、多くの国から失笑を買った。だが、日本と違ったのは、首相がいわゆる左翼系の政党でウクライナへの武器供与に反対であったが、連立を組む他党、それも日本で言うリベラル過激政党の緑の党から、批判されたのである。他の保守系政党ももちろんだが、国民の多くが、むしろ積極的な支援を要求したのだった。

 日本では、リベラル・左翼系政党だけでなく、政権与党の自民公明の政治家の多くも、大手メディアや学者・文化人なども、いわば支援消極で固まっていた。それに反対したのは、ネット系や保守系の一部だけで、国民の大多数も傍観者のままであった。

 この違いが国民性と戦後の思想洗脳の結果である事を、ここでもう一度述べることはしない。ただ、世界の潮流も必要な法律改正も含めて、現実に十何位対応することが出来ない国をまともだとだれが考えるだろうか。くりかえすが、はじめからロシア擁護や無関心のくにであrてば、まだましである。だが声だけは大声で、ウクライナ支援だと叫びながら、何もしない。


新しい国際政治の世界でピエロになる日本

 侵略が行われてから2ヶ月も経って、アメリカがNATOを中心としたウクライナ軍事支援の国際会議を開催した。欧米中心に40カ国が参加した。日本も呼ばれて形だけ参加している。
 ここでドイツが、いの一番に、対空戦車50両の供与を打ち出した。軍事予算もGDP2%を超える予算を直ちに組んだ。なぜ急にドイツがウクライナへの積極支援に舵を切ったのか、いくつかの理由があるのだろう。

 そのひとつが、ウクライナ戦争の長期化と、すでに変わり始めた世界情勢への対応、言い換えるならば、ウクライナ後の世界におけるドイツの立場を確保することにある。米英が主導権を握る今回の事態に対して、フランスは何度もプーチンと会談をするなど独自の立場を確保することに努めてきた。ドイツもまた新しい世界秩序の中でアングロサクソンに覇権をとられまいとしているのである。

 ウクライナ軍事支援国会議というのに、兵器を全く供給しない日本は、湾岸戦争の時と同じ過ちをすでに繰り返している。金だけ出して、全く感謝されていない事に気がつかないのか、これまでのやり方で問題が無いと思っているのか、いずれにせよ。世界からおかしな、まともではない国としてみられているのである。

 ウクライナ侵攻後の戦後世界は、様々な勢力が複雑に対立する世界になるだろう。単純な東西冷戦でも、民主主義対覇権主義でもなく、実に多くの利害関係や国家関係による対立過多の世界になるだろう。その時日本は、その現状認識すら出来ない国として、世界中の国々からみられることになる。ピエロと。


貧乏になった日本は相手にする価値もない

 すでに日本は経済的に劣化が激しく、国力も非常に低下している。様々な指標が50年前のレベルに戻ってしまった。にもかかわらず、利己主義に凝り固まった今の指導者層達は、ゆでガエル状態を享受している。

 見かけ上、世界3位のGDP国と言うことで、金を出させればいいやというのが大方の国の日本への見方である。だが、それもすでに風前の灯である。金も出せなくなったピエロの国、そんな国を誰が相手にするだろうか。

 周辺の覇権主義の国は日本侵略をより強めるであろうし、アメリカも自国の役に立たないとなれば、平気で日本をみすてるであろう。

 すでにウクライナ戦後の世界は始まっている。ピエロは仮面の下で涙を流しているというが、私もまた日本人の一人として涙が流れてくる。
 
令和4年5月1日(日)

2022年05月01日分類:安保, 政治, 社会

キャリアって何さ


 女性のキャリア志向が高まっている。新しい家庭のあり方が広がっている。1割程度しかないアンケート結果をとりあげて、ひたすら過大に喧伝するメディアが多い。テレビなどのメディアはとにかく大げさにあおって火のないとこでも煙を出させることが、自分たちの利益にかなうと思っているのだろう。

 それはさておき、彼女らが口にする「キャリアを積みたいから」って、そもそもどういう意味なのだろう。企業に勤めて、出世して、あわよくば社長にまで昇りつめるということなのだろうか?
 それとも、辞書にある「職業・技能上の経験。経歴」という素直な意味、あるいは小難しいキャリア定義をしている役所(厚労省、文科省)の定義に書かれたような意味?

 キャリア教育がすでに学校で行われているのであれば、本来なら、簡単かつ誰でもが同じ意味で使うはずなのだが。どんな教育をしているのでしょうかね?

 本来の職業上の技能的経験をいうので有れば、会社に入ることも、事務職になることも、およそ関係の無い話ですね。

 安くこき使える若年労働者、特に女性労働者を大量に確保するために仕掛けた社会(政財官)の罠に、あなたもはまっていませんか?だいたい、カタカナの言葉を持ち出した時点で、ごまかす気持ち有りと考えた方が良いのだろう。

 それにしても、キャリアを積むためには多様な職業で働く場がなくては話にならない。いまの日本は、職業に差別を持ち込みすぎていないだろうか?

令和4年5月2日(月)

 

2022年05月02日分類:社会, 経済

死体のモザイク加工は本当に正しいのか?

 ロシアのウクライナへの軍事侵攻では、民間人への虐殺が生々しい形で映像公開されている。当然むごい殺されかたをした死体が映っているので、日本ではモザイク処理が成されている。今の日本では、死体をテレビなどの画面に出すことは絶対禁止という、強い制約が浸透しきっている。当然、海外の報道においてはそのような約束事はなく、むしろ事実をありのままに伝えている。

 ウクライナへの軍事支援の内容が大きく変化した理由の一つが、この民間人虐殺の映像に欧米がショックを受けたからである事は言うまでもない。ロシア軍が撤退した後、道路のあちらこちらに、たくさんの民間人の死体が転がっている。さらには、軍人ではない民間人が後ろ手に縛られたまま、頭を打ち抜かれて、路上に放置されている。このような衝撃的な画面を見せられて憤りを感じない人はいないであろう。感情的にも、ウクライナへの軍事支援をすべきとなる。
 実際ドイツでは、日本でのリベラルといわれる環境重視の緑の党が、より強力な兵器の軍事支援をうちだして、首相を糾弾した。それに多くのドイツ国民も賛成した。結果、わずか数日で、180度の政策転換が行われたのである。

 さて、日本では、死体が道路に転がっている場面も死体全体をぼかしてしまい、どうなっているのかよくわからない。いわれるから、あれがそうなのかと頭で理解するだけである。映像の持つ強烈な印象というものはまるで存在しない。戦争に依らず、あらゆる場面で、死体の映像はすべてマスキングされており、そこに何があるのかすらわからない画面になっている。もちろん、災害や事故での被害者をすべて映せなどというのではない。しかし今回のように、たったひとつの画面を映しだすことで、すべて了解できる様なものまで、すべて隠してしまうことは、果たして本当に正しいことなのだろうか。


 残虐な殺され方をした人の全体を映せというのではない。だがせめて、後ろ手に縛られた人の姿が路上に放置されていることがわかる程度の加工にしておけば、受け取る側の印象は全く違うものになる。はっきりいえば、ロシア擁護論などほとんど消えてしまうはずである。個人の尊厳のために、その人の顔は出さなくても、充分に伝わる編集はいくらでもできるはずなのだ。安直にすべてぼかすだけという、いまの日本のメディアの姿勢は、結局くさいものには蓋をするという感覚とどこかでつながってはいないだろうか。



 死んだ人への敬意は最大限尊重されるのが、日本社会で有り日本人の美徳でもある。それを変える必要などもちろんないと思う。しかし、今の日本はあまりにも人の死を日常から遠ざけてしまった為に、逆に人の命の大切さもわからなくなっているところがある。今一度人間の死にきちんと対峙する事を、日本人は学びなおす時が来ているように思うのだが。

 蛇足であるが、子供が見るとかなんとかいうのは、全く別の次元の話で有り、混同すべきではない。それは別にきちんと対応すればよいことなのだから。

 


令和4年5月4日(水)

 

2022年05月04日分類:安保, 社会

41年間の無為無策

 また子供の数が減少した。これでなんと41年連続の減少である。少子化とかいいながら、政治家も官僚も、世の指導者達も、少子化など気にしていなかったという事なのだろう。財界は、口では少子化は消費が減るからよくないとかいいながら、その実、少子化をさらに進めるような政策ばかり国に押しつけてきた。そして、今も海外から移民を入れれば良いなどと言う馬鹿げた事を本気で進めようとしている。

 弊著ですでに取り上げてきているが、先進諸国で移民を入れて少子化が抑えられた国はないのだ。外国からの移民だって、同じ人間である。暮らしている社会での生活に順応してしまえば、その国の国民と同じになる。さらに悪いことに、移民2世は生まれたときからその国にいるので、移民先の国民と同じだと思っている。ところが元の国民はそれを認めないで、安価な労働者として扱う。その結果、テロや犯罪の種が生み出されることになる。この現実、なぜメディアなどは伝えないのだろうか?ネットでは、それらの国に長いこと暮らしている日本人が、その現状を報告してくれているのに。

 少子化は何かひとつの策を実行しても成果は出ない。社会のあり方そのものを変えていかない限り、止めることは出来ない。このまま100年続けば、いわゆる今の先進国の国民は皆姿を消すことになる。国名は同じでも、民族の違う国民が暮らす国々。一体どんな国なのであろうか?

 この国の改革は待ったなしなのだが、まずは政治改革で腐った政治家を一掃しない限り、未来は暗い。

令和4年5月5日(木)

2022年05月05日分類:政治, 社会

ロシアへの経済制裁参加は33カ国だけの意味する事

 ロシアのウクライナ軍事侵攻では、欧米を中心とした西側諸国が国際的な経済制裁を行っている。珍しく日本も口先でなくてG7に歩調を合わせているために、ロシアからは報復の処置が成されている。外交官の追放やロシア入国禁止など、やられたことがないものもある。
 日本のメディアの報道だけを見ていると、世界中がロシアに制裁を行っているようにみえる。しかし、実態は大きく異なる。世界中で経済制裁に曲がりなりにも参加しているのは、わずかに33カ国にすぎない。世界には約200の国や地域*があるのだから、全体の17%にすぎないのだ。
  (*)世界にいくつの国があるのか、正確にはわからない。国として認める認めないとか、色々と事情がある。国連加盟が193カ国、日本が国と承認しているのが196カ国である。

 これが何を意味しているのか、単純にロシアへの経済制裁が効くとか効かないと言うこと以外に、もっと深く考える必要がある。そのいくつかを述べて見たい。
①すぐに水に流す日本人は、核兵器を落として大量殺戮を行った敵国のアメリカと兵器で仲良くしている。だが、他国の民族は日本人のような気質とは明らかに違う。植民地細策を行ってきた欧米に対する、旧植民地国や世界の見る目はそれほど単純ではない。
 世界の民族の心の奥底には、様々な人種差別感が存在している。白人側がいくら人種差別撤廃卯を叫んでも、差別されていた側の感情はそう簡単ではない。
②白人と非白人の対立だけではなく、他にも様々な対立軸がある。33カ国の中でも、アングロサクソンの覇権とそれに対抗したい独仏など非アングロサクソンの関係も微妙なのである。
③経済的に恵まれた先進国と、いつまでも発展途上国のままの多くの国々がある。BRICSと呼ばれる新興の大国候補国は、今回すべてロシアよりである。
④資源を持つ国々とそうでない国々の関係はさらに複雑になる。
⑤さらに民族間の争いと宗教やイデオロギー、政治形態の違いによる対立もある。
 実に様々な二項対立の軸が有り、世界の国々の関係は日本人が思うような簡単なものではない。複雑怪奇で自国の利益が最優先という前提で、国際関係はなりたっているのである。
 この複雑な関係が今後より大きな摩擦や衝突を生みかねない、そのきっかけを作ったのが今回のロシアのウクライナ軍事侵略なのである。混乱したしゃかいでは、より強いリーダーを求めるのが普通で有り、さらに多くの独裁者や覇権主義者が出現してくるであろう。
 民主主義に走り出した国々で、軍部や独裁政権が生まれているのも、そのひとつの現れである。

 のんきで単純な日本人は、次に侵略されるか、あるいは世界から相手にされなくなるか、瀬戸際にいる。政治改革をするには、まず国民自身がその意識を変えなくてはならない。

 経済制裁参加国がなぜ17%の国なのか、もっと掘り下げて考えるべきなのだ。

令和4年5月7日(土)

2022年05月07日分類:安保, 政治

ロシアの戦争犯罪と共産党の恐怖政治は同根

 ロシアがウクライナにおいて、戦争犯罪と呼ばれる行為を行っている。欧米など西側先進国は厳しくひなんしているのだが、それは境の大勢では必ずしもない。
 暴力、拷問、殺害などの恐怖政治による統治のやり方は、ロシアに依らず共産主義/社会主義そして独裁政治における常套手段でもある。この残虐な恐怖政治による統治と戦争時における敵国民の恐怖をあおる行為とはおなじ発想なのである。
 それでも、これらの国々はなぜこのような手段に訴えて平気でいられるのか。それはやはり民族の気質に依るものだと言わざるを得まい。

 自由や民主主義が当たり前にならない多くの国々においては、国民も支配されることに慣れている面がある。統治する側もされる側も、力の信奉者なのである。力こそが価値を持ち判断の基準となる、そういう気質を持っているのだろう。それが世界の大多数であることが、やりきれないのだが。ロシアへの経済制裁に加わっているのは、わずかに33カ国にすぎない。世界には200の国や地域があるのだから、いかに少ないかわかるだろう。

 インドには申し訳ないが、アジアにおける自由と民主主義の価値観を共有する国としてよくいわれるのだが、ロシアよりを鮮明にしているだけではなく、この機に乗じて、ロシアから安価な石油を8倍も購入しているという。こういう振る舞いが、真に我々の価値観と同じなのであろうか?自国の利益だけが優先されて、人類の普遍的な振る舞いに価値を置いているとは思えないのだが。少なくとも日本人にはあわない感性である。こういう考え方自体も、日本独特であり、この部分は、33カ国とも相容れない考え方なのだと思う。間違いなく民族気質に根ざすものだろう。

 とすると、結局はアングロサクソンを中心とした白人同士だから助け合うが、アジアやアフリカでは同じ事が起きても、知らん顔なのだという、世界の冷めた目は、ある意味で正しいのだろう。人類全体にとって共通の普遍的な価値は、その根底に、同じ気質や感性を持たない限り、存在し得ないのであろうか?


令和4年5月21日(土)

2022年05月21日分類:文化, 社会

グローバリズムがプーチンを生んだ

 ロシアのウクライナ侵略は、このところウクライナがじりじりと追い込まれてきており、今後どうなるのか予断を許しません。軍事だけではなく、独裁者プーチンのしたたかな外交戦略などに、欧米はかなり手を焼いているのが現実のようです。

 このウクライナ侵略は、世界の人々に様々な教訓を残しています。そのなかで、メディアなどおよそ誰もはっきりと言わないことがあります。それはこの傲慢な独裁者を生み出したのは、実は経済制裁をしている欧米諸国が世界に広めたグローバリズムによるものだという点です。

 プーチンが高い支持率を持っているのは、言論統制が行き届いているからだけではありません。大多数の国民が、プーチン政治にそれなりに満足しているからです。旧ソ連崩壊による最低の生活から、現在の日常品があふれた豊かな生活を出来る社会に変わってきたのです。曲がりなりの生活の豊かさを与えてくれる為政者は、少しくらい独裁者であってもかまわないのです。自由を制約されても、大多数の国民にとってはそれほど大きな事ではないのです。

 そしてこのロシアの復活を生み出したのは、プーチンの政治手腕の素晴らしさと言うよりは、東西冷戦が終結した結果生まれた世界の流れだったのです。それが世界で自由な経済活動を行い、より安いものを集めてくるグローバリズムだったのです。これは冷戦に勝った西側が繰り出した、アメリカ流経済主義でもあったわけです。

 このグローバリズムの流れに乗って富を蓄えたのが、産油国です。企業ならば、価格カルテルなどの談合は厳しく処罰されるのに、産油国が集まって価格カルテルを結んで価格をつり上げても、世界はそれを追認しています。欧米の資源メジャーの利益のために、欧米諸国も認めてしまったわけです。本来石油輸出国機構(OPEC)に加盟していないロシアも歩調を合わせることで、石油やガスの価格を高く維持して儲けたわけです。

 その石油とガスを大量に購入したのが、欧州各国です。ですから、経済制裁もまた腰砕けのものになっているわけです。ロシアの繁栄は、石油と天然ガスだけでは有りません。最近、世界の食糧難が叫ばれていますが、小麦をロシアとウクライナに頼る仕組みを作ったのもまたグローバリズムです。より安いところから買えば良いというグローバリズムの問題点を誰も考えなかったのです。飼料の原料などロシアに頼るものが世界的に価格高騰して、喜んでいるのはプーチンです。
 プーチンもソ連崩壊時の貧しいロシアのままであったならば、ここまでの軍事行動もおこせなかったことでしょう。国力がたくわえられたからこそ、軍事力も増し侵略も可能になったのです。プーチンこそグローバリズムの恩恵を受けた独裁者だったのです。


 コロナのパンデミックで、世界的なサプライチェーンが機能しなくなって、はじめてグローバリズム一辺倒の愚かさに世界は気がついたわけです。しかし、未だに日本ではこの誤りに気がつかず、中国依存に傾斜する経営者や政治家が後を絶ちません。愚かさが身を滅ぼす典型と言えるでしょう。


 プーチンの脅しとやりかたをみて、世界中の独裁色が強い国家や為政者が、同じ事をやり始めようとしています。北朝鮮は、特に自分たちの核戦略に自信を持ってしまいました。グローバリズムへの偏重は、日本経済をゆがめて国民を貧しくしただけではなく、軍事的な安全保障まで危うくすることに一役買ってしまったのです。この過ちは厳しく糾弾されるべきでしょう。グローバリズムの世界と自国の内需振興の二つの経済政策をうまく調和させることこそ、これから日本が生き残る唯一の道なのです。

令和4年5月28日(土)

2022年05月28日分類:安保, 政治, 経済

中国のウイグル族収容の警察ファイル流出は、ウクライナ侵攻同様に世界を変える

 中国のウイグル族への弾圧は、これまでも証拠となる様々な情報が流れていました。しかし、今回流出したとされる警察ファイルはその規模と内容からも、これまでとは比較にならないものです。いわば決定的な証拠と言えるものです。誰が入手したのか不明ですが、アメリカの研究者の手に渡りそこからBBCなどのメディアによって検証され、公開されました。

 世界中のジャーナリストが参加して、その内容を検証したのです。その量があまりにも膨大なだけではなく、言い逃れが出来ない画像も多く含まれており、検証した人達にショックを与えました。中国は、これまで同様にフェークだと言うことで言い逃れられると考えているようですが、私には、ロシアのウクライナ侵攻と同じくらいのインパクトがあると考えています。

 ロシア寄りの欧州各国が、ウクライナ侵略によってロシアへの見方を180度変えたように、欧米の多くの国々も未だに中国との友好第一と考えています。しかしながら、この一連の写真をみれば、考え方を改めざるを得ないでしょう。手足に鎖をつけられ、頭から黒い袋をかぶせられて、銃を持った中国人に連れ回されているのです。どんな証言よりも、強い印象を見る人に与えます。

 すべてが偽の写真だと言うにはあまりにも数が多すぎます。また実際に収容されている人の家族の証言も取れているために、フェークだという嘘も通用しません。ロシアの嘘が世界で全く信用されなくなったように、これから中国の嘘も世界で信用されなくなるでしょう。これが浸透したとき、世界の対中国の流れは確実に変わるでしょう。少なくとも欧米先進国の意識は。


 この国際政治の流れが変わる端緒になる出来事に対して、相変わらず日本の脳天気な反応には、ただただあきれるばかりです。劣化した日本人は、潮目が変わるとき、変わったときを正しく認識すら出来なくなっているのです。

 これまで通りの中国詣でを続けるならば、今度は日本が世界からつまはじきにされることになります。それほど大きな出来事なのです。中国という巨大なダムも小さな一つのひび割れから崩れ去る可能性すらあるのです。


 まだニュースを知らない人は『ウイグル族収容施設 “内部資料”流出 内容は? 中国は反発』(NHK)などを検索してみてください。これがニュースランキング上位に上がらない今の日本のことが、むしろ心配です。

令和4年5月28日(土)

 

2022年05月28日分類:安保, 政治

政治家と官僚の汚い逃げ だまされる国民が馬鹿なのか!


 岸田総理が掲げる「貯蓄から投資へ」の流れを促進するため、自民党が「一億総株主」の目標を掲げた提言を政府に申し入れました。またか、腐っているとしか言いようがないというのが率直な感想です。


 貯蓄から投資って、なぜなのさ?理由を全く説明しないではないか。そりゃそうだ。国民をまただますための政策なのだから、言いようがないわな。

 男女雇用機会均等法も、働き方の多様化で非正規と個人事業者の大幅増加をやったときも、同じように宣伝した。みな真の目的は、安い労働力を得るため、多くの国民に税金を払わせるため、それが真の目的であった。そして、見事にはまった愚かな国民は、世界でも類例を見ない劣化と貧しさを迎えてしまった。

 で、今度は何が目的なのだろう。いくつもあるのだろう。投資つまりはグローバリズム推進者の言うことを聞くため。つまりはこれで儲ける企業や一部の利得者のためである。もうひとつは、行き着くところまで行き着いた日本の劣化。どうしようもなくなったのは官僚や政治家もわかってる。これから先、近い将来まともな年金を払えなくなり、多くの貧しいシニアがあふれる。そのときに、悪いのは投資をしなかった国民なのだといいわけをする。年金を払えないいいわけにも使う。


 もういい加減で、日本の国民はクーデーターを起こすべきではないのかな?政治家や高級官僚は自分たちの金を一円も下げず、ひたすら国民から奪おうとする。こんな馬鹿なことを続けていると、いくら反共産主義の日本人でも、暴動を起こしかねない。そうなったとき、極端に走る日本人の恐ろしさはよくわかっているはず。右でも左でも、極端に走り出したら、日本は止まらなくなるだろう。その恐ろしさを今の政治家達は全く理解できていないのだ。

 投資の名目で貯蓄を崩させてまきあげる。一体どこの組のやり口なのだ。


令和4年5月30日(月)

 

2022年05月30日分類:政治, 社会

サイバー攻撃の被害企業に対するペナルティはどうか?

 日々のニュースでITシステムのトラブルやサイバー攻撃の話題が流れない比はありません。それほど日常化しているにもかかわらず、日本社会や日本人の関心はうすいようです。ここでも危機意識が希薄なのです。安全は向こうからやってくるものという意識は日本人の置かれた立場からやむを得ない部分もあります。

 日本において危機とは、戦国時代や外国からの侵略などを除けば、大抵が自然災害でした。自然災害は、人間の力ではどうにもならないのですから、被害を受けても仕方が無いと諦めるしかなかったわけです。しかもいつ来るか全くわからない、つまりは相手任せなわけです。こんな環境下で何万年も暮らしてきたのですから、日本人の安全意識が他国と違うのも仕方が無いのかもしれません。ですが、すでにグローバル化が叫ばれ、世界が狭くなってから半世紀以上がたつわけです。もういい加減で、安全は向こうから来てくれるのではなく、むしろ犯罪が向こうから来るのだと意識すべきです。

 特に組織や起業へのサイバー攻撃で情報が漏洩したり、金銭が盗まれたりと多大な被害が発生しています。にもかかわらず、未だに起業のサイバー攻撃への危機意識は低いままです。被害が出ても、社会からも指してたたかれないので、他の企業は他人事のままでいます。

 こうなると、被害に遭った企業にさらなるペナルティでも与えないと、日本企業の意識は変わらないのかもしれません。ペナルティを与えることで被害をさらに隠蔽するばかりだと言われるかもしれません。その通りですが、それでも、どうせ隠蔽する企業はペナルティがなくても隠蔽するのです。隠蔽したらさらにきついペナルテイを与えます。ここまでしないと、意識が変わらないのかもしれません。


 同時に、日本のIT技術力が非常に低いことを認識すべきです。こんなに甘い国は先進国ではあり得ません。政治家も口では色々言いますが、真に実効性のある対策を打っているとは到底思えません。

 インターネットはそもそも初期段階では研究者などが、性善説で利用し始めました。だからこそ、ここまで拡大でき他のも事実ですが、そろそろ限界に来ているのでしょう。全く新しい、性悪説に基づくネットワーク・インフラが出来てくるかもしれません。そのとき、日本だけ取り残されないようにすべきでしょう。

令和4年5月31日(火)

 

2022年05月31日分類:安保, 社会

個人と組織の意識の落差

 今の日本人の危機意識の希薄さは、もはや語るも恥ずかしいのだが、ロシアのウクライナ侵略はそれを少し変えてくれたようである。他人の不幸を喜ぶようでいやな物言いとなったが、許していただきたい。

 しかしすべての日本人が脳天気で危機ぼけ人間なわけではない。組織の中には、きちんとした考え方や意識を持った人がいる。それもかなり昔から。

 警察庁の初代サイバー捜査課長の記事があった。今年(2022年)4月にサイバー警察局が設けられ、サイバー空間での犯罪の捜査・検挙を各都道府県警と行う事になった。いまごろようやくサイバー犯罪ですか、と言いたくなるのだが。設立の動機の一つに国民からインターネット犯罪の取り締まりを警察に要望する意識調査の結果があるという。国民の方が、まともだったというわけだ。


 1990年代後半、日本のインターネット黎明期に、インターネットに関係する仕事をしていたことがある。当時のインターネット関係者が集まる会合があったのだが、そこに警察庁からある人が来た。インターネット上の犯罪や不正アクセスなどについて意見交換させて欲しいというものだった。私自身は、この会合に参加しなくなったので、その後どうなったのかは定かではない。だが、警察庁にこの頃からサイバー犯罪部門が組織されていれば、もう少し違っていたかもしれない。

 つまりいつの時代でも、危機意識を持つ人はちゃんといるのだ。ところがそれが所属する組織全体の意識にまでひろがらないのである。とくに社会の実権を握る人々は、現状の自己のくくり(組織)に満足しているので、およそ危機意識の希薄な人が大半である。

 警察庁という組織一つでこれなのだから、日本国という組織における政治家のひどさ、危機意識のなさは言うまでもあるまい。サイバー犯罪同様に、国民の意識と乖離してしまっているのである。国民もこの意識の落差を認識しないと、悪影響は結局国民にふりかかってくる。

 あらゆる組織は長く続くことで、現状の環境が永久に続くような錯覚に陥る。その油断に、悪人や独裁者達はつけ込むのである。

令和4年6月1日(水)

 

2022年06月01日分類:安保, 政治, 社会

この探知能力で国が守れるのか?北ミサイル探知能力のなさ

 6月5日に北挑戦がミサイルを8発も連続発射しました。当時自衛隊は、「少なくとも6発が発射された」と公表、韓国は8発と発表しました。それが6月10日になって、自衛隊も8発の発射だったと発表しました。

 「少なくとも」で後は分析中と言ったのですから、6発の他にも発射されたであろう事は、薄々わかっていたが、詳細が不明だった、つまりその時にはミサイルの軌道を捕まえられていなかったと言うことなのです。この食い違い、最近多いですよね。

 韓国は地理的に近いからすぐにレーダで全ミサイルを捉えられるが、自衛隊は離れているから仕方が無いという人がいるとしたら、それはとんでもない誤りです。一体日本のミサイル防衛システムは、どうなっているのか、とても信用できないと言うことになります。ミサイルが飛んできてるのに、分析中などと言う間に、いくつもの都市が攻撃の被害を受けてしまうのですから。

 日本の政治家は、あまりにも軍事防衛と言うことに無知、無頓着なのではないでしょうか?ミサイル攻撃が当たり前の現代戦において、ミサイル探知が出来無ければ話になりません。無論こちらも同等の性能のミサイルを保持することも言うまでもなく必須ですが。

 日本は曲がりなりにも偵察衛星を打ち上げているのですし、強力なレーダーを持つ艦も保持しているはずです。それで、この程度のミサイル発射を正確に捉えられなくて、本当に国を守れるのでしょうか?

 予算が少なすぎて、充分なミサイル監視、探知が出来ないのでしょうか。単に防衛省予算の問題だけであればまだ良いのですが、もっと軍事戦術的な課題を自衛隊が抱えていないのか、どうもそこが気になるのです。


 蛇足ですが、少なくともプロである自衛隊には、地球が丸いからとか変則軌道ミサイルだからなどという、素人向けのいいわけはして欲しくないですね。

令和4年6月10日(金)

2022年06月10日分類:安保, 政治

自衛隊に見る戦前の亡霊

 日々様々な制限を課された中で、黙々と任務に励む自衛隊員には、国民の一人として唯々頭が下がります。だからこそ、自衛隊には戦前の軍部が犯した過ちを繰り返して欲しくはないと考えます。何が不満なのか!はっきりと言ってしまえば、将官以上の上級幹部への不信です。

 以前から、幕僚長経験者など元自衛隊幹部の発言を聞いていて、時々引っかかるものがありました。あまりにも、いわゆるキャリア官僚(高学歴バカ)などと同じ問題点が垣間見えたからです。まさに戦前の軍部と同じです。少なくとも私にはそう感じられます。


 ロシアのウクライナ侵攻によって、メディアに出るコメンテーターも様変わりしました。さすがに、日々の戦闘状況などをきちんと説明できる人は、専門家といえど少数のようです。これまでほとんど顔を見たことがない多くの元自衛隊幹部の出演も増えました。だらかというのではないのですが、彼らの発言を聞いていて、これまで持っていた不信や疑惑はむしろ深まってしまいました。

 ちょうど具体的な例を示すことが出来そうなので、ここに取り上げてみます。


 最近では連日のようにテレビ出演している東大の小泉祐、防衛研究所の高橋杉雄の両氏が、ある番組で話した内容が元になります。内容を要約するとこういうことです。

 『各国の軍事理論や軍事思想は、各国ごとに異なるもので有り、それを理解してこちらの対応を考えないとまずいはずです。ロシア、中国、北朝鮮それぞれの軍事思想に応じて、自衛隊の対応(戦略)も考えないとまずい事が、ウクライナ侵略を見てはっきりしたということです。』
 個人的には、今更とも思うのですが、至極まともな意見で賛成します。

 では何が問題なのでしょうか。それは自衛隊が米軍の軍事理論に基づいてすべて対応しようとしているのではないかという事です。アメリカの軍事理論と同じ理論の敵であれば良いのですが、全く異なる軍事理論で動く敵がいたら、こちらも対応を変えないといけないはずです。そして実際、そういう敵がいることがよりはっきりしたのが、今回のロシアの動きだという事なのです。


 具体的にどのような話なのか、説明していきます。

 ロシアは、病院、学校、避難所など民間人のいる施設を狙ってミサイル攻撃を繰り返しています。これについて、日本を含め西側諸国は、非人道的、戦争犯罪の行為であると非難しています。
 一方、プーチンは『もし射程の長いミサイルがウクライナに供与されれば、まだ攻撃していない目標を攻撃する』と述べました。この目標とはロシアの国防委員長によれば、『空港などの輸送インフラであり、最高会議や国防省などの国の機関である』と言うのです。つまり、攻撃目標の順番がアメリカとロシアとでは考え方が異なる訳です。

 開戦当初から、なぜロシア軍は軍事施設や輸送路などを攻撃しないで、民間施設を狙うのか、西側の軍事専門家には不思議でした。西側の軍事常識からすれば、最初に狙うのは軍事施設などで、民間は最後の攻撃先なのです。
 一方ロシアの軍事理論家によれば、敵を倒すにはまず民間を攻撃して抗戦意志をくじくのが最も早いというのです。そして実際にロシアの軍事理論は、この理論に基づいて攻撃目標を定めているのです。


 話はかわり、北海道にロシアが侵略してきたとき第一に守るのは軍事施設だと、自衛隊の元幹部達(幕僚長など将官以上)は皆言うのです。しかしながらロシアの軍事理論で行けば、まず民間の学校や病院が狙われて、日本人が戦う気力をなくす恐れがあると考えなくてはならないのです。

 ですから、自衛隊は米軍の軍事理論で考えるのではなく、敵の軍事理論を考えてそれに対応しなくてはまずい、と両氏もいうわけです。


 もう一つ別の例(別番組)で言えば、自衛隊は実戦経験が無いのに大丈夫なのかとの問いに、上級幹部用のマニュアルは別に有り、幹部はそれで学んでいるという発言があったのです。マニュアルがあるから大丈夫なんて、何を考えているのでしょうか?戦争までマニュアルでやるなんて、官僚思考丸出しです。私が、戦前の軍事官僚と同じだというのは、こういう点なのです。


 官僚的思考は官僚だけの発想ではなく、集団農耕型気質の多くの日本人が持つ弱点です。ですが、なぜか一流大学での高学歴者に、この思考がより強いのです。自衛隊も、防衛大卒だけが幹部になれる(なる)ようですが、これは明らかに誤りです。頭でっかちだけで本当の戦争が出来るなら、ウクライナはとっくに負けているはずです。

 すべての自衛隊上級幹部がそうだとはもちろん言いません。ですが、一人でもいたら、実戦に置いてはそこで戦況が代わる事もあり得るのです。戦前軍部の数々の戦術ミスのなかには、これが実に多く見受けられるのです。

 両氏のように、まともな考えを持つ人の意見が、自衛隊幹部全員の意識になるように願ってやみません。

令和4年6月11日(土)

2022年06月11日分類:安保

プロだけが戦う時代は終わった

 ウクライナの首都キーウに迫ったロシア軍部隊壊滅の立役者は15歳のドローン少年だったというコラムがあった。ドローン操縦に優れた少年の助けを借りて、ロシア軍の正確な位置を検知したということです。ウクライナ正規軍でも、民兵部隊でもない普通の少年が、戦争の行方を左右したわけです。今回のウクライナ戦争では、巨大IT企業の支援など、軍隊と直接関わらない人々の活躍が目立ちます。これは、これからの戦争は、プロの軍人だけの戦いではないということをよく現しています。

 さて、日本の現状はどうでしょうか?軍隊そのものすらまだまともになっていないのですから、それ以外など言うまでもないことでしょう。ですが、逆に、プロの軍人以外の支援の仕組みを作るのはまだ間に合うはずです。いくつか之分野を見てみます。


①自衛隊に加えて、民間防衛隊のような支援部隊が必要でしょう。火災には各地に消防団がいますが、彼らは普通の民間人です。同じ仕組みが防衛においても出来るはずです。
 この防衛団の他にさらに、最低限の武器の取り扱いや自衛の手段を知っている国民を増やす仕組みがいります。身の守り方などは、国民の多くが知っていて損のない知識です。学校でやるには抵抗が大きすぎるでしょうから、希望する国民が自主的に参加する形でも充分です。

②体力勝負ばかりの自衛官ではなく、かといって技官というように公務員で選ばれたものという大げさな人材ではなく、もっと一つの技量に優れた人材を多く採用すべきなのです。ウクライナのドローン少年がまさにその典型的な例になります。
 ドローン(無人機)の操縦者はeスポーツの上位者、サイバーではハッカー、戦況分析に囲碁、将棋の名人などが例示的に思いつきます。彼ら彼女らは、自衛官のような過酷な任務に堪える体力は、必ずしも必要な訳ではありません。

③ウクライナ戦争では、欧米特にアメリカのIT関連企業がウクライナ側に立って、様々な支援を展開しています。中国は、企業も国民も国の命令で動く法律を制定しています。産業界が防衛にどう参画できるのか、日本も仕組みを作っておくことが重要でしょう。無論、強制ではなく、支援企業のとりまとめと自衛隊との協業の方法を決めておくことです。

④ウクライナでは、もはや軍需と民生の区別など全く無意味である事が証明されました。ロシアのドローンは日本の民生部品で動いていますし、ウクライナは民生用のドローンに爆弾をぶら下げて飛ばしています。SNSでは、様々な誘導などが当たり前に行われています。もはや、軍事と民事の区別そのものが無意味な世界になっているのです。これに応じた体制を取れなければ、どこかの属国になるだけでしょう。

⑤ウクライナのクリミアをロシアが侵略したときは、ハイブリッド戦争と呼ばれ、ウクライナ戦争ではアメリカの新しい情報戦と言われています。軍事の世界では、戦闘領域としてのサイバー空間が当たり前になっていますが、これと連なる形で表面化してきたのが、認知領域戦と中国が呼ぶ戦争の形です。
 敵の指導者層に自分たちの味方を忍ばせる、社会の実権を握る層にスパイや工作員を配置する、国民を様々な手段で洗脳、傀儡化させる、などの国民の意識そのものを都合の良い方向に偏向させる戦いです。中国の言う「戦わずして勝つ」戦法ですね。
 日本の学会や一部の団体が、軍事産業には参加しないなどと寝ぼけたことを叫ぶのも、すでに彼らの心理が占領されている証しなのではないでしょうか。

 ミサイルや火器で戦う以外に、目に見える武器を使わない心理戦、認知領域での戦いこそ、これからの戦いの主流であり、最も効果的な戦争方法でもあるのです。

⑥敵国の軍事理論を研究して対応するには、心理学などの専門家をもっと重用する必要があります。日本は情報分野とともにこの分野が決定的に遅れています。ブログ『自衛隊に見る戦前の亡霊』参照。


 世界が激しく流動しているのに、30年以上にわたり何も変わらない、変えようとしない日本。戦争についても、未だに古い武器重視の考え方が主流になっています。これではまさに「戦わずして負け」です。

令和4年6月12日(日)

2022年06月12日分類:安保, 政治, 社会

弾薬のない日本はどうするのか

 ウクライナへの侵略は、普段一般の国民が知ることもないような情報まで、色々と教えてくれることになりました。普段何気なく言われていることの深刻さも、脳天気日本人の頭をコツンとしたようです。

 国防の課題が山積していることも、明らかになってきましたが、自衛隊の弾薬不足つまり継戦能力の問題もそのひとつでしょう。
 ウクライナが東部戦線では、かなり苦戦していることが伝えられていますが、西側の武器供与がこのところスムーズではないようです。とくに砲弾不足が鮮明で、これが苦戦の主因だとアメリカは伝えています。


 技術の発達により、様々な火器が恐ろしい早さでの連射、速射が可能になっています。その為に使用する砲弾の数も半端ではないのです。例えばアメリカが供与した榴弾砲の弾丸22万発は、ロシア軍の4日分の砲弾数だとか。

 ロシア側の榴弾砲が一門あたり一日14~24発発射し、ウクライナ側は7~21発を発射している。これは第二次世界大戦末期の米軍の一日の補給定数20~35発に近いとのこと。

 いずれにせよとんでもない量です。自衛隊にこのような弾薬の蓄えがあるとは到底思えません。実際問題として、どうする気なのでしょうか?政治家の無責任さにあきれますね。

 さらに問題は、仮に直ちに砲弾などの製造を行うとして、それが可能なのか、どこまで緊急増産できるのか、という深刻な問題です。そこには、原材料の入手問題、工場の人員、さらには運搬の問題もあるわけです。

 ひとつでもいいですから、国会でまともに議論を行って欲しいですね。「タマのないのがタマにキズ」などと言っていられるのんきな時期はとうに終わっているのですから。


令和4年6月15日(水)

 

2022年06月15日分類:安保, 政治

中途半端な支援は意味があるのか

 ウクライナ戦争では、欧米の武器供与がウクライナの望んだようには運んでいないようです。領土を割譲してでも戦争を終わらせるべきだというロシア寄りの意識を持つドイツ、フランス、イタリアなどは、武器供与も及び腰というか、口先と実行が違っているようです。アメリカもまた、とにかくロシアに核を使わせたくないの一点張りで、時間稼ぎのようなことさえおこなっているようです。結局、自分の国は自分で守るしかないのですね。

 それでもドイツのように、いやいやながらも方針を変更して武器供与に踏み切った国もあります。では日本はどうでしょうか?憲法やら何やら制約があって、武器はだせません。せめて、防弾チョッキやヘルメットを提供します、ということです。

 そもそもなぜ今回は日本が積極的に西側の軍事支援に参加したのでしょうか。いうまでもなく、日本有事の時には、ヨーロッパなど西側の国々に支援して欲しいからです。でも、こちらがヘルメットしか出さないのに、彼らが戦車を供給してくれるでしょうか?外交の基本は、お互いに同レベルということです。今日本が軍事支援をしないのは、あくまでも日本の勝手な言い分にすぎません。少なくとも国際社会の常識では。なら、相手も同じでしょう。

 国際社会と一緒にと常に言い続けていますが、何かあると日本には禁止された法律があるので、と逃げるのです。こんな国を世界は本気で助けるでしょうか。 私には信じられません。

 都合のいいときには国際協力と言い、またあるときは国内の都合で出来ませんと使い分ける。こんな国の国民である事が恥ずかしいです。

令和4年6月18日(土)

2022年06月18日分類:安保, 政治

馬鹿正直日本は柔軟性に欠ける愚か者

 ウクライナ戦争でロシアのガスと石油に頼っていた欧州の国に中には、調達先が変更できないでいる国も多い。その代表でもあるドイツは、結局、あれほど非難していた石炭を増やすことにしたという。
「「脱石炭」のドイツ、石炭利用増加へ 露産ガスの輸送減対策で」石炭火力発電の利用を増やす緊急措置を取ると。

 何度ものべてきたように、欧米は、まともな正義感から環境問題を言っているのではない。自国の利益になるからであり、そうでなければ平気で言ったことを変えてしまう。実際、原発までクリーンエネルギーに入れてしまったのだから。

 それに対して、日本は一度決めると、どんなに情勢が変化しても、同じ事をやり続けようとする。そのため常に、世界の中で最も損失を被ることになる。馬鹿正直なのだと言ってすむ話ではないだろう。変化を正しく認識して柔軟に対応することが出来ない、愚か者と言うことである。

 電気が足りないから節電しろという前に、原発の一時的再稼働、石炭火力発電などやることはいくらでもあるだろうに。もっとも、過去にエネルギー政策をサボってきたため、火力発電も老朽化でボロボロなのである。石炭も70基のうち最新式は2基しかないという。


 真に国民や国益を考えない政治家と官僚は、利権と結びついたことは、やり出したら決して辞めようとはしない。遠いウクライナの戦争で、またも日本が最も被害を受けている。さすがにこの愚かさには、日本人である事がいやになってきた。

令和4年6月20日(月)

2022年06月20日

腐ってしまった警察


 週刊新潮に依れば、『皇宮警察が「中国人皇居内侵入」事件を隠蔽していた “危険人物”が1時間にわたり徘徊』という。

 警察などの隠蔽体質はもはや驚くこともないが、この中国人が、「警察的な観点から相当危うい身元の人物だと判明」だというのだから驚き。日本全体の危機意識の欠落が、あらゆる組織にしみこんでいる。認知領域での戦闘で、はじめから負けているわけである。

 皇宮警察は、本来天皇の親衛隊である近衛兵の流れをくむ組織のはず。それが、ボヤだの飲酒だの不祥事だらけ。真面目にやっている警察官がかわいそうである。

 国民も、今度の参院選挙から、候補者の人格を見て投票しないと、日本の劣化は止めようがない。といっても、まともな候補者がどれだけいるのか、根本が問題であるが。候補者が540人もいるが、まともに国のためを思う人間がいるなど信じられないのが本当のところ。


 ロシアの軍事侵攻も結局ロシア国民の帝国シンドローム(症候群)の影響があると言うのだが、日本も脳天気シンドロームから抜けきれないでいる。一体どうすれば良いのだろうか。

令和4年6月22日(水)

 

2022年06月22日分類:安保, 政治

なぜこんなに振り込みミスが多いのか?


 「給料286カ月分が誤って振り込まれ…チリ人男性が2800万円着服してドロン!」(日刊ゲンダイ)
 こんな記事がありました。最近、とみに振り込みミスのニュースが目立つような気がします。で、記事になるのはお金を返還しないからで、ミスはもっと多いのかも。

 途上国から出稼ぎ出来てる人にとって、とんでもない大金が入れば持ち逃げも当たり前かも。これをきちんと取り締まる法律はあるのだろうか?

 それはさておき、なぜこんなに振り込みミスが多いのか。ほとんどが人的なミスなのだから、やはり気の緩みとしか言いようがないです。特に自治体や公的組織の人にとって、扱う金は税金だから、まさに他人の金なのでしょう。自分の金なら死に物狂いでチェックするでしょう。
 それでも人間ミスします。だから複数の人によるダブルチェックが行われているのに、ミスのあったところでは、およそこれをやっていないようです。

 他にも問題は色々あります。最も疑問なのは、ミスに気付いたらなぜすぐに金融機関で手続きをしないのでしょうか?口座をおさえて、マイナス金額の振り込みが出来る仕組みを整えるべきでしょう。すくなくとも、国や自治体にはこれを許すべきです。

 また、振り込み処理のデータ入力システムも、なぜ異常データのワーニング機能がないのでしょうか?さらには、人間まかせではなく、もっと機械化された振り込みシステムは出来ないのでしょうか?

 デジタル化の前に、機械化の基本を教育すべきなのでしょうね。学校の情報教育では、こういう周辺の情報も教えるべきでしょう。やることが多いですね。

令和4年6月29日(水)

 

2022年06月29日分類:社会

本質は下請けを知っていたかどうかではない(尼崎のUSBメモリー紛失事件)

 尼崎のUSBメモリー紛失事件では、委託先の従業員ではなく、その下請けの社員とされていたが、実はさらにその孫請けの社員だったということでもめている。
 尼崎市も、委託先だったBIPROGY(旧日本ユニシス)も、聞いていないと怒っている(怒って見せている)のだが、そんなはずはあるまい。IT業界にいた人間として事情はわかっているつもりである。そもそも下請けとはいわない。協力会社というのが決まりというか、相手への気遣いである。

 発注元から頼まれてあるプロジェクトをやるとき、自社の社員だけではプログラマーが足りないのは、自然のことである。工場でものを作るのとは違って、人間の必要数が常に変化するからである。最大の数を常に雇用しておくなどどだい無理なのだ。ですから、協力会社を使うのはある程度はやむを得ないと知って欲しいのが前提です。

 そのうえで、その協力会社がさらに下請けや場合によっては個人をつかっているかどうかです。これは大きなプロジェクトになれば、当たり前の事。では、それを知らなかったのかどうかという点です。公式には、下請けですとか個人バイトですなどと言われることはまずありません。したがって、尼崎やBIPROGYが聞いていないというのは、公式という意味では正しいのです。ですが、わからなかっとかといえば、それはほとんど嘘です。孫請け社員は、下請け社員への態度や口の利き方もちがうし、飲みに行くほど仲良くなれば、わからないはずなどないのです。

 したがって、問題の本質は、尼崎やBIPROGYが孫請けを知っていたかどうかではないのです。下請けだろうが孫請けだろうが、起きたことの責任は発注側にあると言う基本をおろそかにしすぎているのです。自分たちに責任はないかのような態度を見ると腹が立って仕方が無いのです。サムライは、自分のしたことではなくても責任を取って切腹することはよくありました。それが、ひたすら責任逃ればかり。もううんざりです。

 ITではびこる多重下請けは承認か黙認か、という問題は、別の課題として考えるべきでしょう。

令和4年7月7日(木)

 

2022年07月07日分類:安保, 社会

岸田総理は変わったのか?


 岸田総理が昨日の会見で、安倍元総理の国葬や原発再稼働の指示などを発表した。これを受けていわゆる保守層と呼ばれる人達からは歓迎の発言が出ている。岸田総理が変わったのではと喜ぶ声もある。

 私は、彼の昨日の会見内容ではなく、少し前から彼が変わってきたように感じていた。それが安倍元首相銃撃事件以降さらに明確になった気がしている。そのように感じた理由は、「顔つき」である。
 失礼な言葉で申し訳ないのだが、私は彼のいつも薄ら笑いを浮かべているような、にやけた顔が嫌いだった。そのにやけさが取れた感じがするのだ。

 総理大臣という最高権力者ではあるが、その重責、孤独さは、経験者以外わからないだろうと推測する。彼も、これまでの総理職の経験から、自ずと顔つきが変わったのかもしれないと思う。

 人間の内面は顔に出るという、とすれば、彼の内面に少しは変化が見られたのかもしれない。ただ、喜んでいる人には申し訳ないが、顔つきが変わることと、政策への考え方が変わることは同じではない。むしろ、より自分の思うことをやろうとして、よりリベラルな政策を実行に移すかもしれないのだ。

 ただ一つ言えそうなことがある。それは彼は極端に自分への評価、国民の態度に敏感だという点である。悪く言えば、究極のポピュリストかもしれないが。国葬にしたのも、海外からの高い評価と、国民の献花・哀悼表現に驚いたのが影響してることは間違いないと思う。

 ならば、多くの国民が今回のように、本当の気持ちを素直に、でも積極的に表現することで、メディアによる評価よりも国民の評価を大事にするようになるかもしれないと思っている。

 今後の政策内容を注視していきたい。

令和4年7月15日(金)

 

2022年07月15日分類:政治

パンの味

 いやはや、諸物価の値上がりのすごさ。年金暮らしの年寄りには、スーパーでの買い物が恐怖になってしまった。食料品を海外に頼りすぎたツケが回ってきている。以前から、腹が減っても車を食べることは出来ないのだからと言ってきたのだが、このまま世界情勢が悪化すると、高くても手に入らない食料不足になることも悪夢ではないのだろう。でも、今回は少し違う話。

 食パンの値上げもすさまじい。みるみる倍近くまで上がってきた。大手メーカーもまずいと感じているのだろう、6枚100円程度の安い食パンを出している。これを買って食べてみた。その味にある感覚というか記憶が甦ってきた。それは、半世紀以上も前にはじめてヨーロッパに行って食べたパンの味だった。進んでいるという北欧だが、安ホテルでのパンは黒パンだった。その味を思い出したのだ。きっと使われている小麦が同じなのかもしれない。

 そんなこんなで、この頃感じるのは、日本人は食べ物に贅沢になりすぎたのではないか、ということである。昭和の貧しさを抜け出し、おいしいものを安く食べられるのが当たり前になった。しかし、行き過ぎたような気がしてならない。

 欧州だけではない。確かに豊かなアメリカにおいても、一般の庶民が日常で食べるものは、そんなに贅沢というか、おいしいわけでもない。少なくとも日本人の私にとっては。日々高級レストランで食事をしている富裕層を除けば、食べるものにそれほどうるさいようにはおもえない。日本人は元々味覚にするどいのだが、贅沢に慣らされたようにおもう。

 この国も貧富の格差が広がり、食べるにも困る人達が出てきてしまった。うまい、まずいなどと言えるうちは良いのだろう。パンの味が、この国の将来のことを思い起こさせてくれる。

令和4年7月30日(土)

2022年07月30日分類:政治, 社会

新たなる対立(リモートワーク賛成社員の惨めな将来)

 コロナウイルスのパンデミックにより、企業の多くが半ば強制的にリモートワークやテレワークの導入をさせられました。それまでも働き方改革の一つとして推奨されていたのですが、企業側の動きは鈍く導入はすすでいませんでした。お上の言いつけに従順な国民の多くは、素直にこれを受け入れて、新しい仕事のやり方を経験したのです。はじめはネットワーク環境の不備などもあって、ゴタゴタしましたが、今ではすっかり慣れたようです。

 このリモートワーク(テレワークも含む)の採用が定着するに従い、早くも二通りのくくりが出てきました。積極的に今後も導入を進める企業と、そろそろ元に戻したいと考える企業です。一方で、一度リモートワークを経験した従業員は、もはや元の出社型には戻りたくないと考える人がほとんどです。

 つまりリモートワーク賛成派と、反対派の大きなくくりができあがったわけです。この両者は、すでに対立と呼べるほどの意見の違いが見られます。出社するなら何日かとのアンケートの問いにも、賛成派は出社日ナシか週一日が大勢でした。食べず嫌いだった禁断の果実は、相当に美味だったようです。

 この問題では、いくつかの課題があります。それは極端に賛成している皆さんへの老婆心からの忠告とも言えるものです。ようやく様々な働き方が出てきたわけですから、水を差すような話はいやなのですが、この失われた30年で何が起きたかを冷静にみると、自然に湧き上がるものです。ちなみにこじんてきには、様々な働き方が混在するのが当たり前の社会だとかんがえています。無理に決めるのも、一方の型にはめるのも嫌いです。

 賛成派の皆さんも今回急にリモートワークになった方がほとんどだと思います。つまりすでに今の会社で仕事をこなしていたのです。ですから、仕事の内容もやるべきことも、やり方もわかっています。でも、信州社員がいきなり初日からリモートワークで仕事しろと言われて、さて何が出来るのでしょうか。むろん、データ入力や仕様書をもらってプログラムを書くような死語の内容なら可能です。でもすべてそのような仕事ばかりではありません。じっさい、その手の仕事は、もはやほとんど外注されていますし、今後はIT・AI化で機械に取って代わられます。つまり、ここでは新しい仕事をどうやって覚えるのか、身につけるのかと言う大きな社会問題が、横たわっているのです。

 これ以上により皆さんに切実な課題が、非正規社員化です。賛成派の皆さんに二つの問題があります。ひとつは、いつまでリモートワークが続けられますか、と言うことです。無駄な会議や打ち合わせ、ろくに仕事もしないシニア社員、飲み会の半強制など批判の対象になるのは主に管理職などのシニア世代でしょう。でも、歳を取らない人間はいないのです。皆さんもいつかは同じ年代になるのです。その時どんな仕事がありますか?シニア層の仕事配分という社会問題は、働き方が違えばさらに複雑さを増すのです。本当にご自分の将来を見通せていますか?

 最後に、誰も指摘しない、最も過酷な、いやな話です。出社しないで済む仕事が大半なら、それをなぜ正社員にやらせる必要があるのかと、壕要でなくても普通の経営者なら考えます。そして、正社員から、個人契約社員に変えるでしょう。ウーバーや宅配運送業者の個人事業主の皆さんです。サービス業だけでなく、この動きはすでに建築業界で昔行われたことです。大工や左官の人達を企業から引き離して、個人事業主にしたのです。労基などにも守られず、けがをしてもすべて自己責任が問題になりました。これが、すべてのリモートワーク社員にのしかかってくる大きな問題なのです。認識していましたか?

 個人でリモートワークで仕事を受けることが、年取っても可能だと言い切れますか?そういう人はかまいません。あるいはそれまでに投資で儲けて働かないと言う人はOKです。しkし、わたしには、すべての人がそうできるとは到底信じがたいのですが。

 余計なお世話だったかもしれませんね。

令和4年8月10日(水)

 

2022年08月10日分類:社会, 経済

スペイン、韓国にも抜かれた日本の劣化現状


 過去3年間における自然科学分野で野研究論文の引用数で、過去最低の12位になった。前回10位だったが、スペイン、韓国にも抜かれた。とにかく劣化が止まらない。日本は論文総数でも前期の4位からインドに抜かれ5位、被引用数が上位1%の論文数も前期の9位からインドに抜かれ10位にさがっている。

 日本の劣化自体は30年も前から始まっているので驚くには値しないのだが、それにしても、欲ここまでほってオクナというのが率直な感想である。政治家、官僚、財界そして多くの国民も、結局派利己主義の塊になっているので、国全体の衰退などどうでも良いのだろう。これについてはすでに色々書いてきたので、今回はこれ以上触れないで起きたい。

 それよりも、今回の記事でいくつか気になることがある。一つは博士号の問題、もう一つが企業と大学との関係である。

 まずお決まりの国からの支援、とりわけ大学への補助金の減額が響いているという問題。この研究開発費の補助金の減額が、優秀な研究論文がでない原因であると言う、因果関係の具体的な研究を見たことがないのだ。額が減って、引用論文も減ってと言う相関関係は認められるとして、それが原因と結果である証拠をみせてほしいのである。なぜなら、論文の引用が減っているのは、優れた論文がないということで有り、一方で論文数は下がっても5位にいるのだ。つまり、優秀な人材が減少したのが、本当の理由なのではないかという疑問である。数ではなく、質の劣化がひどいことを示していると、捉えるべきなのではないだろうか?
 そもそも、劣化は30年も前から始まっており、例の大学改革(支援先を絞る)は、その後のことなのだから。

 もちろん、大学への研究費減額が、影響していないなどと言うつもりはない。しかし今のままだと、いくら金だけ増やしても、質の向上が果たせるのかということである。

 実際、日本の産学官を合わせた研究開発費、研究者数はどちらも3位なのである。

 中国、韓国、アメリカでは博士がおおきくふえているのに、日本では増えていないとなげく。日本の博士は肩書きだけだというのは言い過ぎだと思うのだが、他国ではこの資格が研究者のスタートラインなのだから、取得するのはあたりまえである。日本社会はそうなっていない、これもあまり話題にされない。
 もうひとつ、博士課程修了者の就職先がないなどというのは日本だけだという話がある。事実はそうだとして、企業や研究機関は、なぜ博士をほしがらないのかの理由である。日本企業が目先の利益しか追わなくなり、基礎研究をする博士などいらないと考えたからかもしれない。とすれば企業の利己主義をなおさないかぎり、どうにもならないはずだが、そこの切り込みもほとんどない。
 また全体の研究者数はそれなりなのだとしたら、ここでも研究者の質の問題と研究内容が問題になるだろう。研究者のレベルをきちんと見極める尺度も、判断基準も、この国にはないように思う。基礎研究を軽視すれば大変なことになる、その通りなのだが、現状分析と解決の具体策を提示して欲しいのである。それこそ科学的に。


 何を言いたいのかといえば、日本の長期にわたる劣化は、社会や国家全体の問題で有り、どこかの為に、何かを少し動かせば解決する問題ではないと言いたいのである。この視点なしで、いくら騒いだところで、劣化のゆでガエル状態は止まらないであろう。この問題は、何度も本にしているので、参照されたい。オン草紙・本棚

令和4年8月28日(日)

 

2022年08月28日分類:政治, 科学

自治体のデジタル化の遅れは 行政改革の遅れそのもの

 少し前、こんな記事があった。『自治体DXは炎上必至か、「できません」とITベンダーも逃げ出すシステム刷新の悪夢』

 なぜこんなにも自治体の機械化がすすまないのだろう。ITだ、DXだ、クラウドだ.. もう言葉などどうでもよいのだ。何が問題の本質なのか、なぜ改善されないのかである。弊著「くくりと撞着 見えざる檻の囚人」で指摘した、囚人の典型が、自治体や霞ヶ関の役人達なのである。気質から見た根本原因は、そちらに譲るとして、一つ述べるならこういうことであろう。

 基本的に、各自治体は独自のものを作るし、標準化を嫌がる。これは、縄張り意識、現状維持意識、おらが殿様意識によるということになる。結果、組織を全く変えないでシステムだけ変えようとするから必ず失敗する。手作業の仕事をそのまま機械に置き換えようとするからさらに無駄が発生する。

 機械化と業務の両方がわかる真のSEがどこにもいないのが最大の課題。
 ITベンダーのSEはユーザのいいなりである。それが儲かるし、責任がないから。実際業務内容には口出しできない。やり方を変えるには、業務の部門にシステム化のわかる人間が必須。大企業はいざしらず、中小企業や自治体にはいない。企業のSEには、業務を変える権限など持っていないのが現実。

 ある実例。経理伝票の機械化。
  当初は、伝票の仕組み(簿記)がわかる担当者達が、機械化でも理屈をわかってこなしていた。
  それが当たり前の担当者達に世代が変わったところ、操作方法のベテランではあっても簿記の知識はほとんどもたないために、システムが止まったとき、手書きでの処理が出来なくて混乱を生じた。こういう場合どのようにリカバリーすれば良いのか、今更簿記の講習をする事も出来ないのだ。

 実は自治体など行政における機械化もこれと同じ問題を含んでいる。これまでやっていることは手作業の操作のことで、行政の業務そのものをきちんと理解している人間はほとんどいない。その為に業務フローも本来の目的にあったフローではなく、あくまでも現行手作業のフローしか書けないのである。このフローからより効率的な機械化のフローをかける人間が自治体には皆無になってしまっている。なぜなら、すでに何十年も同じ事を続けているのだから。単に縄張り意識で他部門に口出ししないだけではなく、本当に業務全体をしらないのである。

 今もIT化といって、個々の自治体がそれぞれLine何たらを導入し始めている。自治体の業務は同じ内容なのだから、本来なら国が標準システムをつくって各自治体にばらまくのが筋のはず。国のシステムは作ったから、つないでくれでは、まるで機械化などではない。その典型が、コロナで幾度も失敗したシステム開発である。運用も自治体側の体制も、機械化も考えずにこれを使え、では何もかわらないどころか、あのようにトラブルばかりが出てきてしまう。誰も利益を享受できていないのである。儲かったのはシステム開発を受けた企業ばかり。

 デジタル庁も500人以上の人材をはじめから抱えてシステム開発と言っているのだが、これだけでもう失敗がみえてくる。なぜかくも大人数が必要なのかと言えば、プログラマーやコーダーを考えているからだろう。真に国と自治体のシステム設計なら、こんなにいらないどころか、船頭多くしてになってしまう。つまり、SEワークを真に理解している人材が、デジタル庁にもどこにも居ないことになる。

 ここを誰も指摘しないのは、無知なのか、利権や利益の為なのか。

令和4年9月10日(土)

2022年09月10日分類:政治, 社会

プーチン最大の誤算は変化に気づけなかった事

 ロシアによるウクライナ一般人への暴行・拷問・殺害などの残虐行為の跡が、世界中にビデオで流されてしまい、ロシアの国際的地位は劣化するばかりになっています。日本では未だに親ロシア派なのか、親中という反日派なのか、戦争ではロシアに限らず起きることだとロシアを擁護する発言をしている人がいます。あのビデオを見てもまだ、それが言える心臓の強さには逆に感心してしまいます。かの人達は、人間としての当たり前の感情すら持ち合わせていないのでしょうか。

 それはさておき、プーチンのウクライナ侵攻については、専門家などがどうしてこのような行動に出ているのか、疑問を述べる専門家も少なくありません。軍事的にはあり得ない作戦だとか、情報が正しく伝わっていないのではないかとか、様々な事が言われています。

 ここでは、誰も言わないことを述べて見たいと思います。それは人間の性格に関わるものです。

今回プーチンは予想もつかなかった特別なことをやっているように言われていますが、果たして本当にそうでしょうか?むろん、一部で報道されたように、ガンやパーキンソン病を煩っているとしたら、健康状態から、精神状態にも悪影響が出て判断や決定に歪みが出ている可能性はあります。しかし、この病気説は今では全く語られなくなりました。したがって、病気説ははずして考えるべきでしょう。とすれば、はたして彼の行動や決定がこれまでと大きく違うといえるのでしょうか。


 コロナ以降の二年くらいで、人との接触を避けて自分の殻に閉じこもり、特定の思想に傾倒してしまうことはあるでしょう。実際、汎ロシアという過去の栄光にとりつかれた歴史観を持ち、ロシアとウクライナ、ベラルーシが同じ民族のまま今も続いていると考えるような幻想を抱いてしまったのは事実でしょう。問題は、その後に起こした行動は、皆おなじような行動であり、今回のウクライナ侵攻だけが特別であったとは考えづらいのです。

 実際ウクライナを徐々に侵略して、ついにはクリミアを占領・併合することに成功しました。ドンバス地方にも親ロシア派に事実上占領させ手、勝手に独立国の承認をしてしまいました。ここまでのところで、特にロシアは、現在欧米から制裁を受けているような、あるいは世界中から非難されるような状況には陥らなかったのです。
 したがって、これまでやってきた事を、ウクライナ全体に広げてみただけなのです。過去の成功例があったために、今回も同じだろうと甘く考えたのは確かにミスですが、やっていることは変わっていません。周囲を取り囲んで逃げられなくしたうえで、集中攻撃をし、化学兵器など非人道的兵器の使用も、絨毯爆撃もすべて過去に他の国で実際に行ってきた事ばかりなのです。そして、それなりに成功を収めてきたのです。今回だけうまくいかないと考える方が難しかったかもしれません。

 成功体験が、相手を見くびることにつながったのは否めないでしょう。しかし、一般人への虐殺行為も、住民を拉致して各地に連れて行ってしまうのも、ソ連やロシアの歴史において常に行われてきました。日本も条約など全く無視してせめこまれました。60万人もシベリアなどに連行されなくなりました。満州などでは、内地への引き上げの際に、多くの日本人が暴行や殺害されてきたのです。そして、どさくさ紛れに領土まで占領して返さない国なのです。ここまで来ると、残念ながらこういう民族性なのだと言わざるを得ません。それが戦後70年してかわるどころか、先祖返りしてしまっただけなのです。強大な権力を握ると徐々に独裁化し、やがて独裁者としての振る舞いを他国にもおこなうようになるのです。この経過は、歴史を見ればよくわかりますし、ミャンマー、タイ、トルコ、イラン、中国等々、今なお何も変わっていないのです。

 そのような経過のなかで、最大の誤算は、アングロサクソン陣営が、過去の負けを認めて大きく反撃に出たこと、ウクライナ人の愛国心が強固であったこと、ウクライナは欧米から見て白人の仲間だとみていること、これらを見誤ったのです。例え同一の民族であったとしても、その後の文化や体制の違いは、別の民族に変えていくことも認識出来ていなかったのでしょう。親ロシア派の存在が、ウクライナ人全体の心情と見誤ることになったのです。

 また、中東やアフリカなどでいくら残虐行為をしても、今回ほどには国際社会は騒ぎませんでした。様々な条件が重なったこともあるでしょうが、そこに白人による人種差別意識が全く影響していないとは言えないのではないでしょうか。このことにも気が回らなかったのでしょう。この話はまた別に取り上げます。

 思考があるくくりに強固に撞着してしまうと、その外側が見えなくなってしまいます。彼もそのわなに落ちた一人なのです。今なお、そのわなから抜けられず、戦争拡大に走っているわけです。

令和4年9月24日(土)

2022年09月24日分類:安保, 政治

経済安保関税を

ひたすら関税の引き下げで自由にという一辺倒のグローバル政策の時代はすでに終わっている。

例えばレアアースのように、経済安全保障に関わる資源や材料等の輸入においては、国産品の保護/維持の為に安い外国産に相当の関税をかけるべきである。
ようやく鳥島近海の海底からレアアースなどの資源採掘が行われるようになった。本当に遅いと思うが、今からでも良いから迅速に動いてもらいたい。まちがっても、くだらない官庁の縄張りあら際とか、ひたすら時間を掛けて既存の利得権者、例えば輸入業者などに味方する行政をとらないようにすべきである。

民主主義国家と覇権主義国家の対立が当たり前のように言われるようになったのだが、この最も深刻な分断を招いたのは、政治的なイデオロギーそのものだけではなく、国民の経済的豊かさ言い換えれば貧困と格差の問題が大きい。つまり、民主主義と言うよりも自由資本主義経済の弊害なのである。これはトランプの例をもちだすまでもなく、民主主義国の代表国に置いてすら発生している問題である。

この問題がなぜ覇権主義国ではうまくやれているように見えるのかと言えば、彼らの採用した資本主義は欧米型の自由で市場にすべてを委ねる放任的な資本主義経済ではないからである。国家全体にとって重要な製品・材料などは、国営化もしくは国の統制下に置いている。その為に過剰な競争が起こらず、国内企業を外国製品から守れている。

これからの自由資本主義経済は、これまで通りに自由で市場の競争原理に任せる部分と、国と民間が一緒になって対応する部分とに分かれるであろう。これが覇権主義国の経済に対抗できる唯一の策とも言えるはずである。

冒頭の経済安保関税というのは、その考え方に基づくもので、既存の行き過ぎた自由貿易体制の修正でもある。これをいちはやく、きちんと導入できた民主主義国だけが、今後も資本主義経済を続ける中で健全な成長を保つことができるだろう。日本はその先頭に立つべきである。

令和4年10月31日(月)

 

2022年10月31日分類:安保, 政治, 経済

「副業」は時代遅れの言葉

 最近、副業についての話題が増えてきたように思います。ですが、この副業なる言葉、いわゆる新しい働き方の概念と照らし合わせると、しっくに来ないことがわかります。

 『副』なのですから、当然『主』がある前提になります。ですが、働き方が本当に多様化したとき、どれが主でどれが副日などあるのでしょうか?例えば、週3日ずつ二つの仕事をやっていたら、個人事業主の仕事をしながら、他にパートやバイトの仕事さらに任意のプロジェクトの請負をやっていたら。逆に言えば、副業などと言う言葉が、違和感なく使われている内は、真に自由な働き方が社会にないということになります。

 ましてや、たまたまそのシーンだけ見た番組の事ですが、とんでもないものを見ました。それは自衛隊の予備役を取り上げていた番組のようですが、その一人が、会社をやめたというのです。予備役は何日かの訓練をうけるようですが、その時には一応日当がでるそうです。ところが、金をもらうのは『副業』であり、会社では副業禁止だそうです。仕方なく、会社の方をやめたそうです。この女性の国防意識には頭がさがりますが、信じがたいのがこの企業です。公の仕事をする人に便宜を図るどころか、就業規則違反とは。詳しい事情はわかりませんが、話だけ聞けば、あきれますね。

 この副業禁止の就業規則を一律で禁止しないかぎり、社会は変わらないでしょう。むろん、競合他社問題や情報漏洩などセキュリテイ問題はありますが、自社の仕事がおろそかになるなどという馬鹿げた理屈を認めてはなりません。副業は銃ただし、制限をこれこれと言うのが、正しいあり方です。今の仕事に支障がでるなら、それはその社員の成果などを正しく評価すれば済むはずで、禁止の理由にはなり得ません。

 こういうやらなくてはならない決め毎を国も政治家も知らん顔。これでは、経営者や財界の都合の良い話になるだけです。そして、大手メディアもその仲間だからでしょうか、こういう問題を真剣に取り上げていません。

 言葉だけ着飾った政策がもたらした歪みやひずみ、もういい加減で改めないと、すでに限度を超えています。

令和4年11月22日(火)

2022年11月22日分類:社会, 経済

すべてを商業主義でやってきたツケが出ている日本

 バイオマス発電所が、木材価格高騰(ウッドショック)により燃料の木材調達が困難になり、事業からの撤退を決めたという記事があった。一般家庭一万二千世帯分の発電をしていたという。これだけ電気代高騰やエネルギー不足が言われる中で、なぜ国はこういう所にもっと支援しないのだろうか?太陽光と風力発電ばかりに肩入れしているのは、明らかにおかしい。

 おかしいと思う点は多々ある。そもそも官民連携事業なのに、この電気不足のただ中で、なぜ簡単に事業撤退なのだろうか?同じ二酸化炭素削減の発電なのに、明らかにバイオマスや地熱発電を軽視している。と言うか、やらせないようにしているのではないだろうか。

 この発電所では国産の木材を燃料にしていたという。ならば、なぜ海外での木材価格高騰に、こんなに強く影響されてしまうのだろうか?はじめから国営企業のようにして、燃料用の木材の確保をしておくべきだろう。そうすれば、エネルギー価格も極端名高騰にならないはず。やたらと支援や補助金はばらまくのだが、こういう本質的な価格コントロールは一切やらない。自由主義経済というのだが、資源もない日本が、やたらとアメリカのまねをしてもうまくいくはずがない。そのくせ欧米では、自由経済といいながら、国による統制経済のような政策も実施している。日本のそれは、国全体のりえきというよりも、特定の利権者や事業者だけが潤うものになっている。

 市場に任せたままの自由な資本主義が、中国などの国家統制型資本主義に遅れを取るようになってきた。あるいは、ロシアのように資源国には、単純な自由主義経済による制裁など効果が薄いこともわかってしまった。

 何をいいたいのかといえば、もはや、アメリカ流の完全自由な市場型資本主義経済は、修正されるときがきているということである。極端に走りやすいにほんでは、そう言うとすぐに資本主義と社会主義経済とか統制経済とかいいだすのだが、そうではない。今の資本主義経済の持つ行き過ぎや弱点をカバーする調和の取れた経済政策がもとめられているのである。

 官民連携の方法を抜本的に見直して、国営企業と私企業のいいところだけを併せた企業形態を創出すべきである。それが出来た国が、これからの分断され複雑に絡み合った世界経済で、勝ち残れることになる。

令和4年12月25日(日)

 

2022年12月25日分類:政治, 経済

今年(2022年)も終わり

 令和四年(2022年)ももう終わる。それにしても、大変な一年だった。コロナウイルス(COVID19)騒ぎは三年目になると言うのに一向に収まらない上に、2月にはロシアのウクライナへの軍事侵略という世界中が驚愕する事が起きた。しかもこの戦争、1年近く経ってもおさまらないどころか、来年以降も続くのが確実とみられている。

 さらには、安倍元総理がテロによって、白昼選挙応援演説中に射殺されるという大事件までおきた。奇怪なのは、警察の不手際を隠蔽するためなのか、この事件の背景についてメディアが深く取り上げようともしなかったことである。犯人の旧統一教会への恨みという言葉をそのまま信じて、暗殺そのものを取り上げないで終わらせた。無論、旧統一教会と自民党を中心とした政治家との歪んだ関係、オーム真理教と同じようなカルト集団とも呼べる宗教団体の問題も非常に重要である。だが、ここでも、個人の信者の多額の寄付ばかり取り上げられ、その金が韓国にとてつもない金額で流れていた問題は、あまり触れられていない。
 つまり30年間の経済政策の不備同様、メディアや社会そのものの劣化が、より表面化した一年だったとも言える。

 他にも世界や日本の十大ニュースには、事欠かない一年であった。北京五輪で多くのメダルを獲得したし、将棋では藤井聡太五冠が誕生するなど、明るい話題もあったのだが、簡単に忘れ去られてしまったようだ。それだけ暗い話題が長く大きかったと言うことだろう。また、芸能人や著名人の多くが鬼籍に入られた。その数も近年見ないほどである。


 アメリカの中国封じ込め政策が進展した年でもあったが、ウクライナ戦争によって生じた、世界の分断、分裂は来年以降さらに大きく激しいものになると予想されている。行き過ぎた円安もひとまず落ち着いたように見えるが、予断を許さない状況に変わりは無い。
 暗い話題ばかりでなく、明るい話題に満ちた新しい年が明けることを、祈念してやまない。

 良いお年をお迎えください。

令和4年12月30日(金)

2022年12月30日分類:社会

不足人材を育てる仕組みを

 こんな記事がでた。
『管制官いない能登空港、海上保安庁機が着陸時に民間ヘリ離陸の重大インシデント』
 この具体的な内容にはここでは触れないで起きたい。問題は人材不足、それも専門致死を持つ人材である。

 管制官、パイロットなど特殊技能を身につけた人材の不足を支援して育成する仕組みをつくるべきであろう。あまりに平等に意識が行き過ぎて柔軟な対応が出来ないのが官僚行政である。また、一度仕組みを作ると永遠に利権としてやり続けようとするのも官僚政治である。

 不足している人材がそれなりに充足できたらあとは、通常の仕組みに任せるように後ろをはじめから切っておくことが大切なのである。

 今すぐ始めるべき大正は切りが無いほどたくさんあるのだが、まずは今回問題になった航空管制官など空の交通に関わる人材から初めてはどうか。パイロットとか管制官等は、今後ますます必要になる分野である。特に空飛ぶ車や、様々な飛行体が出来てくればなおさらである。当然これには、宇宙飛行士も含まれるし、衛星などの宇宙の航空監視なども含まれる。
 これらは安保上も非常に重要な分野であり、少ない自衛隊の予算でやるのは無理がある。航空自衛隊が宇宙航空自衛隊になったのだから、第一にやるべきは人材の確保、つまり国が一時的に資金を出してでも特定分野の専門官を育てる事である。

 あらゆる分野で損門知識を持った人材が潤沢になれば、普段は別の仕事をしていても、緊急時に補助するような対応が出来るはずである。今の日本社旗亜hあらゆるところで、ゆとりというか、余裕がなさすぎる。

2022年10月15日(土)

2022年10月15日分類:政治, 社会, 経済